カラオケ2
天川裕司
カラオケ2
タイトル:カラオケ
そこのカラオケ店には、昔から霊が出ると噂があった。
特に3番の部屋、そこに出るのだ。
俺たちは当時、その噂を知らなかった。
だからその3番の部屋に入り、
3人で一緒にカラオケを楽しんでいた。
するとモニターの中に妙なものが映り始めた。
それを友達が見つけ、俺も一緒に見てみると、
何だか知らない髪の長い女の人が、
白い服を着て脱力したようにじっとこっちを向いている。
「う、うわあ!」
みんな恐怖におののきながら部屋を出て行こうとした。
でも俺は他の2人に比べて霊感が強く、
そういうのに少し慣れていたのもあって、
こんなときの対処法を自分なりに駆使した。
その霊を見ていると、その霊の過去がなんとなくわかってきたのだ。
「なるほど、もしかしたら、そういう事だったのかもしれない」
そして俺は彼女に向かってこう言った。
「ねぇ、よかったら君も一緒に歌わない?俺、歌下手だからさ、毎週決まった日に来てここで練習してるんだ。だからもしよかったらその練習の相手になってよ」
するとモニターの中の彼女は
急にマイクを持って歌い始めた。
その歌声が部屋中にこだます。
「え、めっちゃうまいじゃん…」
彼女の歌声を聴いた1番目の感想がそれだった。
それから僕は毎週1人でこの 3番の部屋に来て、
彼女と一緒に歌の練習をしている。
実は彼女、その昔、歌手志望だったらしい。
でも歌手としてはモノにならないと捨てられたみたいで、
それがショックでこの部屋で
自らこの世を去っていたらしいのだ。
でもまたここでこうして俺と一緒に
歌う場を設けることができ、
彼女としてはそれでも満足だったようだ。
ただ俺には1つだけ不満があった。
それは、彼女の方が俺よりずっと上手かったこと。
もともと歌手志望の子だったから
当たり前と言えば当たり前なんだけど、
ずっと進歩のない俺に比べて
彼女は雲の上の存在のように見えてしまう。
今では、彼女の方が俺の事を励ましたりしてくれる。
あの2人はずっと怖がってこないままだが、
こんな場面を見られないでよかったと今では思う。
動画はこちら(^^♪
https://www.youtube.com/watch?v=AkNl85Ya6fw
カラオケ2 天川裕司 @tenkawayuji
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます