第19話 日本中に知れ渡る時

結論から言って俺は裁きを受けて酷い目に遭った。

コチョコチョの刑だ。

それから俺の額に水性ペンで(肉)と書かれた。

屑共め...。

だけどまあ楽しいよなこのクラス。


「当山」

「何だ。きむらきゅん」

「止めろ。気持ち悪い」


俺の言葉に唇をツンとしながら止める。

それから屋上で俺達は飯を食う。

やれやれだな。

そう思いながら俺は空を見上げる。


「なあ。当山」

「だから何だってんだよ」

「アイツ。...東郷翔也さ」

「おう」

「アイツは救いようのないクソッタレだが」

「ああ」

「アイツと妹は2人だったんだろうな」


その言葉に当山は考え込む。

それから答えた。

弁当箱を片付けながら、だ。


「おう。同情なら止めとけ」

「いや。同情じゃねーよ。そもそもヒッドイ目に遭っているしな。そのクソ馬鹿のせいで」

「じゃあ何なんだ?」

「同情とかじゃねーけど。...だけどまあ...多少は思う所があってな」

「それを同情っつーんだよ。甘い」

「...そうか」


そう返事をしながら居ると当山は顎を撫でる。

それから俺を優しく平手打ちした。

何をすんだコラァ!!!!!

そう思いながら起き上がる。


「悩むのは陸羽さんだけで十分だ。お前がな」

「...?」

「お前さ。抱え込み過ぎ。...俺が半分背負ってやるよ」

「...!」

「女優と付き合うってのは大変だな」

「そうだな。...お前の言う通りだ」


そして当山は膝を曲げて俺を起き上がらせる。

それから俺を柔和に見てくる。

俺はその顔を見ながら噴き出した。

俺達は笑い合う。


「まあどっちにせよ...東郷翔也もそうだが。...諦めねぇと思う」

「そうだな...」

「...いかに工夫するかだな」

「...ああ」


それから俺達は作戦会議をする。

そして俺達は放課後を迎える。

そうしてから陸羽と帰宅している...と。

駅前にチャラいクソ馬鹿が居た。

コイツ。



「ハロハロー」

「...お前まさか」

「東郷翔也だよ。...俺に会いたかったろ」

「ふざけるなクソが。お前なんぞに」

「...」


陸羽と一緒に眉を顰める。

すると東郷翔也は下げている鞄から何かを取り出す。

折り畳まれている紙。

俺はそれを見てから東郷翔也を見る。


「...俺は取り敢えず親の事を詮索する」

「...だからどうした」

「アイドル業を廃業しようって思ってな」

「コロコロ変わりますね。...思いが」

「まあ右左も定かじゃねーから」


そう言いながら東郷翔也は苦笑する。

俺はその顔を忌々しく思いながら見る。

つまり何が言いたいのか。

思いながら俺は東郷翔也を見る。


「...お前何が言いたい」

「ん?ああ。俺がこの場に来た理由としてはな。俺とお前は似た者同士だろ。...俺に協力しないかって話」

「馬鹿かお前は。死ね」


そして俺は踵を返す。

陸羽も踵を返しながら歩く。

すると声がした。


「今協力しないと後悔すっぞ」


という声が、だ。

俺は歩くのを止めてから振り返る。

そして聞く。


「お前。それはどういう意味だ」

「そうだな。お前ってさ。自分の立場分かってる?って話」

「立場だと」

「...お前はかなり有名になっているんだよ。それも芸能界でもな。...お前に対して良く思わない奴らも居る。この先そいつらが来るぞ多分」

「ただのお前の脅しだ」

「それを嘘か本当かにするのはお前次第だが。...少なくともお前を陸羽が好きっていうのは真実だろう。...お前、生きられないぞ」

「お前に心配されんでも良いわ。ふざけんな」


そして俺は歩き出す。

それから陸羽も付いて来た。

そうしてから歩いていると人影を見つけた。

それはカメラを持った奴だった。

スクープ記者の様に見える。


「...東郷翔也の言葉を信じなくて良いです」

「...ああ」

「だけど有名になっているのは事実かもしれません」

「...ああ」

「それでも私を愛してくれますか」


その言葉を受けながら俺は陸羽を見る。

そして俺は陸羽に頷く。

それから返事をした。


「ああ。俺はお前を守る」


そして俺は陸羽の手を握る。

それから俺達は歩き出してから帰宅した。



後日。

スクープ記事が丁度、ネットとかに拡散された。

それは陸羽に恋人が居る事。

恋人は木村陶冶という一般人。

学校でも噂になっていた。

当山を見る。


「やれやれ」

「...いつかはこうなるって思っていたけどいざなるとウザいな」

「まあな。このクラスを信じるしかねぇ」

「そうだな」


そして俺はクラスを見渡す。

するとクラスメイトの1人と目が合う。

それからクラスメイトは聞いてきた。


「木村。事実なのか」

「...ああ。お前らの知っている通りだな」

「...」

「どう思おうが構わないよ。お前らの好きに...」

「うんにゃ。そうはならないな」

「は?」


当山は('ω')となる。

そしてクラスメイトを見る俺。

クラスメイト達は顔を見合わせた。


「まあ美人の恋人が居るって忌々しいのは事実だが」

「だな。羨ましいわ」

「だけど木村の恋人だろ」

「そうだよなぁ」


そして互いに見合ってから。

俺を見てくる。

その姿に俺は?を浮かべた。

それから見ていると。


「木村の恋人なんだ。だからこそどうにかしてやりたい」

「そうだなぁ」

「ってか陸羽ちゃんは何も悪くない」

「そうだよな」


それから俺達を見る。

当山を見る俺。

そんな当山は苦笑い。

そして手を叩く。


「んじゃまあ作戦を練るか」

「それはつまり木村と陸羽ちゃんを救う作戦か?」

「おうとも。...俺のダチだ。救ってくれるか」

「...仕方がねぇな。一肌脱ぐか」

「ったく」


相変わらず無茶苦茶な奴らだな。

そう思いながらも俺は内心。

嬉しくなりながらクラスメイト達を見ていた。

日本中に俺の事が知れ渡ったのにどうする気だコイツらは。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る