楽しい楽しいどれい喫茶店

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第1話 人から物へ

 14歳になった日、あたしは故郷の村を飛び出した。

 行先は王都。あたしには夢がある。


 ──料理人になりたい。


 王都はあらゆる分野の一流たちが集う国一番の大都市だ。王都に着いたとき、あたしはとても感動した。あたしの生まれ故郷の小さな村よりも、ヒトやモノがずっとたくさん溢れ返っていて、何もない田舎から上京してきたあたしには全部が全部、煌めいて見えた。

 そんな王都で一流の料理人になりたい。料理人になって、みんなを笑顔にして、胸を張って生きていけるような大きな人間になりたい。 

 王都に到着した日、あたしはその景色を目に焼き付けて、立派な料理人になる事を心に誓った。

 けれど。


 その日の夜、あたしは人攫ひとさらいに遭った。

 

 道に迷って人通りの少ない道に入った途端、後ろから布袋を顔に被せられ、体を押さえつけられた。

 抵抗すると、お腹を思いっきり強打された。

 そこからの記憶はない。


 目が覚めると、あたしは裸だった。

 持ち物も、衣類も、母から貰った大切な髪留めさえも、全部没取されていて、代わりに鎖付きのさび臭い首輪と腕輪を嵌められていた。


 あたしは、奴隷になった。

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