驚き桃の木21世紀

羽弦トリス

第1話新人の車

今から遡ること20年前。まだ、団体職員時代。

僕は電車通勤していた。

入社5年目で新人の面倒を見ていた。

新人は飲み込みが早くて、仕事が楽だった。僕は最寄り駅まで歩いているのだが、新人が送りますよ!と、言う。

駐車場で新人はベンツの鍵を開けた。

「これ、君の車?」

「はい、そうです。Sクラスだよね」

「エヘヘ」

「前職は何だったの?」

「ハツリ屋です」

「なぜ、君がこんな安月給の団体職員になったの?」

「バイト感覚です。直ぐに転職しますよ!」

「……あっ、そう」


新人だからベンツに乗ってはいけないと言う法律は無いが、安月給の団体職員の駐車場にベンツは浮いていた。

あれから、20年。

彼は何をしているのだろうか?

ま、将来を考えるのも大変に大事だが今を楽しもう。

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