総評

 ……正直ぶっちゃけると、感想文書けるほど特に感想もない話ではありました。


 ただそれぐらい薄く、軽く、何もないのが、昨今のトレンド、ネット経由で書籍化するための条件なのでしょう。


 そう言う観点で言えば、今回の本は正しくテンプレート、教科書に載せたいぐらい型からはみ出ない、穴埋め問題でした。


 徹底的に説明を省いたダイジェスト、設定やら描写やらを抽象的にぶん投げてストーリーだけを書き連ねる形式は、こんなんで良いのかと正直驚かされました。ですが、もとより他からの流用のみで構成されているため、わざわざ言わなくてもわかることだけで構成されているからこそ、ここまでバッサリできるのだと思います。


 仕方なく出す固有の設定も、必要となった直前に出して、それだけで終わらせてすぐに次へと行く。よくウンチクは女性に嫌われると聞いていましたが、ここまで削ぎ取る必要があるとは、認識が少々甘かったです。


 キャラ描写についても、外見は挿絵に丸投げするから必要なし。性格なんかも地の文で『優しい』と書いておけば優しいので、それ以上何かする必要もないと。


 キャラの善悪の基準は一般常識で、凝り固まったルールやマナーを守ることを美徳とし、自由奔放を醜とする、その上でヒロインは初めから最上位であり、ただ周りが、相手が変わるだけで評価が変わるというのが根底なのかなと。


 ついでに言うと、メインキャラに求める要素が、なんと言うか『大人目線で見る理想的な子供像』なんです。


 言われた通りに動く。勉強する。自分のことは自分でする。手間がかからない。わがまま言わない。じっとしている。


 ……なんの話だったか「犬が褒められるのは何もしてない時だけだ」との一文が思い出されます。


 大人目線から見れば理想、子供目線で見ればつまんないやつ、ここら辺のギャップも少々驚かされました。


 そして面白くない。


 男女間の差とおうか、それ以前に常識や単語の意味から確認しなければならないほど理解できない世界、と言うのが簡潔な感想です。

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