戯雨 [そばえ-あめ]

すきま讚魚

彼方より いつか此方へ 狐火の

 旅は道連れ 世は情け

 彼方かなた 此方こなた と旅廻り

 四季折々を数多と巡り

 然して 愁ひはすべて払えましょうや


 有情無情 有相無相のものがおりませば

 其の数すべての念も愁ひもございましょう


 さぁさ、此度語りやすは

 現世うつしよ 浮世うきよ のモノガタリ——


 此の世は地獄と云ひやすが 其処に救いは在るのかどうか


 時は 天明狂歌の江戸の世なりて

 京より遠野を目指すは 何やら奇妙な三人衆

 

 ひとつ 平安の世にうまれし 白き死に神と

 ふたつ 室町の世に灼けいでし 黒き鴉の仔

 みっつ イタチの道切り 失くし仔か


 此度語りやすは そんなひとりとひとつ共の

 あはれ 戯れ 珍道中——。

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