第8話 アプリ

「アリサさんですか?」

「はい、そうです。もしかして貴方がレイくん?」

「はい、僕がレイです」

「……」


 この人はマッチングアプリで仲良くなったレイくん。

 プロフィール写真見たときも思ったけど、レイ君めっちゃイケメン……。


 イケメンで背も高いし、性格も良さそう。

 はっきり言って護くんよりいい男だ……。


「レイくん、本当にイケメンだね」

「ありがとうございます」


 容姿を褒めてもレイくんは取り乱したりしない。言われ慣れてるんだろうな。


「アリサさんも凄くキレイですよ」

「ふふ、ありがとうね。さてと、とりあえずお茶でもしない?」

「はい、そうですよ」


 とりあえず、アタシは近くのカフェに移動した。

 空いている席に座り、メニューを注文する。


 レイ。

 現在は大学1年生らしい。大学一年生か。護くんより年下だね。

 今は大学サボってアルバイトばっかりしてるみたい。

 

「アリサさんって結婚してるんですよね?」

「うん、そうだよ」

「なのに、なんでマッチングアプリなんかしてるんですか? 旦那さんにバレたら絶対怒られますよ?」

「別に怒られてもいいよ。アイツも浮気してるし」

「へ?」


 アタシの言葉にレイくんはパチパチと目を丸くする。

 

「旦那さん、浮気してるんですか?」

「うん、一年前からバイトの後輩と浮気してるの……。ほんと最低」

「……」

「それにムカついてアタシも浮気することにしたの」

「えーっと、つまり旦那さんにやり返しするためにマッチングアプリ始めたってことですか?」

「うん、そゆこと」


 一週間前、旦那の浮気が発覚した。

 一年前からバイトの後輩と浮気してたみたい。

 それにムカついてアタシも浮気することにした。

 早速マッチングアプリ入れて、レイくんと仲良くなったの。

 はぁ……アタシ、何やってるんだろ。


「ねぇレイくん、このあとホテル行かない?」

「ホテル? それって……」

「嫌かな?」

「いえ、嫌ではないですけど、本当にいいんですか……?」

「うん、いいよ……」


 アタシ結婚してるのに、なんでホテルに誘ってるんだろう……。

 本当にこんなことしていいのかな?

 いや、ダメだよね。

 けど、先に浮気したの護くんじゃん。

 護くんも好き勝手してるし、アタシもいいよ……。


「バレたら旦那さんショック受けると思いますよ?」

「ううん、たぶんショック受けないと思う。あの人、もうアタシのこと好きじゃないし……」

「……」


 もう護くんはアタシのことなんかどうでもいいんだ。

 だから浮気したんだっ……。

 アタシが他の男の子とエッチしても、ショックなんか受けないはず。


「はぁ……わかりました。ホテル行きましょう」

「うん……」


 アタシたちはカフェを出て、ホテルに移動した。

 

 

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