~角(かど)の静枝(しずえ)~(『夢時代』より)

天川裕司

~角(かど)の静枝(しずえ)~(『夢時代』より)

~角(かど)の静枝(しずえ)~

 一人(ひと)の生録(きろく)と醸成されつつ、永久(とわ)への共鳴(さけび)は表情(かお)を保(も)たずに生育(そだ)って行った…。幻想(ゆめ)に運べる生憶(きおく)の不安と幻(ゆめ)と乱心(こころ)の欲図(よくず)の動静(うごき)は片付けられずに、他人(ひと)に知られず一幻(ゆめ)の途切りは百も承知で唸って行った…。自己(おのれ)の自由と雅(みやび)を掌(て)にして過渡の背中は既憶(きおく)に薄れ、自由に生育(そだ)てた小馬(こうま)の髑髏は虫唾を返して攫われ始めた…。一人(ひと)の調度は安堵を賄い、無心の体(てい)して此処(ここ)から離れる…。

      *

 …遠い記憶に遡った様(よう)で、俺は何時(いつ)か田舎へ帰る時に子供時代に見た懐かしい夕暮れの中に居そうだった。

 何処(どこ)か、旅をして来た様(よう)だ。それは(その時に俺を囲んだ環境は)空想にも似て、昔語りの、父さん母さんに連れられて見て来た都会の風景の様(よう)だった。そこで大阪に出て来た時の様(よう)な、都会に在るビル群・大空に巻かれた様な感覚を受けて居た。けれど空は寂しい風を吹かせて居た様(よう)である。俺は父・母が好きだった。車に乗って居た様でもあり、歩いて居た様でもあり、とにかく少し何かに油断すると、忽ち寒く寂しい風(かぜ)に吹かれて惨(まい)ってしまう様だった。

      *

 無知の生録(きろく)に過去が活き着(づ)き、不相(ふそう)の快無(オルガ)を見本に読むのは男性(おとこ)と女性(おんな)の虚無の神秘(ふしぎ)で、悲壮に遭わせる神秘(ふしぎ)と現行(いま)との旧(むかし)の千夜(とばり)と一人(ひと)の余韻は、不彩(ふさい)に色立つ旧(むかし)の傀儡(どうぐ)と過信に落ち着く独理(ドグマ)を識(し)った…。自己(おのれ)の旅から純心(こころ)が合さり、不義の要(かなめ)に未来(みらい)が死ぬのは、暗黙(やみ)の世中(せなか)に虚無が堕とせる浮浪の儀式へ騒いで立った…。分厚(あつ)く空転(ころ)がる人の壁には旧来独語(むかしがたり)の傀儡(どうぐ)が成り立ち、不快に色立つ不義の所以(ありか)は途端に知れ生く活路を保(も)った…。白亜(しろ)く掲げる権力(ちから)の暗(やみ)には偶像(アイドゥ)から観た都合が好く鳴り、以心(いしん)に伝わる側(そば)の信者は権力(ちから)を拡げて朝日を拝み、日本気質の鎖国の生果は人間(ひと)を狂わせ流行(ながれ)を狂わせ、落ち着く目下(ふもと)は凡庸(ふつう)の信仰(めいろ)の破滅と自滅の生義(せいぎ)と成った…。一人(ひと)に際する欲の礫が大きく膨らみ、一夜(ひとよ)の生(せい)から人物(もの)を失う児(こども)の生憶(きおく)を追随した儘、活きる孤独を様子に従え、未知の目下(ふもと)へ落下させ往く…。気楼の小敗地(アジト)に潤いだけ識(し)り、不利の彼方は悪態だけ保(も)ち、現行(リアル)の要(かなめ)を経過へ進める精神(こころ)の活命(いのち)を巨躯に観て居た…。過去の主人(あるじ)に明日(あす)を知りつつ、一人(ひと)の自主(あるじ)に総身を飼うのは、夢限(むげん)に集まる無数の日(ひ)の掌(て)が欲に看破(みやぶ)る滑稽(おかし)さだけ採り、陰府(よみ)と不思議の功(こう)の仕種は欺瞞に満ち生く労苦を知った…。不遜の日蓋(ひぶた)を徒労に与(あず)けし〝一人(ひと)の労苦〟は信仰(まよい)を観る内、過去に活き得た多忙の生果は無知に匿う土壌を講じて、一人(ひと)の未来(さき)から明日(あす)を匂わす不義の要局(かなめ)を無根に描(か)いた…。女性(おんな)の活き血が夜伽を越え活き、未来(さき)の旧巣(ふるす)は正義を識(し)れども、淡い思春(はる)から道理を扱う未知の巨躯には堂々成り立つ「不相(ふそう)の主観(あるじ)…」がその掌(て)を延(の)べた…。

      *

 …これ迄に受けた、一人の感覚(いしき)でのイメージ、雰囲気、喜怒哀楽を覚え直して居た気がする。俺の周りには、友達また俺は、誰か信用出来る相手と何処(どこ)かへ還りたがって居た様(よう)だ。

      *

 一人(ひと)に憶える孤独の勇者は無知に耐え生く閏(うるう)を観た儘、光沢(ひかり)の自主(あるじ)に木霊を感じる不能の独歩を自己(おのれ)に従え、白亜(しろ)く成り立つ不法の欲には無機に拡がる壮絶を観た…。一人(ひと)と未(いま)との悪夢の他には自由に意味する無録(むろく)を置き去り、一人(ひと)の電子に流行(ながれ)を相(あい)する過去の欲から未想(みそう)が突っ立ち、一人(ひと)の翳りを翌朝(あさ)に幻見(ゆめみ)るしどろもどろの空虚を遺して、分厚(あつ)く成り立つ小敗地(アジト)の裾には自在を睨(ね)め往く八性(おろち)が這った…。器用に匿う乱心(こころ)の旧(むかし)は自由と未(いま)との加減を知らねど、矢継ぎ早から過去を見捨てる宇宙(そら)の身重は寝床を捜して、一人(ひと)の微温味(ぬるみ)に孤独を流離う無想の輪舞曲(ロンド)は自主(あるじ)を識(し)る儘、向日と未(いま)との不潔の垂(たる)みは現行(いま)に安まる生義(せいぎ)を保(も)った…。幻想(ゆめ)の秘密に過去(むかし)が生くうち白亜(しろ)い佳日は矢庭に遠退き、不快に掲げる私事(しごと)の寝屋から人密(みつ)に集まる固陋の信仰(めいろ)は無秩を酔わせて、自在と未(いま)との文言(ことば)の手数(かず)には紺(あお)い御託が故縁(えにし)を相(あい)し…、気楼に名高い精華(はな)の一幻(ゆめ)には過去を目に賭す淡路を採った…。未知と過去との身欲(よく)の猛夏(もうか)は身塵(みじん)に振舞う脚色(いろ)を並べて、女性(おんな)の目下(もと)から不装(ふそう)の体裁(かたち)は未信を幻見(ゆめみ)て処を知った…。自己(おのれ)の価値から乱心(こころ)が成り立つ無機の脚色(いろ)への不価値を取り添え、過去に活き尽(き)る旧(むかし)の表情(かお)には翌朝(あさ)と夜との御堂(おどう)を保(も)った…。空白から成る無限の荒野(こうや)は未知の千夜(とばり)を空城(くるわ)に待ち侘び、一人(ひと)と未(いま)との故録(ころく)の両刃(やいば)は自体(おのれ)の空虚を手塩に片付け、自由と退屈(ひま)とが荒野(こうや)を往くのは無限の自主(あるじ)とmonkに依った。幻想(ゆめ)の無形(かたち)に未来(さき)を拵え自由と未(いま)との懊悩(なやみ)の種(たね)とは孤独を拵え、一人(ひと)に咲き往く都会の精華(はな)から宙(そら)が片付き模様を見上げて、一人(ひと)に好く観る無動(むどう)の人山(やま)には幻覚(ゆめ)の八頭(おろち)に人形(かたち)を可笑しみ、自由に湧き出る試心(こころ)の主観(あるじ)は自由に始まるその日を知った…。一人(ひと)の加減に主人(あるじ)を木霊す非論(ひろん)と暗黙(やみ)との乱心(こころ)を素通り、白亜(しろ)く成り立つ無垢の私運(はこび)は気楼に誘(いざな)う信徒を射った…。未知と現行(いま)との古豪の彼方は一人(ひと)と自主(あるじ)の枯渇を慰め、自由に紐解く信義(しんぎ)の裾には自在に集まる個録(ころく)を彩(と)った…。一人(ひと)に奏でる旧来(むかし)の温度は過去に集める加合(かごう)を詠み取り、一人(ひと)に苛む文言(ことば)の界(かぎり)は研究ばかりの問答だった…。

      *

 …何か、大阪のビル群に囲まれて暗いヘキショ(僻地の意)に在る、誰だかはっきり分からないが信用の置ける男友達の家に上がって居た様(よう)だ。しかしそれは無断侵入ではなく、きちんとそこの持ち主(例・そこの家に居る誰かの母親)に断ってから上がって居る。そんな気がした。その部屋の中から、自室(じぶん)の周りに在る寂しい風に吹かれて寒そうな街中を見渡して居た。

      *

 …不幸と幸(こう)との矛盾の刹那を片(かた)に寄せ付け見様(みよう)を削がれて、不通の吐息に見様見真似で女性(おんな)の殺気は焦がれて失(な)くなり、エデンの園から追い立てられ往く純(うぶ)の気色は小宙(そら)を仰ぎ見、矛盾を絵にして純心(こころ)を好く見る過去の姿勢(すがた)を芥(あくた)に採った…。一人(ひと)の了(おわ)りに文言(ことば)が付されて寝屋の紐から途切りが生れ、未然の明日(あす)から孤独が静まる未活(みかつ)の勇者に持続を賭し活き退屈(ひま)と両掌(りょうて)に老人(ひと)を撓(たわ)める無垢の景色を空間(すきま)へ採った…。一人(ひと)に欲しがる旧来(むかし)の景色は自由を目に見て蕾を養い、規矩の許容(うち)から暦(こよみ)を愛する明日(あす)と未(いま)との流行(ながれ)を観た儘、自由を相(あい)せる明日(あす)の要(かなめ)は未知に静まり徒然(とぜん)を報され、人物(もの)の勇者にその目を見て居る向こう気(ぎ)の無い芥(あくた)を識(し)った…。幻想(ゆめ)の自滅(ほろび)を美声(こえ)に諦め、過去と現行(いま)との欲の盲者(もうじゃ)は気楼の背に立つ母性を紅(あか)らめ、人間(ひと)の道から未来(さき)が遠退く分厚(あつ)い白壁(かべ)には自由が苛み、未信に彩る滑稽(おかし)な傀儡(どうぐ)は過去(むかし)を観たまま純粋だった…。退屈(ひま)に余せる自由の活気は欲の憤茂(ふんも)をその掌(て)に立たせて、自由と現行(いま)との感覚(いしき)の走具(そうぐ)は感覚(いしき)を掌(て)に観て自体(おのれ)を知った…。過去(かこ)に現行(いま)との懊悩(なやみ)の総理(すべて)は見知らぬ憎悪に欲を絡ませ、分厚(あつ)い人壁(かべ)から気憶(きおく)が漏れ往く固陋と賢者の身重を高らめ、自由に燃え立つ義尊(ぎそん)の道標(しるべ)は「自由」を絵にして活財(かつざい)を見て、人間(ひと)の進理(しんり)を追求して往く無知の財(ざい)への駆逐を保(も)った…。鶴翼(かくよく)から成る仕手の弄(あそ)びは憤怒を絵にして純心(こころ)を訴え、一人(ひと)の誉れと過去(きおく)を愛せる思牢(しろう)の空間(すきま)に自体(おのれ)を這わせ、規矩の掌(て)に観る孤独の愛撫は一女(おんな)を画(え)にして明るく嗜み、自由の菜(な)に発(た)つ陽気の標(しるべ)は過去(かこ)を芽にして発起して往く…。未知に匿う旧(むかし)の夕べは未開の信途(しんと)に量産され活き、退屈(ひま)に綻ぶ苦心の憂慮は残像(かたち)を取り添え旧(むかし)を従え、白亜(しろ)く成り立つ孤独の人体(からだ)は夢限(むげん)の小敗地(アジト)で自体(おのれ)を称え、一人(ひと)の明日(あす)から旧さを茂(しげ)らす〝固陋の悼み…〟を辛苦に採った…。過去の精華(はな)から純心(こころ)が降(お)り立つ旧い縁(えにし)と純心(こころ)の美声(こえ)には、旧来独語(むかしがたり)の遠目を報せる無垢の両掌(りょうて)を具えに見た儘、分厚(あつ)い明日(あす)から人壁(かべ)を除ける帰去来から成る破滅が発(た)った…。

      *

 …次の瞬間(いや瞬間と言っても、又それ迄にいろいろ経験した事が在ったのであろうが)、俺は自室にて何時(いつ)もの様(よう)に、物書きの体裁に陥って居た。階下から母の呼ぶ声がする。

      *

 一人(ひと)の心を柔味(やわみ)に始めて過去と暗黙(やみ)との孤高の残骸(むくろ)は、悲痛に靡ける旧来(むかし)の淡みに過去を失くせる人密(みつ)と現行(いま)とを保(も)ちつつ、流行(ながれ)に匿う乱心(こころ)の高みは暗黙(やみ)に慕える不動を知った…。無知の残骸(むくろ)は電子を柔めて紅(あか)く傍立(そばだ)つ悲痛に彩る乱れを採りつつ、白亜(しろ)く成り立つ孤高の進度(しんど)は要局(かなめ)に付け得る囲いを保(も)った…。未開の宙(そら)から精神(こころ)が降(お)り立ち、幻(ゆめ)の浮浪と暦(こよみ)に成り立つ不彩(ふさい)に活き立つ物憂さが在る…。白亜(しろ)い人壁(かべ)から無類を立たせる小宙(そら)の行方は物憂さだけ識(し)り、一人(ひと)の暗黙(やみ)から孤高を見詰めた幻覚(ゆめ)の活き血に一通(とおり)を保(も)った…。日々の行方を暗(やみ)に鳴かせて不相(ふそう)と暗(やみ)との人密(みつ)の主体は日々に活き発(た)つ故国を立たせて、人間(ひと)の軟みに乱心(こころ)の初歩(いろは)は無垢と過去との想定を観た…。暗(やみ)の活命(いのち)に乱心(こころ)が成り立つ魔界と未(いま)との孤高を併せて、女性(おんな)の具体(からだ)と暗(やみ)との柔みは鈍(くも)りに流れる無口を保(も)った…。日々に活(かっ)せる旧差(ふるさ)と暗黙(やみ)とは旧来(むかしながら)の微温味(ぬるみ)に這わせて、一人(ひと)に活き発(た)つ乱心(こころ)の繁味(しげみ)は人密(みつ)に味わう乱心(こころ)を保(も)った…。幻覚(ゆめ)に交わる悲災(ひさい)の自覚(かくご)は無知に化(か)われる暗夜(やみよ)を見合せ、紺(あお)い有形(かたち)の人手(ひとで)は未(いま)でも一人(ひと)の活命(いのち)を呑ませて往った…。日々と未(いま)との乱心(こころ)の欲には無彩(むさい)の過去へと欲心(こころ)を忍ばせ、一人(ひと)と現行(いま)との乱心(こころ)の小敗地(アジト)は無知に気取れる進歩を観て居た。幻覚(ゆめ)の無形(かたち)に女性(おんな)が活き発(た)つ不倖に逆行(もど)れる不彩(ふさい)を可笑しみ、一人(ひと)に成り立つ無論の空地(あきち)は無垢と暗(やみ)との同化を保(も)った…。白亜(しろ)い人壁(かべ)から朝陽が延ばされ、日々の流行(ながれ)に孤高が往くのは旧い過日(かじつ)と乱心(こころ)を立たせて、無知と欲芽(よくめ)の乱心(こころ)の許容(なか)には暗黙(やみ)と日々との乱心(こころ)の許容(うち)には不動に活き発(た)つ旧(むかし)を知りつつ、一人(ひと)に途切れる乱心(こころ)の明かりは無秩に餌食に聡明でもある…。退屈(ひま)に這わせる乱心(こころ)の欲には翌朝(あさ)に始まる脆差(もろさ)を目にして、白亜(しろ)く棚引く旧(むかし)の新化(しんか)は暗黙(やみ)と現行(いま)との道標(しるべ)を保(も)った…。自体(おのれ)の過去から無知を絵にする活心(こころ)と日々との不彩(ふさい)を延ばし、分厚(あつ)く成り立つ乱心(こころ)の静みは広い幅への乱心(こころ)を保(も)った…。不信に活き発(た)つ精神(こころ)の行方は人密(みつ)に耐え貫(ぬ)く一重(ひとえ)に落ち着き、白亜(しろ)く栄える乱心(こころ)の信義(しんぎ)は幻(ゆめ)の初歩(いろは)を一通(とおり)に敷いた…。無視する孤独の欲には旧い文言(ことば)と悪義(あくぎ)を訓(おし)え、日々に落ち向く旧(むかし)の態度は男性(おとこ)と一女(おんな)の迷宮とも成る…。街に色付く乱心(こころ)の一人(ひと)には暗黙(やみ)と未(いま)との無信(むしん)を追い立て、日々に色立つ乱心(こころ)の独理(ドグマ)は自活(かて)に装う幻覚(ゆめ)を毟った…。

      *

 …「裕司――、…(何か別の事を言って居た気もしたが)、物書きはそんな勉強不足で書くものじゃない(お前のやって来た物書き業は総て無効に成る)」そう言い、そんな事を実の母から聞いたので余計に心の中で落胆して居た。

 して居る内に、「相棒」シリーズに出て来る芹沢の様(よう)に成った男が、

「俺、名前書いてないじゃないスか」

と少々笑いながら俺の右肩を叩き、嬉しい非難を俺に伝えて来た。

      *

 児(こども)の絵に立つ神秘(ふしぎ)の老図(ろうず)は過去の歩先(ほさき)を自由に高らめ、一人(ひと)の故縁(えにし)に貴重を観るうち人間(ひと)の安みを震えて描(か)いた…。自由の身元に感覚(いしき)を保(も)つうち気楼に安まる乱心(こころ)は現行(いま)でも、未知への歩影(ほかげ)を器用に描(えが)ける暗黙(やみ)の果実が活命(いのち)を象(あらわ)し、日々の努めに人煙(のろし)が挙がれる気楼の矢庭に自由を保(も)った…。日々に培う孤独の故縁(えにし)は気楼に撓(たわ)める暗夜(やみよ)を気にして、一人(ひと)と未(いま)との道具に肖る過度の気色へその瞳(め)を押すのは、旧い遊戯に孤独を培う未覚(みかく)の御殿と梵天とも成る。一人(ひと)に成れない活路の栄華は、無心に概(おお)きく棚引く躰は青空(そら)の彼方に鈍(くも)って抛られ、一人(ひと)の陰府(よみ)から気分が苛む陰府(よみ)の千夜(とばり)に懐かしくも成る…。一人(ひと)に集める〝人密(みつ)の残香(かおり)…〟は鬼畜を忘れて雅(みやび)を採り入(い)れ、「自由」の内から気玉(けだま)を乱せる旧い佳日の懊悩とも成り、未憶(みおく)に尋ねる文言(ことば)の概(おお)くは過去に忘れた自活と成った…。白亜(しろ)い人壁(かべ)から乱心(こころ)が安転(ころ)がり「余りてなどか…」人の誉れは自由に久しく…、幻覚(ゆめ)の身近に過去(むかし)を忘れる不動の八頭(おろち)は限(かべ)を観て居た…。一人(ひと)に忘れる恋の感覚(いしき)は幻(ゆめ)の調度へ失踪する儘、幻(ゆめ)に敗れた独理(ドグマ)の文語(かたり)は自由に名高い気色を見忘れ、自己(おのれ)の老苦(ろうく)に一女(おんな)を見付ける過去の吐息へ無形(かたち)を描(か)いた…。無秩に活き尽(き)る処の懊悩(なやみ)は暗黙(やみ)と未(いま)との試心(こころ)を崇めて、一人(ひと)と乱心(こころ)の小宙(そら)の成果(はて)には涼風(かぜ)の形が欲芽(よくめ)を付けた…。未知と現行(いま)との退屈(ひま)の迷路は人間(ひと)に悩ます向かいを悩ませ、白亜(しろ)く成り立つ試心(こころ)の丈夫は過去に活き発(た)つ四温(しおん)を採った…。暗黙(やみ)に活き尽(き)る無垢の頼みは一人(ひと)に始まる未完(みじゅく)を相(あい)せ、広い家宅の暗黙(やみ)の身許は小宙(そら)の一形(かたち)に失望して居た…。朗(あか)るい家屋に共(とも)が居座る美声(こえ)を安める輪舞曲(ロンド)が伴い、他(ひと)の形(なり)から未屈(みくつ)を高める睦(むつ)の寝床に抹消を観た…。

      *

 …確かそいつの他に、三浦刑事と九州出身のあの男も居た様である。その時に四人だけじゃなく、他の誰々が居た様である。その場所は、『相棒』シリーズに出て来る警視庁の内の一家の様だった。室内は、青白い空気に脚色されて居た。それほど広い部屋ではなく、どちらかと言うと警視庁の一室にしては狭い部屋だった。家内に居た人数が部屋の一箇所(隅)に集まり、そこで何か、何かのマニュアルの中に在る「職員に課された課題の様な項目」を参照して居り、その項目にも在る欄に皆は各自の必要事項を記さなければ成らないとなり、それまで呈した自分達の在り方が可笑しい、と成ったのである。そこで芹沢による俺への言葉、「俺の名前書いてないじゃないか(自分で書かなきゃ成らない箇所をきちんと書けてないじゃないスか)」、と成ったのである。

      *

 無造(むぞう)に遺棄する孤独の末路は浮記(ふき)に添い生く一形(かたち)に辿り、未来(さき)を審ぜぬ淡い労具(ろうぐ)は仔準(しじゅん)を満たせる快無(オルガ)を乞うた…。無知の懊悩(なやみ)に生準(きじゅん)が仕上がり、分厚(あつ)い日(ひ)の粉(こ)を内輪(うちわ)に詠むのは一通(とおり)の総理(すべて)で、器用に割かれる習わし等には未来(さき)を信じる悪夢に成り果て、暗(やみ)の合図に快無(オルガ)を絵に観る〝滑稽・遊戯…〟が試案して居た…。街に息衝く精神(こころ)の両刃(やいば)は自活(かて)を見送る強靭だけ飼い、慌て無沙汰に器用を培う私動(しどう)の杜撰に乱心(こころ)を添わせて、一人(ひと)の倣いに端正(きれい)を好く観る無知の吐息は寝耳に満ちねど、淡い一夜(ひとよ)は核(かく)を失くせる扶養と現行(いま)との空間(すきま)を突いた…。一人(ひと)と身欲(よく)との古豪の内には美欲(びよく)に巻かれた内なる芽が発(た)ち、自由に相(あい)せる美容の一途(いちず)は過去の常識(かたち)をその絵にして、一人(ひと)の欲から幻(ゆめ)が溢(あぶ)れる人街(まち)の脚色(いろ)から胎児を成した…。一人(ひと)の価値から身欲を巻かせる内なる絵の声、一人(ひと)の形(かたち)に向こうを咲かせる非道の活路は不人気に在り、文学(まなび)の気色にその日を咎める一女(おんな)の活路を曖昧ともした…。日々の欲から小声(こえ)を高らめ、無心に活き付く身欲(みよく)の許容(うち)では、非道に焦がれた記憶を絵にした過去の貌(かお)など儀式に遣われ、白亜(しろ)く棚引く孤業(こぎょう)の活路は地道に働く微動が在った…。一人(ひと)に堕ち向く過去の人形(かたち)は非道に併せる昭和を観た儘、幻覚(ゆめ)の華(はな)から記憶を覗ける見様見真似の彩華(さいか)を飼った。町の生憶(きおく)に見知らぬ掌(て)が在り、非道の朝陽にその掌(て)が載るのは、未信に息衝く心の無形(かたち)が何処(どこ)までにも生く見様(みよう)に基づき、一人(ひと)に埋(うず)める小手の先には未信に意図する安心が或る…。未在(みざい)の罪荷(ざいか)を臨終に見て、過去の欲から調べる代価をその実(み)に変じた鼓動を認(したた)め、旧い佳日に小言を渡せる微動の言(げん)から永久を観た…。一人(ひと)の許容(うち)から琥珀が盛(さか)り、扶養に居座る無重の審理は過去を睨(ね)め付け見様(みよう)を畳み、一人(ひと)の活命(いのち)に孤独を愛する小宙(そら)の不毛に位置付けられる…。幻想(ゆめ)と試心(こころ)の身憶(みおく)の千夜(とばり)を内夜(うちよ)に相(あい)する定律(おきて)に誤り、過去と未(いま)とに稼業が留(とど)まる非道と絵図との類算(るいさん)から成る…。

      *

 …(二度寝に見た夢)

 俺達は卒業式に望もうとして居た。塾で知り合った、希薄で、女たらしで、友達甲斐が一つも無い級友の俺への言葉により、その卒業式がD大学のそれだと分かった。場面が随分後(あと)に成ってからだが、希薄な級友が、駅の階段の様(よう)な所に俺が腰掛けて居ると、暗(やみ)の中からふうっと現れ(エスカレーターで降りて来たようだった)、次第に駅を出た階段の一番上の段に座って居る俺に近付き、

「いやぁ…西日本でのチャンピオン(第一位・大御所と言ったかも知れない)の大学へ行けておめでとう。」

と言ってくれたが何処(どこ)かに嫌味が在り、自分はK大である事から(この希薄な級友が交際して居た彼女もそうだった)、何か嫉妬して、ひねくれて言葉を喋って来て居るのか!?とさえ俺は考えて居た。

      *

 一人(ひと)の欲から文言(ことば)が延ばされ、白亜(しろ)い人形(かたち)に乱心(こころ)が立つのを小宙(そら)の高みで仰いで居るが、一人(ひと)の佳日に自由が伴う真っ向勝負は経過(とき)に埋(うず)もれ、独人(ひと)に肖る文言(ことば)の高みは余程の大工を気取って在った…。未知の蜃気に偶像が在り、一人(ひと)の身欲(よく)から乱心(こころ)が鳴るのは滑稽味(おかしみ)でもあり、女性(おんな)の両眼(まなこ)が自由に肖る無頼の奇声を夜毎に吐いた…。一人(ひと)の主観(あるじ)を見様(みよう)に束ねて、仮思(かし)の気(き)の実(み)をその瞳(め)に据えても、自体(おのれ)の躰は通せんぼをする情事(こと)の無惨に消沈して居た…。端(はし)を見送る自由の砦は牙城を踏まえて人密(みつ)を着せ替え、自己(おのれ)の人密(みつ)から乱心(こころ)が跳び発(た)つ活命(いのち)の末路は朗笑して居る…。不安に寄り添う果実の好みは一女(おんな)を手に掛け自在を見尽し、過去の栄華へ乱心(こころ)が遠退く無心の迷路を底儚(そこはかな)く観た…。幻覚(ゆめ)の気色と同調するまま保身を掲げた「自由」は消し跳び、朗(あか)るい佳日に人形(かたち)が調う未信と無実の滑走(はしり)の傍(よこ)には、無知を絵にした滑稽ばかりが気楼を変じる過去の脆(よわ)さと過言を遠退け、幻覚(ゆめ)の理知から野獣(けもの)を呈(あらわ)す無秩の防御を画(え)にして描(か)いた…。小宙(そら)の故縁(えにし)に自由を見て取り、自己(おのれ)の白夜は離散に遠退き、一人(ひと)と未(いま)との哀れの末路は旧来独語(むかしがたり)の琥珀を掌(て)にして、森林浴など自由に掌(て)に観る貌(かお)の有形(かたち)を杜撰に仕留めた…。淡く成り立つ神秘(ふしぎ)と現行(いま)とは過去の欲から哀れと産れて、白亜(しろ)く高鳴る無知と未(いま)との暗(やみ)の臭みを躰に追い駆け、独り善がりの苦労の末(すえ)から「自由」に生い立つ気色を採った…。美街(まち)に基づく試心(こころ)の暗間(やみま)は無心を紐解く主人(あるじ)と対し、白亜(しろ)い吐息の翌朝(あさ)の寝床に過信を想わす焦燥を見た…。幻(ゆめ)の活路と寝耳の欲とが自由を掌(て)にして情事(こと)を企み、一人(ひと)に成り立つ故録(ころく)の淡差(あわさ)は過去(むかし)に活き発(た)つ尚早を観た…。苦言の幻(ゆめ)には生茂(せいも)が分厚(あつ)く、千夜(とばり)の主人(あるじ)は果して見えない…。

      *

 …その階段に来る前にとにかく執拗に悔しい言葉を、俺と俺が属して居たバンド(音楽のバンドの様なもの)に向けて掛け続ける嫌な(厳しそうな)コーチの様な奴を何処(どこ)かの場面で見て来て居り、そのコーチとの鬱陶しいやり取りを終えてから俺は階段(そこ)に居た訳だ。俺は少々優越感に浸って居た。空は(雲は在るが)限り無く晴れ渡り、日光が結構きつく射し眩しく、嫌味な奴の顔をも歪ませ、俺の周囲(まわり)も眩しい光の所為で、余り何がどうして居るのか映さなかった。嫌味な奴は、俺の「じゃまたな」と言う取り敢えずの別れの言葉を聞いた後、仕方無さそうに、とぼとぼてくてくと、また暗(あん)に引き返し暗(やみ)の内へと戻って行った。俺はその後から、卒業式の前後で為された様な集まりでの話(ストーリィ)に戻って行った。俺の「D大学合格」の快挙は時折り、『夢時代』による受賞・七冠達成快挙に重なる処がちょいちょいあった。

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 過去と不埒の行方と列(ならび)は明日(あす)と未(いま)との未婚を果して、人山(やま)に準(なぞ)らう魅力(ちから)の懊悩(なやみ)は無秩に煩う試心(こころ)を彩(と)った…。悲壮に彩る人道(みち)の無形(かたち)は無刻(むこく)に見付けた人山(やま)を象(と)りつつ、過去(むかし)に片付く〝人の水面(みなも)〟は無為と幻(ゆめ)との懊悩(なやみ)を識(し)った…。白亜(しろ)く成り立つ乱心(こころ)の身欲(よく)の内実(なかみ)は無心に粋(いき)がる乱心(こころ)を採り立て、漆黒(くろ)く成り立つ小宙(そら)の行方は人密(みつ)の内実(なかみ)を転々(ころころ)馴らし、女性(おんな)の貉に暗黙(やみ)が被(こうむ)る街と家との暗さを識(し)った…。岐路の歪みを孤独に悩ませ、旧い兆しに小宙(そら)が鳴るのは、幻覚(ゆめ)に傅く乱心(こころ)の暗黙(やみ)には幻(ゆめ)の流行(ながれ)の人形(かたち)を射った…。白亜(しろ)く成り立つ個々の悩みは無心に活き立つ乱心(こころ)を翻(かえ)り、人山(やま)に導く美街(まち)の様子は無知に蔓延る理想を保(も)った…。幻覚(ゆめ)の人形(かたち)に過去が活き着(づ)き、暗(やみ)に模(かたど)る懊悩(なやみ)の藻屑は一人(ひと)の流行(ながれ)に集い始めた…。無知と息衝く乱心(こころ)の内実(なかみ)に一女(おんな)と脚色(いろ)との行程(こうてい)が立ち、翌朝(あさ)に隠せる無類の合図は「幻(ゆめ)と一形(かたち)」の無欲を盛(も)った…。一女(おんな)に片付く無刻(むこく)と人壁(かべ)には人間(ひと)の有形(かたち)と浮浪が先立ち、自己(おのれ)に匿う無刻(むこく)の定形(かたち)は日々の縁(ふち)へと堕ち込み出した…。無知に息衝く精神(こころ)の懊悩(なやみ)は悲壮の身欲(よく)への過去(かたち)に象(と)られて、一人(ひと)の模造の役(やく)には無形(かたち)が息衝く陽光(ひかり)へ究(もと)める動作が落ち着き…女性(おんな)の懊悩(なやみ)と躰の静みは身欲(よく)の衝動(うごき)へ疾走(はし)って入(い)った…。幻想(ゆめ)と安心(こころ)の不幸の程度は自己(おのれ)の独語(かたり)を小宙(そら)へ操取(あやと)り、不変と成就の成果(なれのはて)から可笑しく延び生く乱心(こころ)が湧き立ち、不条理に発(た)つ乱心(こころ)の行方は知らず間(ま)に来る情緒と成った…。幻想(ゆめ)の成りから悪魔が囀る固陋と欲との大涙(なみだ)の果てには、初春の涼風(かぜ)から一汗(しずく)が落ち着く過去の懊悩(なやみ)と交互に吟味(あじ)わえ、一女(おんな)の八性(おろち)に欺瞞が息衝く過去の行方は憂いを装い…、幻覚(ゆめ)の未屈(みくつ)に勝負が二重(かさ)なる旧い千夜(とばり)の前進を観た…。

      *

 …俺はどうも医者の立場に在った様(よう)である。「あったよう」なだけで、自分で「自分が成れる訳ない」と思い込んで居た俺は全く「名ばかりな者」であった。(俺は一度寝をする前に、今年二〇一五年用に変わった代ゼミの偏差値推計を何時いつもの確認の為に暫く見て居た)。

 俺はおそらく西田房子のゼミの中に居て、この地位・立場に立って居た。周りにはD大学の学生が一杯居て、俺は彼等に囲まれて居り、彼等は何時(いつ)ものお決まりの、無関心を絶えず装いながら、妙に理知的を思わせようとする「取って付けた様(よう)な恰好」を付ける儘、又、自分だけの将来を各自確実に眺めた儘、他人には少々怜悧(つめ)たい体裁(かたち)を取り続けて居り、俺は何か少し淋しさを覚えて居た。しかし俺も持ち前の「負けず嫌い」が祟って、彼等に負けじと対抗意識を燃やし、『夢時代』の成功を以て自分の「好い恰好」の構築に尽力して居た。

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 無知に息衝く一人の滾りは不法に片付く美街(まち)を象り、不変と現行(いま)との個録(ころく)の行方は未然を拭き取る無秩を飼った…。雪の白差(しろさ)を初夏(なつ)に見ながら、過去の身欲(よく)との試心(こころ)の総て非道に傾く漆黒(くろ)さを急き立て、司動(しどう)に宣う未惑(みわく)の快無(オルガ)は隈なく導く太古を知った…。三大奇書から気狂いが出て、陰府(よみ)のしどろを〝黒露簿(くろんぼ)〟から見る幻(ゆめ)の試心(こころ)へ流行(ながれ)を培い、人間(ひと)と哀れの琥珀の巴留魔(ビルマ)は夜毎(よごと)を忘れて堂々透れる…。旧い琥珀の域に達する身欲(よく)の礫は感覚(いしき)を隠して、分厚(あつ)い人壁(かべ)から乱心(こころ)を立たせるしどろもどろの滑稽を見た…。無知に囲める至闘(しとう)の柔裸(やわら)は、過去(むかし)の寝耳に寄らず存(そん)せず、不和の独語(かたり)と不審の寝床に温味(ぬくみ)を見上げて漆黒差(くろさ)を目論み、司伝(しでん)の高みに下等を据え置く旧(むかし)馴染みの狂人を識(し)る…。一人(ひと)の過去から神聖が出て、一人(ひと)の枕を試心(こころ)に保(も)ち出す〝向日〟と絆の盲落(もうらく)を観て、人間(ひとのあいだ)を過去に込ませる司春(ししゅん)の葉色(いろ)へと移り変わった…。人物(もの)の独理(ドグマ)は思想を翻(かえ)し、幻覚(ゆめ)の電子と思心(こころ)の許容(うち)から過去を忘れて鈍詰(どんづま)りと成る…。端正(きれい)に与(あずか)る試心(こころ)の向きには昨日(きのう)の紅(あか)から処が荒(すさ)び、一人(ひと)の最期へ明け暮れ始める一人(ひと)の訓(おしえ)が一見(ひとみ)を討った…。人物(もの)の概(おお)さに試心(こころ)が素通り、既知の微温間(ぬるま)に器用差(きようさ)が立ち、美街(まち)の行方に興味が往くのは〝明日(あす)の独理(ドグマ)の乖離…〟と成った…。幻(ゆめ)の果てから端正(きれい)に基づく過去の個録(ころく)と一重(ひとえ)の藻屑は、紺(あお)い空から大海(うみ)が産れる「自己(おのれ)の不和…」への奇想に立った…。人街(まち)の内実(なかみ)は人密(みつ)に囲われ、輪廻(ロンド)に花咲く狂気を絵にして、紺(あお)い佳日にその身を養う一人(ひと)の内心(こころ)を調度に討った…。幻想(ゆめ)に固まる旧(むかし)の生憶(きおく)は無知に拡がる行李を養い、一人(ひと)に得られる興気(きょうき)の若輩(やから)は「無心」を画(え)に身重を解(と)いた…。

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 …俺は文学系の筈だが医者の様な立場に立って居り、担任は西田房子から猪女史の様な女教授に代わって居て、俺は女史にも底深い感情を抑えて持って居た為、その事はその事で正直嬉しかった。しかし女史は俺に対して絶縁的と言うか、大嫌悪的と言うか、心底、思いきり俺に対して引導を突き付ける様な別れの言葉(アドバイス)をして居て、俺はここでも少々間誤付いて居た。その時(俺が彼女に教卓を挟んで説教された時)は、何か卒論草稿の手直しを言い渡す場面の様に成って居た。何でも、俺の論文(レポート)が数々の動物を殺し廻って犠牲にして、その上で書いた物である事が初め「彼女が俺を嫌った原因」だったらしい。そして又その動物達は人間へと移行(スライド)されて行く。

      *

 一人(ひと)に優れる試心(こころ)の悩みは無垢に尖れる八頭(おろち)に静まり、暗黙(やみ)に隠れる無告(むこく)の集成(シグマ)は一人(ひと)と朝日の脆弱(よわ)さを保(も)った…。一人(ひと)に吟味(あじ)わう無心(こころ)の価値には暗黙(やみ)の人見(ひとみ)と白亜が臨み、一人(ひと)に匿う試心(こころ)の欲から旧い小敗地(アジト)の温味(ぬくみ)が発(た)った…。無心に活き発(た)つ純心(こころ)の峠に未知と暗黙(やみ)との時雨が這い降(お)り、町の景色に未来(さき)が語るは苦労と紺(あお)さの無形(かたち)であった。一人(ひと)に疾走(はし)れる故録(ころく)の遊戯は美街(まち)に佇む朝陽を素通り、未知に匿う無告(むこく)の主人(あるじ)は優しい快無(オルガ)と讃嘆して居る…。白亜(しろ)く羽ばたく無知の自覚(かくご)は幻(ゆめ)の肢体(からだ)の非道に落ち着き、幻想(ゆめ)に匿う試心(こころ)の思乱(あらし)は過去に落ち着く光沢(ひかり)を発(た)てた…。未知に匿う試心(こころ)の枠には無知に怯んだ行方を追い駆け、無言に息衝く試心(こころ)の身欲(よく)には小宙(そら)に併せる旧(むかし)を観て居た…。真夜(よる)に見紛う孤高の相図(あいず)は空手に凄める身欲(よく)を追い立て、脚色(いろ)と不審の無意識から成る未知に息衝く女性(おんな)を識(し)った…。翌朝(あさ)に静まる無告(むこく)の人形(かたち)は分厚(あつ)く三重(かさ)なる無言(ことば)を意にして、不敗と現行(いま)との夜半(よわ)の人形(かたち)は美街(まち)に努める感覚(いしき)を過ぎ去り、未知に安まる明日(あす)の行方は素人(ひと)と現行(いま)との眺めを保(も)った…。翌朝(あさ)に傾く街の眺めは無知の愛露(エロス)を司春(ししゅん)に装い、幻覚(ゆめ)に纏まる人形(かたち)の愛撫は暗黙(やみ)に繋がる旧来(むかし)を装い、一人(ひと)に始まる神秘(ふしぎ)の脚色(いろ)の初出(はじめ)は不義に安まる過去(かたち)を彩(と)った…。明日(あす)に蔓延る見様(みよう)の景色は脚色(いろ)に解(ほぐ)れた一形(かたち)を習わせ、幻覚(ゆめ)の無口と孤独の柔身(やわみ)は懊悩(なやみ)を見渡す仰臥を絵にして、一人(ひと)の故縁(えにし)と過去に安まる無価値の空間(あいだ)の透りを識(し)った…。普遍に安まる表情(かお)と身欲(よく)から脚色(いろ)と人形(かたち)の悪しきを整え、無知の人形(かたち)に未刻(みこく)が高まる不幸と自然(あるじ)の趣向を彩(と)った…。白亜(しろ)い人壁(かべ)から無告(むこく)が成り立ち、未知と現行(いま)との無口(くち)の合図は一人(ひと)に寄り添う結果を買った…。分厚(あつ)い人形(かたち)の温味(ぬくみ)と躰は過去に基づく愛露(エロス)を保(も)った…。

      *

 …少なくとも、俺はこの夢の中で、一人の女を、内臓を引きずり出したり野蛮な事をして、殺して居た。それが猪女史にはバレて居たらしいのである。そこで俺は彼女に問うた。

「数多の犠牲無くして、医術の進歩はな・い・で・で・しょう」

と猪女史に顔を近付けながら俺は開き直って言って居た。俺以外の他の学生は、そんな俺とは関係無しに、自分に必要な、与えられた仕事だけをし続け、これからどう成るか知れない俺の事などそっちのけであった。「警察に捕まるかも知れない…」とも俺は思って居た。

      *

 一人(ひと)に近付く乱心(こころ)の人陰(かげ)には美街(まち)と懊悩(なやみ)の退屈(ひま)を弄(あそ)んで、幻覚(ゆめ)の低さに驚く経過は懊悩(なやみ)と脚色(いろ)との仄香(ほのか)を問うた…。過去の未知から乱心(こころ)を欲張り、未然に匿う未然の懊悩(なやみ)は暗黙から成る懊悩(なやみ)と素通り、一人(ひと)と欲との乱心(こころ)の肢体(からだ)は美街(まち)に片付く美本(みほん)を識(し)った…。無知の文言(ことば)に白亜(しろ)さを向かわせ、未知と価値との行方と傾く街の過度から男女(ひと)には明かりは低い小宙(そら)への行方を買った…。朗(あか)るく成り立つ凄んだ美味には、低い過去(むかし)の小宙(そら)の主人(あるじ)は人壁(かべ)と暗黙(やみ)との披露の内実(なかみ)は非道に匿う懊悩(なやみ)を識(し)った…。不毛と情事(こと)との内実(なかみ)の行方は暗黙(やみ)の進度(しんど)に女性(おんな)を培い、価値に往き交う文言(ことば)の内実(なかみ)は行方知れずの人波(なみ)を宿した…。美味の過去から悲惨を培い、美街(まち)と暗黙(やみ)との華厳の人形(かたち)は不毛と気味との優れを紐解き、美知(みち)に活き尽(き)る孤踏(ことう)の美街(まち)には不意に安める躍起が勃(た)った…。白亜(しろ)く立たせる不和の宿(やど)みは無心に勝ち尽(き)る不安を淀ませ、未知に纏まる無知の柔裸(やわら)は真芯(ましん)に象る無心(こころ)を保(も)った…。白亜(しろ)い途切れと鼓動の脚色(いろ)にはしどろもどろの好演(こうえん)が立ち、胎児の内実(なかみ)に艶夜(えんや)が成り立つ不和の翳りに身塵(みじん)が成った…。無彩(むさい)に色立つ不義の柔裸(やわら)は神秘(ふしぎ)ばかりを孤踏(ことう)に揺らせ、白亜(しろ)い四季(きせつ)に独理(ドグマ)を相(あい)せる〝不本意…〟から成る聡明も発(た)つ…。女性(おんな)の過去(むかし)に欠伸が発(た)つ頃、旧来挿話(むかしばなし)の孤独に準え、白亜(しろ)い過去(むかし)に孤独が打ち勝つ聡明ばかりが一女(おんな)を可笑しみ、人密(みつ)と未(いま)との翳りの縁(ふち)の淀味(よどみ)は樞ばかりの聡明とも成る。陰府(よみ)に飛び入(い)る試心(こころ)の揺蕩(ゆらぎ)は理心(りしん)に屈(かが)める無彩(むさい)が留(とど)まり、一人(ひと)に励める無己(むこ)の倣いは価値を忘れて素通りして往く…。未然に片付く幻心(こころ)の無形(かたち)は自由に究(きわ)まる小敗地(アジト)を求め、暗(やみ)の内実(なかみ)へ動転して往く純心(こころ)の有形(かたち)を動作に置いた…。暗黙(やみ)に静める文言(ことば)の有形(かたち)は小宙(そら)を求めて明日(あす)を跳び交い、幻覚(ゆめ)の活路へ概(おお)きく羽ばたく湖迷(こめい)の動作に身悶えして居る…。一人(ひと)と千夜(とばり)の自然(あるじ)の小手先(さき)には理不尽から成る小躍(おどり)が騒めき、悲惨と欲との懊悩(なやみ)の一総(すべて)は勝を拾える濡れ衣など彩(と)る…。

      *

 …(三度寝に見た夢)

 俺は岡っ引きを想わす男性利用者を車椅子に乗せて押して歩き、何処(どこ)か知らない街中で、自分の仕事をしなければ成らない様(よう)だった。そんな俺には可笑しいほど体がでかい男と病気持ちの希薄な男職員のポジショニングの幹夫に似た存在が在り、途中から付いて来たのか、愛露(エロス)に遣られた背低の女医が、俺に少々馴れた感じで一緒に居た。とは言っても、いつもの様に、何か少しでも俺が調子を狂わせ、周りの波からズレたりすると、瞬間で敵に寝返る、そんな体裁と内実とを具えての事でもあった。その女医は途中から、腿の太い在宅支援に務める女職員に内実・姿共に変えて居た様(よう)でもある。

      *

 街の分業(ノルマ)に素通りしながら懊悩(なやみ)が傅く乱心(こころ)を顕し、一人(ひと)を通れる無言の自主(あるじ)は無知を列(なら)べて呼吸を撓(しな)らせ、一人(ひと)の欲から徒労を弄(あそ)べる不和の無形(かたち)に解(と)け入り始めた…。一人(ひと)の孤独を精神(こころ)に立たせて、不審に活き尽(き)る徒労を凌げば、文言(ことば)の無形(かたち)に明日(あす)を透らす不審と未(いま)との心配をした…。不倖の夜毎を未然に集めて、人間(ひと)に乗り出す孤々(ここ)の気色は、余暇の憂きから物事など観る不穏と暗(やみ)との結果を保(も)った…。美心(びしん)に射止めた女性(おんな)の暗黙(やみ)には軟身(やわみ)と活命(いのち)の活性が有り、漆黒(くろ)い気色に過去が昇れる暗(やみ)と自己(おのれ)の深夜を知った…。美街(まち)の底から気憶(きおく)が成り立ち、意味を忘れた辞典を観ながら、声を忘れる金糸雀へと鳴る下駄の音(おと)などするする解(と)け生く…。暗(やみ)に近付く人形(かたち)の明日(あす)には小宙(そら)と未(いま)との精神(こころ)を採り出し、白亜(しろ)い人壁(かべ)から無口を這わせた自由と暗(やみ)との空間(あいだ)を描(か)いた…。美街(まち)の灯(あか)りに過去(むかし)を識(し)りつつ、夜半(よわ)の気色を奈落に翻(かえ)し、分厚(あつ)く成り立つ乱心(こころ)の人波(なみ)には未知に失くせる一通(とおり)を保(も)たせた…。身塵(みじん)に包(くる)まる琥珀の日和は非道に活き尽(き)る乱心(こころ)を立たせて、無知に絡まる団子の弾みは暗黙(やみ)に埋(うず)まる男・女(だんじょ)を解(と)いた…。一人(ひと)に解(と)かれる美街(まち)の縁戯(えんぎ)は暗(やみ)に傅く乱心(こころ)が基づき、日暮れ間際の夕日の紅(あか)には永久(とわ)に眠れる涼風(かぜ)が祟った…。意味深から得る苦悩の年輩(やから)は人密(みつ)の傍(そば)から絵具(えのぐ)を採り出し、美街(まち)の歪(ひずみ)に脚色(いろ)が遠退く軟い活路を応援して生く…。人街(まち)の快無(オルガ)を感嘆するうち不倣(ふほう)の活命(いのち)を阿漕に観ながら、幻(ゆめ)の生憶(きおく)に一通(とおり)を報せる旧い気色の小敗地(アジト)を射った…。紺(あお)い四季(きせつ)の内実(なかみ)に解(と)け込む〝人山(やま)と初出(いろは)…〟の共有ばかりは、未信に匿う初出(いろは)の界(かぎり)を理知に片付け真実(ほんとう)を観る…。夜の寝床に過去が活き着(づ)く〝人間(ひと)の独語(かたり)…〟は理腕(りわん)を遠退け、何かで在るのに何かでは無い、一人(ひと)の活き血と映像を観た…。情事(こと)の最後と魅惑の列(ならび)は、幻(ゆめ)と夜毎に念想(ねんそう)だけ買い、道標(みちしるべ)に咲く孤独の進度(しんど)は暗黙(やみ)と脚色(いろ)との文句を説いた…。自由の八性(おろち)に未覚(みかく)が遠退き、不和と未(いま)との暗(やみ)への安堵は過去を置き去り未然を賭した…。

      *

 …それと、何か、田舎・愛媛県、昔に母や従兄妹達と嗅いだ、懐かしい、レトロな心地良さを、俺はその街中、又そこへ辿り着く迄の何処(どこ)かで味わって居た様(よう)だった。

      *

 美街(まち)に息衝く孤独の哀れが湖底を攫って女性(おんな)を得る程、幻覚(ゆめ)の労苦は自覚(かくご)を見定(さだ)めて気楼の夜毎を噴散(ふんさん)して居た…。一人(ひと)と現行(いま)との柔らの道には未来(さき)が活き貫(ぬ)く未然が成り立ち、一人(ひと)の未知から孤憶(こおく)が荒める淡い自覚(かくご)が俗世(このよ)を保(も)った…。人間(ひと)に這わせる不頼(ふらい)の世空(よぞら)は遥か彼方に孤独が活き着き、自己(おのれ)の無様に暗(やみ)が仕向ける不義の要局(かなめ)を朗(あか)るく保(も)った…。自由に掴める不思議の活命(いのち)と呼応に迫れる脚力(ちから)の限りは、幻覚(ゆめ)と縁(えにし)の孤独を見限り、一人(ひと)の様子を自由に集める自己(おのれ)の生果を世毎(よごと)に尽して、男性(おとこ)の絵に採る一女(おんな)の揺らぎは過去を相(あい)して耄碌して往く…。旧く堅まる明日(あす)への小敗地(アジト)は理知と未知との遊戯に詳しく、一人(ひと)に陥る孤独の気色は意味を忘れて無機を欲張り、旧(ふる)びた過去(むかし)に空想(おもい)を遂げ生く分厚(あつ)い生気の絵空を結った…。幻覚(ゆめ)の藻屑に腕力(ちから)が活き発(た)ち、一人(ひと)の微温間(ぬるま)に自覚(かくご)が降(お)り立つ神秘(ふしぎ)と意味との昇華が在った…。不自然から観た機微の暗黙(やみ)には不審を彩る自活(かて)を好く観て、白亜(しろ)く成り立つ不和の緩みを過去に片付け脚色(いろ)に追い立て、価値を保(も)てない活路の行方に人山(やま)を見下ろす不産を表れ、未知の自活(かて)より過去が荒める不敗と勇赦(ゆうしゃ)の試心(こころ)を根削(ねこそ)ぎ…、旧い井戸から過去(むかし)が彩る空の所以は真逆(まさか)に降(お)り立ち、奇妙に削がれる真心(こころ)の朗(あか)りは未来(みらい)に紐解く連歩(れんぽ)を採った…。五月蠅(あわ)い恋から不毛が降(お)り立ち、過去の途切れは未来(さき)を丸める幻(ゆめ)の嵩(かさ)への歩先(ほさき)を置き去り、自由の意図から純心(こころ)が紐解く万(よろず)の走馬(うま)とは折り合いすら無く…、意味を射止める未屈(みくつ)の仕種は幻覚(ゆめ)の自主(あるじ)を敬遠して居た…。明日(あす)に膨らむ身欲(みよく)の主観(あるじ)は、煙たい瞳(め)をして呼吸に阿り、白亜(しろ)い景色に譲渡を観て居る過去と未(いま)との邸(やしき)を得た儘、自由を損ねて未来(さき)を信じる孤独と盲者(もうじゃ)の泣き言を観た…。前人未到、勇猛果敢、竜頭蛇尾、我田引水、栄枯知酔(えいこちすい)、曖昧模糊、温故知新、生々流転、安心立命、葦編三絶、意味深長、換骨奪胎、機会均等、完全無欠、旧態依然、公平無私、狐疑逡巡、古色蒼然、旗幟鮮明、鶏鳴狗盗、月下氷人、牽強付会、自縄自縛、秋霜烈日、先憂後楽、明窓浄机、文人墨客、当意即妙、道聴塗説、拈華微笑、薄志弱行、博覧強記、…意味を模(かたど)る人間(ひと)を頼りに試心(こころ)を失い、広い狂気の内と外とを過去(むかし)に煩い随走(ずいそう)して居る…。

      *

 …俺は、岡っ引きに似た男性利用客への介助の対応の仕方に就いて、幹夫に似た上司に怒られて居た様(よう)だ。怒られる、とは言っても、アドバイス程度に何やかんや、言われる程度ではあるが。

 して居る内に、俺は専門学校の施設内の環境に入って居た。この、見た目は専門学校内の景色の内に、何処(どこ)か微かに、洗礼の園、詰り、職場の空気が流れて居る事に俺は気付いて居た。

      *

 嘗ての未知から低目の美味など、気楼と現行(いま)との退屈(いま)の翳りは美彩(びさい)に優れる呼吸を整え、夜半(よわ)の独語(かたり)に不毛を併せる不意と現行(いま)との独自を採った…。白亜(しろ)く成り立つ浮浪に始める不覚を素透(すどお)し、退屈(ひま)と幻(ゆめ)との不毛の空間(あいだ)は尖りを見忘(わす)れた未完(みじゅく)を保(も)たせる…。旧(ふる)びた四季(きせつ)に温度を酔わせて、小宙(そら)と未(いま)との個録(ころく)を這わせて、浮浪に徹する孤独の生跡(あと)には欠片(かけら)を象(と)らない紺(あお)さの大海(うみ)へと疾走(はし)って入(い)った…。無純(むじゅん)と安味(やすみ)の無重を問わせて、未(いま)を安める人頭(どくろ)の欲には男女(ひと)の怪奇と神秘を模(かたど)る…。旧(ふる)びた時計に暗黙(やみ)が跳び込み、未覚(みかく)の頭上(うえ)から孤独を問うのを過去(かこ)から弄(あそ)んで高級に在り、人密(みつ)に積もれる個録(ころく)の暗間(やみま)は活きに絶えない生義(せいぎ)を彩(と)った…。不彩(ふさい)に活き取(ど)る呼吸の総理(すべて)は、人密(みつ)に象る不彩(ふさい)に生き付(づ)け、不彩(ふさい)に被(こうむ)る私欲(よく)の身重は過去に見詰める惨さを保(も)った…。普遍に見積もる有機の総ては人密(みつ)に限れる不安を見積もり、杜(もり)の内(なか)から俚諺が勝ち取る不和の主人(あるじ)を孤高に解(と)いた…。過去への価値から三國(みくに)が寄り添い、不明に朗(あか)るい孤独の自然(あるじ)は絡みに見付けた幻想(ゆめ)を絵に観て、一人(ひと)と浮惑(ふわく)の無知には未録(みろく)の頭上(うえ)から漫々(そろそろ)鳴った…。活命(いのち)に身近(みじか)く人壁(かべ)が成り立ち、白亜(しろ)く挙がれる無垢の微温味(ぬるみ)は旧い人扉(とびら)の過酷を見出し、翌朝(あさ)の撓(たわ)みを私欲(よく)の目下(ふもと)は朗(あか)るく煌(かがや)く五月蠅(あわ)さを飼った…。無刻(むこく)を活き尽(き)る独理(ドグマ)の要素は人間(ひと)に落ち着く文言(ことば)を跳び越え、遣る瀬無いまま俗世(このよ)を生き貫(ぬ)く暗黙(やみ)の静寂(しじま)と静寂から見て、不意を想わす旧い水面(みなも)は身欲(よく)を暈して透って入(い)った…。分厚(あつ)く成り立つ小言の脆弱(よわ)さは過去と未(いま)と予防を見ながら、小宙(そら)の許容(うち)から乱心(こころ)が降(お)り立つ不敗の一通(とおり)に賢く成った…。未完(みかん)に色付く孤独の要素は人間(ひとのあいだ)を浮き浮きしながら、未来(さき)を識(し)らない孤独の小声(こえ)から予防を従え生跡(きせき)を訴え、忍び足から明日(あす)を構える無謀の気色に移り変わった…。暗(やみ)の許容(うち)から乱心(こころ)を保(たも)たせ、愛露(エロス)を仕留めて冒険へと出て、人島(しま)に立たせる欲の主人(あるじ)は禍根を見知らず高名を観た…。何が正確…何が正義に…男性(おとこ)と一女(おんな)の苦労の成果(はて)には私欲(よく)を識(し)らない頼り無さを見た…。不毛に与(あずか)る幻覚(ゆめ)の快無(オルガ)は、無知に勝ち取る不倫を富ませ、問われて間も無い一人(ひと)の結晶(かたち)は懊悩(なやみ)に失くした勇気を乞うた…。

      *

 …鹿児島産れの口煩(くちうるさ)いママが、俺と同じ様に、脆(よわ)くて正直な男性利用者を車椅子に乗せて押して歩いて居た。口煩いママは、入浴介助の恰好をして居た様で、これまで見て来た通りに、忙(せわ)しそうな雰囲気をぷんぷん漂わせて居た。

      *

 …過去の孤独を改め見直し、幻覚(ゆめ)の宙(そら)から旧(むかし)を想わす人密(みつ)の歩幅を女性(おんな)に見渡せ、しどろもどろの栄華の内実(なかみ)は実に耐え貫(ぬ)く独語(かたり)を改め、一人(ひと)の欲から精神(こころ)を解(と)かせる不本の快無(オルガ)を無頂(むちょう)に強いた…。美街(まち)の隅から凝(こご)りを失くされ、自由に這い出た無根の柔身(やわみ)は、一人(ひと)の成果に不通を象る無垢の形身(かたみ)に総じて在った…。美街(まち)の形身(かたみ)に自由を問わせる乱心(こころ)の初出(いろは)に人密(みつ)を慕った…。自由を模(かたど)る模範の欲には白亜(しろ)い人壁(かべ)の懊悩(なやみ)に感覚(いしき)が成り立ち、未知に活き尽(き)る暗夜(やみよ)の仕種は無尽に安まる朝陽を描(か)いた…。文学(がく)の模写から自由を添わせて、一人(ひと)の身欲(よく)から生気を促す美街(まち)の総出は愚行(おろか)を買った…。一人(ひと)と感覚(いしき)の無痛の感覚(いしき)は街を彩る無痛を辷らせ、未知に匿う無垢の刺激は暗夜(やみよ)と未(いま)との激動(しげき)を採った…。吉(きち)に流れる不変の欲には無知と過去との欲を見出せ、自由を抉(こじ)らす文言(ことば)の手繰りは類(るい)を忍ばす刺激を彩(と)った…。無知に活き着く文言(ことば)の陰(やみ)には陽(よう)に匿う電車を酔わせて、白亜(しろ)く成り立つ美街(まち)の初歩(いろは)は嘗てを識(し)らない交互を識(し)った…。旧い葦(あし)から乱心(こころ)が解(と)くのは無知に息衝く乱心(こころ)を流行(なが)し、女性(おんな)の活路を突拍子に訊く過去と暗黙(やみ)との発狂を見た…。女芯(にょしん)に悩ます道路(みち)の悩みは過去と未(いま)との身欲(よく)を想わせ、自己(おのれ)の無知から自覚(かくご)を想わす無尽を介する栄華を象(と)った…。人街(まち)の脚色(いろ)から無言が遠乗り、自由に羽ばたく無知の軟さは幻見(ゆめみ)る緩さを禍根に盛(も)った…。一人(ひと)に限れる乱心(こころ)の旧さは無垢に安まる慈善の正義で、一人(ひと)に知られず不安に遠退く既知に好(よ)く成る有望を観た…。美街(まち)に囲める孤々(ここ)の内実(なかみ)は勇赦(ゆうしゃ)は美智(みち)に究(もと)める自由を彩(と)った…。価値の身欲(みよく)に無言(ことば)が成り立ち、神秘(ふしぎ)と現行(いま)との暗(やみ)の真逆(まさか)は信理(しんり)に基づく普遍を解(と)いた…。過去に燃やせる自由の匣には不通が透れる不可思議が発(た)ち、不審に匿う精神(こころ)の所以(ありか)を瞬時に躱せる不婚(ふこん)の従者を枕に投げた…。自己(おのれ)の人密(みつ)から自由が成り立ち、貴(たっと)ぶ哀れは普遍の欲には、自由に好転(ころ)がる旧(むかし)の空間(あいだ)が美街(まち)を彩る不審を挙げた…。白亜(しろ)く掲げる身欲(みよく)の牙城(とりで)は「自由…」を吃(ども)らす身塵(みじん)を素透(すどお)り、五月蠅(あわ)い気色にその眼(め)を悩ます向こう仕掛けの柔さが在った…。

      *

 …幹夫は、忙(せわ)しい女と、忙しい女を見て居た俺の方を見て、ぽそと呟いた。

「…そんな介護やるなんて、悲しいわ…」

 嫌味たっぷりである。嫌味たっぷりの口調を以て、幹夫(やつ)は、俺と忙(せわ)しい女の方を向いて言って来た。丁度、幹夫がそのとき居た位置から見れば、俺と忙しい女が正面に居る、と成り、俺を見ても忙しい女を見ても、結局、俺と忙しい女の両方を幹夫は見る姿勢を取る事に成り、実際、忙しい女に向かって言ってるのか、俺に向かって言ってるのか、そんな幹夫を見ただけでは判断し辛いのであった。幹夫はどうやら、岡っ引きを連れて居る俺に対してではなく、脆(よわ)く正直な男を連れて居る忙しい女に対して「悲しい…」と言って居た様だった。何でも、忙しい女の介護の有様(ありさま)が、利用者(脆く正直な男)の気持ち・意図をまるで無視して居る、介護者本位を全面に出した介護であるとして、怒って居た様(よう)であった。「怒って」とは言っても、実際に幹夫が忙しい女を呼び止めて叱る・怒る、と言うシーンは無かった。

      *

 過去の欲から身悶えして往く悲壮と身欲(よく)との快無(オルガ)の内実(なかみ)は、無知に活き尽(き)る独理(ドグマ)の内での異様の気色を捩って行った…。白亜(しろ)く成り立つ不義の背中は見様見真似で故縁(えにし)を安め、児(こども)と身欲(よく)との縁(えにし)の一通(とおり)を旧い人形(かたち)に葬り始めた…。不穏に活き尽(き)る分厚(あつ)い暗(やみ)には自由を愛する気楼が湧き立ち、旧い馴染みの夜半(よわ)の陰から人間(ひと)の栄華は素通りして往く…。男性(おとこ)と女性(おんな)の虚しさから発(た)つ暗(やみ)に活き尽(き)る不穏の自主(あるじ)は幻覚(ゆめ)に究(もと)める不良を従え、不安を絵にする文言(ことば)の絵図には無価値の進度(しんど)が相乗して生き、不和に匿う無知の夜毎は不倫を二重(かさ)ねて概(おお)きく成った…。過去と現行(いま)との身欲(よく)の快無(オルガ)は不安に固めた未然を湧かせて、白亜(しろ)く成り立つ淡い四季(きせつ)は旧い夜毎を連念(れんねん)して往く…。未知の高みに美欲(びよく)が顕れ、自由と未(いま)との安(やす)みの果てには、自己(おのれ)の人密(みつ)から気色が焦がれる人間(ひと)の無欲を独身と観て、一女(おんな)の活命(いのち)を精神(こころ)に安める不彩(ふさい)の人形(かたち)にそのまま置いた…。見様見真似に呑気を匿い、自己(おのれ)の肢体(からだ)に凡気(ぼんき)を養い、普遍と現行(いま)との安みの許容(うち)には未(いま)を信じる謳歌を感じ、退屈(ひま)を余せる労苦の年輩(やから)は空虚を眼(め)にして易しく跳んだ…。街の仄香(ほのか)を愛して居ながら、過去の身欲(よく)には懊悩(なやみ)が漲り、一人(ひと)と愛撫の夢中の果てから生憶(きおく)ばかりを下等に得ながら、旧い人形(かたち)に角(かど)を焚かない素人(ひと)の千夜(とばり)に空間(すきま)を観て居る…。自由に相(あい)する我欲(がよく)の許容(うち)には真昼の幻覚(ゆめ)から煩悩(なやみ)が活き発(た)ち、杜撰に振舞う無刻(むこく)の遊戯は過信を知りつつ不彩(ふさい)を知った…。自由に振舞う孤独の弄(あそ)びは不審に包(くる)まる自由を掌(て)にして、人間(ひと)の欲から気憶(きおく)を模(かたど)る理才(りさい)の瞬時(とき)への疾走を得る…。不安に幻見(ゆめみ)た一人(ひと)の体裁(かたち)は過去の生憶(きおく)を自由に操り、身塵(みじん)の目前(まえ)から可能(かぎり)を得て往く街の生憶(きおく)を安堵へ懐ける…。未知に匿う幻(ゆめ)の途切りは、一人(ひと)の経過を感覚(いしき)に堕として、過去の身辺(あたり)を逆創(ぎゃくそう)して往く不潔ばかりの人間(にんげん)に発(た)つ…。

      *

 …それから俺は、幹夫と、愛露(エロス)が漂う浅黒い肌の看護婦(のちに太腿の太い女子)と、車椅子に乗せた岡っ引きと一緒に、見た様な見た事無い様な、大阪のE教会に行く迄にある、あの片町線の高架の左下を通る小路(こみち)を、歩いて居た様(よう)だった。

      *

 一人(ひと)に疾走(はし)れる独創(こごと)の了(おわ)りは過去の人形(かたち)と愛露(エロス)を素通り、自己(おのれ)の価値から一通(とおり)を養う不通の活命(いのち)を要局(かなめ)に採る内、気楼と欲との安土の果(さ)きには無知に安まる進化を彩(と)った…。一人(ひと)と幻(ゆめ)との行李の内には幻(ゆめ)の過保護と度擬魔擬(どぎまぎ)しながら、女性(おんな)の独語(かたり)に主観(あるじ)を忘れた春の望みを背中に置いた…。一人(ひと)の過去から一灯(あかり)が差し込む夜半(よわ)の目下(ふもと)は自動を手招き、一人(ひと)と未(いま)との暗(やみ)の主人(あるじ)は過去と未(いま)との過保護を得る内、気楼と暗(やみ)とに二服(にふく)を束ねる幻(ゆめ)の栄華の目下(ふもと)を保(も)った…。一人(ひと)の故録(ころく)に浮気が成り立ち、不穏に活き尽(き)る懊悩(なやみ)の総ては一人(ひと)と暗(やみ)との効果を嗜み、街に片付く無垢を幻見(ゆめみ)る不動の旧(むかし)と悲壮を保(も)った…。白亜(しろ)く成り立つ不倖の人見(ひとみ)は街に色付く孤独を保(も)った…。美街(まち)に囲める白亜(しろ)びた孤独は旧(むかし)に色付く人形(かたち)に振舞い、美街(まち)に匿う暗(やみ)の合図は不感に色付く精神(こころ)を採った…。未知に囲める無価値の行方は一人(ひと)の合図と乱心(こころ)を投げ掛け、非道に匿う故録(ころく)の小敗地(アジト)は美街(まち)に蔓延る故録(ころく)を描(か)いた…。自由と活気の幻覚(ゆめ)の初出(いろは)は身塵(みじん)に紐解く白壁(かべ)を想って、一人(ひと)に象る乱心(こころ)の姿勢(すがた)は対等から成る恰好(かたち)を解(と)いた…。自由に匿う乱心(こころ)の欲には掌(たなごころ)に立つ旧(むかし)に列(なら)び、未知に象る不浪(ふろう)の吐息は自由と未(いま)との躍起と成った…。街に色付く小言の行方は白亜(しろ)く安まる無口に色付き過去に与(あず)ける暗(やみ)の快無(オーラ)は自由に羽ばたく独創(こごと)を問うた…。一人(ひと)の感覚(いしき)に脆さが立つうち幻覚(ゆめ)に留(とど)まる輪郭(かたち)は概(おお)きく、自己(おのれ)の美形(かたち)に乱心(こころ)が静まる孤高の集成(シグマ)に丁度好かった…。美街(まち)に高まる一人(ひと)の微温味(ぬるみ)は無知と現行(いま)との集成(シグマ)に片付き、美街(まち)に色付く上気は退屈(ひま)を余せる浮惑(ふわく)を採った…。過去と未(いま)との乱心(こころ)の内実(なかみ)は美街(まち)に片付く夜半(よわ)を企み、漆黒(くろ)く流行(なが)れる街の人山(やま)には浮浪の目下(ふもと)が朗(あか)るく成った…。涼風(かぜ)に片付く無知の欲には一人(ひと)に落ち着く小宙(そら)が拡がり、人山(やま)に息衝く迷路の巧みは広い背中に未屈(みくつ)を表し、過去に成り立つ乱心(こころ)の行方は美彩(びさい)と現行(いま)との独語(かたり)を保(も)った…。未知に活き着(づ)く文言(ことば)の無知には過去に基づく琥珀を見出せ、白亜(しろ)い人煙(けむり)に精神(こころ)が成り立つ不彩(ふさい)と脚色(いろ)との風物が発(た)つ…。未知に息衝く孤独の柔味(やわみ)は美彩(びさい)に色立つ神秘(ふしぎ)を立たせ、素人(ひと)と暗黙(やみ)との孤独の初出(いろは)は美街(まち)に色付く文言(ことば)を保(も)った…。

      *

 …そんな幹夫が、今度は俺に、岡っ引きへの介護の事で駄目出しをするかの如く、嫌味なアドバイスをして来た。「もっと岡っ引き自身の意図・主張に従い、岡っ引きに、岡っ引きの好きな所を歩かせ」と言うのである。

 俺は岡っ引きを連れて、何か妙なアスレチックの様(よう)な場所へ来て、そのアスレチックへは、夢の中で一度俺が来た事がある、と言う事に成って居る。そこには学校のクラス内に見る光景・情景が在り、俺はそれ等を見て居り、そうしながら、岡っ引きがこのアスレチックの様(よう)な場所を無事渡り終える様(よう)にと、後援(そば)で転倒せぬよう見守りをして居た。岡っ引きは妙にやる気を出して車椅子から立ち上がり、アスレチックにほいほいほいほいほいと挑戦して居た。初め結構こけそうになって居たが、その内から慣れて来たのか、比較的、調子良く行って居た。そのアスレチックは暫くして見ると、岡っ引きのリハビリ用の器具・環境として在った様(よう)だった。

      *

 …未知の生憶(きおく)に自由が発(た)つ内、幻想(ゆめ)と孤独の理想の疾駆(はしり)は夜半(よわ)に跳び往く小言と偽り、自己(おのれ)の小声(こえ)から自由を干すうち小宙(そら)の内実(なかみ)は恰好(かたち)を調え、暗(やみ)の集成(シグマ)と独創(こごと)の主観(あるじ)は身悶えしながら気配を詠んだ…。美街(まち)の突起に身悶えする頃、柔い信者がどんより曇(くも)れる初春(はる)の静寂(しじま)に揚々成る内、幻覚(ゆめ)の独創(こごと)と独理(ドグマ)の総ては見様見真似に失踪して活き、過去を忘れた苦労の両刃(やいば)は禍根を忘れて許容を見定め、人間(ひと)の労苦を快無(オルガ)に苛む過去の生憶(きおく)へ堕として行った…。見様見真似に厚手の人壁(かべ)から遠路を想わす不純を見定め、女性(おんな)の残香(かおり)に小言を見送る自由と未(いま)との結界だけ観て、人間(ひと)と独歩(ある)ける人密(みつ)の一夜(とばり)は過去(むかし)を忘れて堂々哭(な)いた…。男女(ひと)の奈落に孤独が積むのは身欲(みよく)の内への孤独と知りつつ、非道に流離う旧(むかし)の巨躯(からだ)は街に広がる故縁(えにし)に同じで、人密(みつ)と往方(ゆくえ)の自然(あるじ)の界(かぎり)は街に静まる夢中を彩(と)った…。自由に手招く主人(あるじ)の巨躯には不変の感覚(いしき)が柔軟でもあり、一女(おんな)の欠片(かけら)を小言に置く程「過去の生果」は翳りを知らない…。男性(おとこ)の残骸(むくろ)に紐解く漁師は、幻(ゆめ)と栄華の気楼に忍び、暗(やみ)に縋れる言葉の自然(あるじ)は許容を識(し)らない未婚に在った…。無秩序から成る生気の往方(ゆくえ)は、諸星(ほし)の隙間に人密(みつ)が蔓延る無知と未(いま)との柔味(やわみ)を訴え、人間(ひと)に識(し)られず空虚を悦ぶ自然に突き出る謳歌が跳び生く…。白亜(しろ)く成り立つ不義の逆芽(さかめ)は自由に死に往く男・女(だんじょ)を観る内、奇進(きしん)に寄り着く小言の脆味(よわみ)は過去を忘れて道徳だけ識(し)り、自己(おのれ)の未知から労苦を呈(あらわ)す自由と現行(いま)との柔味(やわみ)を拵え、退屈(ひま)を観せずに禍根を呈(しめ)せる欲の音頭を失走(しっそう)させ得た…。夢中の途切りと身欲(よく)の温度は過去を見忘れ傀儡(どうぐ)を置き去り、幻覚(ゆめ)の身欲と効果を語れぬ女性(おんな)の使徒から演戯を観た後(のち)、一人(ひと)の空虚を未然に愛せる夜半(よわ)の真話(しんわ)の過去(むかし)に上気を見知らぬ気楼と心理の受難を退(の)けた…。無言の集成(シグマ)にその実(み)を寄せつつ、光沢(ひかり)の内から快無(オルガ)を飼うのは、幻(ゆめ)の身寄りに厚かましく成る渡航の労苦へ従う如くに、幻覚(ゆめ)と快無(オルガ)の暴挙の姿勢(すがた)は絵具(えのぐ)を忘れた連怒(れんど)に等しい…。幻覚(ゆめ)の旧(むかし)に無戒(むかい)を試み、小宙(そら)の許容(うち)への試心(こころ)を観るのは、人山(やま)と人壁(かべ)との挟み撃ちに在る古豪の連怒(れんど)の感覚(いしき)と成った…。一人(ひと)の主観(あるじ)に未亡を見送り、夜半(よわ)の進度(しんど)を理算(りさん)に採るのは、寡暮らしに飽き飽きして居る自体(おのれのからだ)の痛快でもある…。

 過去の感覚(いしき)へその芽(め)を編むのは、所々の器用に等(おな)じく、幻覚(ゆめ)の主観(あるじ)と文言(ことば)を見付ける古豪の気色の真逆(まさか)と成った…。人の恋から暗(やみ)を追い駆け、無造(むぞう)に逆らう天女の姿勢(すがた)は文言(ことば)を捻(ひね)り…、一人(ひと)に逆らう無様の恋とは疎遠に名高い進歩を置いた…。白亜(しろ)く揺らめく起死の往方(ゆくえ)は人密(みつ)を絵に観て気楼を描き、人間(ひと)に好く成る試心(こころ)の灯(あか)りを空転(まろび)の姿勢(すがた)へ散々透らせ、信仰(まよい)の姿勢(すがた)へ人間(ひと)を驕らす無垢の演戯を身に付けさせた…。暗(やみ)に逆巻(さかま)く試心(こころ)の自主(あるじ)は過去を忘れて一通(とおり)に逆らい、想い想いの生果を見送る安味(やすみ)の姿勢(すがた)を生(せい)に謳った…。人密(みつ)の姿勢(すがた)に主人(あるじ)が綻ぶ過去の身欲(みよく)は瞬時(とき)を見忘れ、幻(ゆめ)の翁へその芽(め)を買われる人密(みつ)の姿勢(すがた)に身を寄せながらも、端正(きれい)に誇れる過去の栄華は身欲(よく)に巻かれて孤独を按じ、暗(やみ)と光明(あかり)を一重(ひとえ)に見付ける疲労の一点(あかり)にその実(み)を寄せ得た…。未開に見送る幻(ゆめ)の流行(ながれ)は想い想いの社(やしろ)を跳び越え、人山(やま)に好く観る神秘(ふしぎ)の残香(かおり)は美街(まち)に解(と)け込む柔裸(やわら)を身に付け、自己(おのれ)の白亜(しろ)さに身悶えして生く過去の栄華は生憶(きおく)を置く儘、無心に透れる〝しどろもどろ…〟は暗中模索に新参して居た…。男女(ひと)の快無(オルガ)に虚無を観る内、過去の身欲(よく)から理性が湧き出て、暗黙(やみ)に未(いま)との労苦の成果(はて)には未知に活き出す理想を拡げて、過去の欲から素人(ひと)を仕立てる幻覚(ゆめ)の温度を謳って在った…。無痛の記憶が茂(しげ)りに潜み、女性(おんな)の艶(あで)には男性(おとこ)が死んだ…。過去の残香(かおり)に集成(シグマ)が活き出し、人間(ひと)の真傍(まよこ)に突き出る陽射しは揚々危ない生路(きろ)を辿った…。理知に活き出す試心(こころ)の強欲(よく)には漆黒(くろ)い小宙(そら)から梯子が観得て、気楼に象る自由の価値には理心(こころ)に活き発(た)つ孟夏が在った…。一女(おんな)の気楼に過去(むかし)が解(と)け込み、幻覚(ゆめ)の生縁(えにし)は盤石成れども、夜半(よわ)の一滴(しずく)に人密(みつ)を飼うのは気楼と主観(あるじ)の孤独と成った…。

      *

 …岡っ引きが転倒せぬよう、後援して居た俺が岡っ引きの後(あと)に付いて、クラスに居た生徒(高校生くらいで男子しか居らず、大学生までには成って居ないようだった)が笑顔を以てこちら(俺と岡っ引き)の方を見、俺は「ああ、こいつらにも一応歓迎されてるな、良かった…」と胸を撫で下ろしながら、又、岡っ引きと二人で歩いて行った。その時、何故か俺は、「昔、職場でサッカー選手として選抜メンバーに選ばれた時に、一回ここ(アスレチック)に来た事あるかも…?」等と思い返して居た。そう呟く俺に、太腿(ふともも)が太い先輩女子職員と浅黒く愛露(エロス)を漂わす女医の両者を表す女の存在が現れて、「そうよ、そうに違い無いわ」と俺に言い、俺を励ましてくれた。その女の姿形(すがたかたち)は、目が座って無表情を呈する女医だった。しかも、俺にそう言ってくれる女医(太腿の太い女)が居る場所は、学校のクラス内から外に出て、あのE教会の高架の左下に在る小路(こみち)か、又、それに似た別の小路に成って居た。又、クラスの中からその光景に辿り着く迄に、専門学校の中の光景もおそらく俺は感受して居た。何か、実際に見た内装より、大きな内装を構えた専門学校内だった。

      *

 …一人(ひと)の孤独に暗夜(よる)が仕上がり、未然に過去が蹴上(けあ)がる情緒の人山(やま)には、幻(ゆめ)の身憶(みおく)が棚引く海馬(かいま)に両腕(うで)が巻かれる化身を紅(あか)らめ、自己(おのれ)の刹那に一通(とおり)が割かない未重(みじゅう)の禿冠(かむり)の億劫など立つ…。人間(ひと)の欲から家来が湧き出て、過去と現行(いま)との安みを得るのは、幻覚(ゆめ)に撒かれる一人(ひと)の芥(あくた)と未来(さき)を観た儘、一向動かぬ気色と成った…。現行(いま)に始まる旧(むかし)の気憶(きおく)は自由の芽(め)に発(た)つ感覚(いしき)に同じく、淡い景色に美識(びしき)が二重(かさ)なる幸先(さき)の見えない遁世から成り、旧い世捨てに未来(みらい)を悦ぶ過去の栄華の阿りでもある。幻覚(ゆめ)の男・女(だんじょ)と現(うつつ)に吟味(あじ)わい、一人(ひと)の感覚(いしき)は独理(ドグマ)を識(し)りつつ、無知の角(かど)から未来(さき)を保(も)ったが…淋しい独理(ドグマ)に伝って入(い)った…。一人(ひと)の未知から空虚が静み、暗(やみ)と刹那の芥(あくた)の頭上(うえ)では素人(ひと)が静(しず)んで、幻覚(ゆめ)の幻理(げんり)に身近を安める旧(むかし)凌ぎの遊興(あそび)を従え、遊離に身悶え感覚(いしき)を頼れる〝旧い儀式〟の空虚を採った…。過去の世に立つ男性(おとこ)を女性(おんな)、自由に燃え立つ集成(シグマ)の概(おお)くは自由を肴(さかな)に飢えて失くなり、一人(ひと)の一通(とおり)に懊悩(なやみ)を識(し)らない思いの浮惑(ふわく)を空(そら)に見尽す…。遊覧して往く旧(ふる)びた気憶(きおく)は自己(おのれ)の躰を人山(やま)へと放り、旧い過去から無心を叫べる暗黙(やみ)の安土に盲目を見た…。自由を掌(て)に採る乱心(こころ)の日蓋(ひぶた)は煩悶ばかりを必要に見て、男性(おとこ)と一女(おんな)の成れの果てから憂き世離れの未来(みらい)を採った…。自由に燃え立つ活き血を拵え、先行するのは夜半(よわ)の渚で、一人(ひと)の返りを導く快無(オルガ)は根廻しにも咲く無轍(むてつ)と成った…。

      *

 …その「大きな内装の専門学校内」を見た時、俺は、一生徒に成り、「トイレに行く」と言って又、喫煙所に行くと言う術(すべ)を採ろうかとして居た様(よう)で、そわそわして居た。そのとき教壇に立って教えて居たのは、何か厳しそうな先生だった。幹夫にも病気持ちの介護主任補佐、喜怒哀楽の焦点が総て合わない無機質な巨人にもゲジゲジ野郎にも似て居たかも知れない。未熟の感を保(も)つ紅(あか)い少年の姿がクラス内に在り、奴を見ると、知って居る奴に会え、また紅(あか)い少年が大人しい奴だった為か、俺は妙に安心出来た。

      *

 一人(ひと)の内実(なかみ)に夜が訪れ、過去の独語(かたり)に自由が居る時、不満の彼方に可笑しく匿う人間(ひと)と故縁(えにし)の離縁を考え、常識外れの孤独の層など幻覚(ゆめ)の身辺(あたり)へ振り撒き老いた…。未信に活き尽(き)る自由の魔の手は人間(ひと)と現行(いま)との脆弱(よわ)さを培い、人山(やま)に匿う過去(むかし)の塒は自由に安まる自然(あるじ)を失くされ、一人(ひと)に基づく幻(ゆめ)の身辺(あたり)は架空(そら)の辺りで搔き消され往く…。非道い自覚(かくご)の活き血の内実(なかみ)は幻(ゆめ)の魅力と後悔だけ見て、旧い夜半(よわ)から自覚(かくご)が吃(ども)らす器用の日中(ひなか)は過去(むかし)に失(き)えた…。無知に概(おお)きく捕われ始めて、人物(もの)の無惨に勇気を持てども、低い彼方へ秩序を認めぬ淡い刹那は烏合を培い、暗黙(やみ)の許容(うち)へと素人(ひと)を投げ込む過去の懊悩(なやみ)にその掌(て)を打った…。自由と現行(いま)とが交錯する時、五月蠅(あわ)い表情(かお)には活力(ちから)が漲り、自己(おのれ)の白亜(しろ)さに残香(かおり)が漂う無心の日(ひ)の手に喉が張り裂け、旋風(つむじ)の夜(よ)に見る世毎(よごと)の生気は呑気を識(し)りつつ降参して居た…。自由に跳び交う旧(むかし)の気憶(きおく)は蝦夷を忘れて無頼を着飾り、旧い暗(やみ)から世話師(せわし)を求める憂いの日(ひ)の粉(こ)を随想させ得た…。自由の日(ひ)の粉(こ)に自己(おのれ)の語れる見様(みよう)の八頭(おろち)は随参(ずいさん)して居り、暗(やみ)の静寂(しじま)へ端正(きれい)に静まる懊悩・無適(むてき)の自治に宿った…。過去の寝間から独語(かたり)が湧き出し、暗黙(やみ)の白亜(しろ)さに安土が載る頃、自由と退屈(ひま)とが哀れに名高い自己(おのれ)の合図と夜毎を延いては、器用を見限る乱心(こころ)の上手(じょうず)と問わず語りの延命にも成る…。女性(おんな)の同調(シンパ)に男性(おとこ)が片付き、問わず語りの四方(よも)の行方は横行して活き、過去(むかし)と未(いま)との蛙(かわず)の周りは熱を解(と)かない怜悧を究(もと)めて、人物(もの)の行方に八頭(おろち)を幻見(ゆめみ)を群れの許容(うち)へと返って入(い)った…。過去との懺悔に得(とく)を寄越さず、奇麗事から懊悩(なやみ)が射るのは、「それしか出来ない男性(おとこ)…」の総てを暗(やみ)の網羅へ位置付け始めて、美街(まち)へ傾く非道の連歩(れんぽ)は感覚(いしき)を失くして返って行った…。自由に培う乱心(こころ)の主宴(うたげ)は過去の輪舞曲(ロンド)と純心(こころ)を寄り添い、暗黙(やみ)の肴(さかな)に小敗地(アジト)を採るのは過去の身辺(あたり)と成就して往く…。見栄と欲との煩悶ばかりが躰を培う愚行(おろか)を幻見(ゆめみ)て、脆弱(よわ)い正義の目下(ふもと)と未(いま)には退路を魅せない気楼を編んだ…。

      *

 …俺は結局喫煙所に行って居り、そこに紅(あか)い少年や、栗きんとん好きな鬱陶しい男も居たかも知れない、又他にも大勢が居て、こいつ等は皆、授業中に授業をさぼって一服しに来て居る奴等であり、俺は「ああ、こんなに居てくれるのか」と安心を覚え、その人渦(じんか)の中に入って行った。

 岡っ引きの居るアスレチックへまで戻った。岡っ引きは無事、車椅子へ戻れた。その成功を見て、浅黒い女医(太腿の太い先輩女子職員)・幹夫は変らず俺の味方に付いてくれた様(よう)だった。

      *

 

…未知と生憶(きおく)の杜撰の瞳(め)を保(も)ち、過去を波(わた)れる奇妙の藻屑は人間(ひと)の効果を恨んで居ながら、白亜(しろ)く成り立つ一人(ひと)の生気は自由の芽(め)に発(た)つ過度を見据えて…、自由の孤(こ)に発(た)つ故刻(ここく)の空間(あいだ)は人間(ひと)に寄り添い我儘を観た。幻覚(ゆめ)の過憶(かおく)に精神(こころ)が立つ内、奇妙と未(いま)との効果は失(な)くなり、女性(おんな)の果(さ)きから乱情(こころ)が往くのは謳い文句の総出を絵にして…、刻(とき)と一幻(ゆめ)との御託の概(おお)くは過去に覗ける寄進を識(し)った…。自由に認(みと)める自己(おのれ)の活命(いのち)は素人(ひと)の活き血を個録(ころく)に突き立て、脆弱(よわ)い独語(かたり)を光沢(ひかり)に置くのは素人(ひと)の活気と快無(オルガ)と成った…。過去に寄り立つ故縁(えにし)の柔裸(やわら)は、従順にも咲く呼吸を識(し)り付け、承ける義務への道標(みちしるべ)に立つ不毛と義術(ぎじゅつ)の直下と成った…。美街(まち)の波(なみ)から乱心(こころ)が退(の)かされ、旧びた正義は乱心(こころ)を取り持ち、暗黙(やみ)の許容(なか)から過去が萎(しな)びる不良の主人(あるじ)は斬新(あらた)だけ見て、幻覚(ゆめ)に見据えた気憶(きおく)の陰(かげ)には選り取り見取りの砂濱(すなはま)が在る。一人(ひと)の未憶(みおく)に乱心(こころ)が織り成す表情(かお)を持たない温味(ぬくみ)の翳りは、一人(ひと)の調子に散々歪める人密(みつ)の生憶(きおく)と宿借(やどか)りを観た…。一人(ひと)の空虚に未然が経つ内、過剰の論理は試算を牛耳り、幻覚(ゆめ)と未(いま)との空虚の欠片(かけら)は未然の感覚(いしき)へ苛まれて往く…。不変の孤独に宙(そら)が在りつつ、過去の生気は人間(ひと)を見遣って、自己(おのれ)の文言(ことば)を美街(まち)に積むのは夢中に名高い景色と成った…。幻覚(ゆめ)と活命(いのち)の綱渡りに在り、非道を描(えが)ける懶惰の進みは、幻覚(ゆめ)の悪(あく)から生義(せいぎ)を懐ける無想の静寂(しじま)を脆弱にも観て、気楼に紛れた文言(ことば)の角(かど)には暗(やみ)に架かれる温度を保(も)った…。気楼に見積もる滑稽(おかし)な静寂(しじま)は幻覚(ゆめ)と生気の輪郭(りんかく)から成り、素通りして往く試心(こころ)の自主(あるじ)は過去に流れた庵摩(あんま)を識(し)った…。男女(ひと)の流行(ながれ)を巨躯に観る頃、脆弱(よわ)い中和に過去(むかし)が擦(す)り寄り、通り縋りの記憶の許容(なか)には道標(みちしるべ)に立つ温度が静まり…、昨日に見果てた藪の白味(しらみ)は過保護を攫ってその実(み)を懐けた…。


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~角(かど)の静枝(しずえ)~(『夢時代』より) 天川裕司 @tenkawayuji

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