友人の恋を実らせて理想を推しカプを!
金色折紙
1話 発狂するカプ厨
「うぉぉぉぉ!この2人やっぱたまんねぇ!!
なんだこのじれじれ感!はやくくっつけや!」
自分の部屋でラブコメ漫画を読みながら白石裕也はこの胸の中にある抑えきれない感情を大きな声を出して表現していた。
「ちょっとお兄ちゃん!うるさいよ!?今夜の11時だよ!?私もう寝ようとしてるんだけど!!」
妹の柚希が少し怒りながら俺の部屋に入ってきて文句を言ってきた。
「しょうがないだろ柚希。この漫画の主人公とヒロインの関係がとんでもなくいいんだ。こんなの声を出して表現しない方が失礼だ。」
「私たち家族や近隣の人たち対してもっと失礼だと感じてよ....こんな夜に出す声の大きさじゃなかったよ」
「仕方ないあれでしか俺の中にある感情を発散させる方法がなかったんだ。柚希も読めばわかる。だからさほら、これを読んで兄と同じ感情になろ?」
「はいはい。お兄ちゃんのおすすめってことは相当いい漫画だってことはわかってるからいつか読むよ」
「さすが俺の妹だとりあえず明日部屋に全巻置いておくな」
「いつかって言ってるでしょ!ただでさえお兄ちゃんからお勧めされたいろんなアニメや漫画、小説、ドラマが今溜まってるんだから」
「まだ見終わってなかったのか俺のラブコメ、恋愛作品傑作30選を。全て名作だからちゃんと見てくれよな」
「これおすすめしてきたの一ヶ月前くらいだよね。そんな30作品なんかすぐ全て見ることなんてできるわけないしょ....まだ6作品が終わったくらいだよ」
「そうか?そんなのすぐに見終わると思ってたんだけどな」
俺は好きな作品や気になった作品を毎日のように見ている。月にどれほどの作品を見ているかは数えたことはないが、結構な数を見ている自覚はある。
「それはお兄ちゃんがおかしいだけだよ。いくら好きだからって普通の人はこんなに早く見ることなんてできないの」
「そういうものなのか」
「そういうものなの。今日はもう見るのやめて寝てよね。明日も学校でしょ、それともう大きい声は出さないで」
「わかった。もう今日は寝るよおやすみ柚希」
「約束したからねおやすみお兄ちゃん。」
そういうと柚木は部屋へ戻っていった。
柚木と約束をしたし寝ようとしたが、今日まだ見ていないネット小説があることに気づき見始めたらとんでもなく良い展開でまた感情が爆発してしまい、柚希との約束は30分しか守ることはできなかった。
朝、着替えを済ませてご飯を食べようとリビングに向かうと眠そうな顔をした柚希が既にご飯を食べ始めていた。
「おはよう柚希。なんか眠そうだなどうしたんだ?」
「本当に誰のせいだと思ってんの?お兄ちゃん自覚ないの?」
「本当にすみませんでした。今日帰りに柚希の好きなアイス買ってくるから許してくれ」
「二つで許してあげる」
「二つ!?あれ一個300円近くするんだぞ!?」
基本金欠な俺にとって600円はとても貴重なものだ。600円あれば学校で飲むジュースが5本は買うことができるというのに。
「へーお兄ちゃんに拒否権があると思ってるんだ?私今こんなに眠い思いしてるのに、約束破ったのに」
柚希の表情は普段はしないとても冷たい表情をしていた。
「わかりました。しっかりと二つ買ってきます」
そこにはもう兄としてのプライドなどはなかった。
「話は変わるけど、そういえばお兄ちゃん今日起きてくるの遅くない?いつもなら私より早く起きてもう学校に行ってる時間じゃないの?」
「ああ...今日は部活の朝練がないからいつもより遅い時間なんだ」
俺は陸上部に所属しておりいつもなら朝練のため家を早く出ているが今日は朝練がないため昨日は少し夜更かしができた。
「じゃあ今日は私と同じくらいの時間で学校に行くの?」
「そうだな大体そのくらいの時間だな」
「なら途中まで一緒にいって私の荷物途中までカゴに入れてってよ。お兄ちゃん自転車でしょ」
柚希はまだ中学生で俺とは学校が違うので途中までしか一緒に通学できないのだ。
「いいよ。でも柚希いつも準備に時間かかるだろ?なるべく早くしないと先行っちゃうからな。」
「いいの?やったー!!ならいつもより準備早くする!先行ったりしないでよね!」
そう言い柚希は走って自分の部屋に戻り準備をし始めた。
俺も朝ごはんを食べ始め学校へ行くための準備を再開し始めた。
朝ごはんを食べ終えて歯磨きをしていると、
「お兄ちゃん。まだ大丈夫だよね?私もう少しで準備終わるからまだ待っててよね!!」
2階から柚希が声を出して準備がもうすぐ終わることを報告してきた。
「もうすぐ俺は準備終わるから、なるべく早くしないと先行っちまうぞ!」
俺は少しイタズラしたくなり急かすようなことを伝えた。
「あぁぁぁ待っててば!もう終わるから!後リボン結ぶだけだから!」
柚希は焦っているのか、少し部屋から物音が大きくなったような気がした。
物音が聞こえた後、柚希は階段をものすごく早さで駆け降りてきた。
「よかった....まだ行ってなかった...ちょっとお兄ちゃん私を焦らせるような事は言わないでよ。本当に先行っちゃうかと思ったじゃん!」
「そんなことするわけないだろ。ちょっとした出来心からのイタズラだよ。」
「そんなことしないでよ!もー.....待っててくれたのはすごくありがたいけど....」
柚希は頬を膨らませながら言ってきた。
「置いていかなかったからいいだろ?ほら準備も終わったし早く学校行くぞ。」
俺はそういうと玄関を出た。
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