霊葬ノ花苑

桜最中

第1話

死者は霊となる例外なく。それが善か悪か関係ない。悪となった場合その身体は石となり、骨のみが残る。そしてこれは二人の祓魔師と徐霊師の話である。

「お前またやらかしたのかよ。これで遅刻ギリギリ何回だ。」

「まだ42回目だぞ。」

「お前な学生じゃねんだから遅刻のひとつでも減らせよ。」

「無理だろ朝5時なんて運動部じゃないんだから。しかもここら辺の始発6:28分だぞ、走ってきてるこっちの気持ち考えろよ。お前は事務所の二階が家なんだから遅刻ないの当たり前だろ。」

「今日の依頼だお前のすることは赤マーカー、俺のは青マーカー、二人で行くのは黄色マーカーだ。」

「無視かよ。また黄色使ってる。黄色は見にくいから変えてくれっていったよな。」

「そんなこともあったな。じゃあ業務開始。」

「了解」

そう言うと事務所から刀を持ち出していった。

「その刀は申請してないぞ。」

「わり、間違えた。」

「その間違いひとつで業務どころか人生に関わるんだがな。」

「そうだなそもそも生命の契してないから使えないしな。」

「お前の刀はこれだ。まずは取り敢えず比較的早くからでもできる二人の業務からだな。」

そう言って渡されたのは少し古びた黒い鞘の妖刀だった。妖刀といっても村正のようなものではない葬力(異世界でいう魔力)の塊を安定して使えるようにしたものがこの世界の妖刀だ。

「ほら乗るぞ。」

そう言って車をガレージから出す。ガレージには社員駐車スペースがあってそこには総額数億を越えるような車であった。

「はいこれ。」

「そうか。お前は車特にこだわってたもんな。ところでなぜこれ。」

「だって好きな車乗りたいし。」

「そう言うことじゃなくてね、これから潜入調査だからミニバンとか軽を選ぶと思うんだふつう。なんでこんなラリースポーツ用チューニングカーなんだよ。」

「じゃあこれ。」

「これもまあ引っ掛かるんだよな。はいこれって確かに軽だとは言ったけどなんで軽スポーツのオープンカーなんだよ。もういい俺が用意する。」

「もう用意したけど。」

「なんで今度はボケねえんだよ。普通の真面目なのあるなら最初からそれにしろよ。」

そうして用意したクロスオーバーSUV車に乗り込み、運転する。

「ちゃんと道案内しろよ。俺は方向音痴だから。」

「そうだなお前の方向音痴具合には驚かされるよ。地図単元で図法 の名称以外で点ほとんどとってないもんな。次からカーナビつけろよ。」

「うるせえよ。中学のワンフォーオールを出してくんな」

「かっこよくいってるけど年間平均得点一点の大問題なんだが。」

そうこの少年は絶望的な勉強能力で全ての受験に失敗したところをこの隣に座る幼なじみに拾われたのである。

しばらく運転していると。

「少し止めてくれ。悪的葬力反応だ。」

「そうか。妖刀の可能性は、あるか」

「確かに回収してない妖刀が一本ここにあるっていってたな。ただそれ以上の悪的葬力反応を感じる。妖刀と霊がいるかもしれない。妖刀だけだった場合は神格刀になるかもしれない。」

そういい終わる前に二人は建物に入っていった。入るなりすぐに何かを唱えた。

「前者だったな。妖刀を使えない低級霊だが油断するなよ。言う前に終わってたか。」

そこには玉ねぎの微塵切り並みに細かく切り刻まれた霊がいた。

「妖刀は回収でいいか。まあ言わなくても俺とあと5人しか回収できる奴いないがな。」

「そうだな申請は今事務所にあるやつと一緒にしておくからそいつも回収してくれ。それじゃあ元の任務に戻るか。」

車に戻ると妖刀をしまいまた道路を走っていった。

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