悪役令嬢の身代わりとして嫁がされましたが、何故か溺愛されています!?

名古屋ゆりあ

プロローグ

…ちょっと待て、こんな展開ではなかったはずだ。


何故かベッドに押し倒されてしまったこの状況に、俺はそんなことを思った。


ベッドは天蓋つきで、さすが金持ちさすが貴族さすが王族だと心の中でいろいろと呟いて現実逃避を試みる。


「あのー」


「何だ?」


俺の上に乗っている男に向かって、俺は声をかけた。


遠目から見ても間近で見ても、目の前の男は本当に顔がいいな。


ありきたりな表現であれだけど、芸能人かよって言うくらいによ過ぎるよな。


「俺、男ですよ?」


「知ってる」


「レイチェルじゃないっすよ?」


「わかってる」


「デイジー様と間違えてません?」


「間違えてない」


あっれれー、おっかしいなー?


某少年探偵よろしくなセリフを心の中で言っていたら、

「自分でもどうかしていると思う」

と、目の前の男は言った。


「俺はお前に対して、この気持ちを押さえることができないんだ」


「はあ…」


「お前が好きで仕方がないんだ」


「お、おう…」


「今すぐにお前と口づけを交わしたい、今すぐにお前を抱きたいんだ…」


ちょっと待て、俺が抱かれる前提なのか!?


「レナード、俺の気持ちを受け入れてくれ」


その整った顔立ちが近づいてきたかと思ったら、

「ーーッ…」


俺の唇と男の唇が重なった。

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