幼馴染が浮気したら芸能界で活躍している後輩の女子が「是非私のものに」と言い始めた。どういう意味だ

アキノリ@pokkey11.1

第一章 断罪

有名人の後輩

第1話 いやマジに死ねよ

「もう二度と俺の前に現れるな」


そう吐き捨てて俺、木村陶冶(きむらとうや)は浮気を起こした彼女を捨てた。

この場所は噴水公園。

丁度、公園の中央辺りに景色の良いミストの噴水が流れている。


涼しげな空気だ。

そんな場所も俺の身体がボルテージMaxの様に熱く晴れているのに暗い。

まるで夜の様な感じだ。

その原因は分かっている。


後ろをチラ見する。

そこに泣き崩れる飯田翔(いいだしょう)が居る。

男みたいな名前だが実際、男では無い。

美少女であり俺の幼馴染だ。


つい昨日までは、だ。

今日から違う。

俺は...彼女を絶対に許さない。


そう思いながら切り捨てた彼女を見るのを止めて前を歩き出す。

通行人も構わず泣き続ける女。

情けない。

俺に知らん感じで浮気したにも関わらず、だ。

心情がぐしゃぐしゃにされた俺の事を分かっているのかあの女。


「くそ。イライラする」


俺はそう呟きながら歩く。

そして公園から出るとそこに立て看板があった。

ラーメン屋と書かれている。

気晴らしにニンニクマシマシのラーメンでも食うか。

そう思い俺はラーメン屋の、のれんをくぐる。


「いらっしゃい!」


いきの良い男性店主が俺を見てくる。

筋肉ムキムキの白帽子。

暑苦しい感じがなんとも素晴らしい。

ラーメンを茹でる為の湯の湯気が立っている。

そして店内が熱々だ。

全てもだが。


このラーメン屋はマークしていたのだが。

なかなか来る機会が無かった。

だから今日は丁度良い。


今日だからこそニンニクマシマシだ。

死ぬぐらいニンニク食ってやるわ。

自棄だ。


「おやっさん。ニンニクマシマシのラーメン」

「あいよ!塩か!豚骨か!?味噌か!?当然だが醤油ラーメンもあるぜ!」

「じゃあおやっさんの好みで」

「あいよ!お任せよ!」


そして注ぐスープの良い香りがしてくる。

油の香りがする。

ニンニクマシマシか。

今日も明日も臭くなりそうだけど知ったこっちゃ無いな。


俺は彼女も居ない。

居なくなったから丁度良いや。

イライラする。


「あれ?先輩じゃないですか」


思っていると。

ガラガラと音がしてドアが開いてそんな声がした。

そう言われて俺は背後を見る。

そこに何故か美空。

美空陸羽(みそらりくう)が居た。

俺の仲の良い後輩だ。


「どうした?陸羽。何でこの場所が?」

「あれ。先輩に言ってなかったですかね。その人、私のお父さんです」

「なに!?」


俺はビックリしながらおっちゃんを見る。

「知り合いか?」とニカッとしている。

その言葉に陸羽は「うん。この人ね...えっと。芸能界に入る前から知っている先輩だよ」とニコッとする。


因みに美空陸羽だが有名アイドル兼女優である。

俺には遠い存在のように思える。

そんな容姿だがそこそこ俺でもイケメンと思っているが俺以上に人気の顔をしている様な可愛い顔立ち。

目鼻立ちも相当に整っており。

笑顔が絶えない有名な美少女だ。

つまり...芸能人にふさわしいと思う。


「先輩。...あれ?今日は彼女さんは...」

「ああ。奴なら捨てた。浮気したからな」


ラーメンが出てくる。

香り的にみそだ。

味噌ラーメンとは良いchoice。

俺はその事に味噌ラーメンの中にさらにニンニクをぶち込む。


「先輩!浮気したんですか!?彼女!」

「そうだぞ。だから俺はこうしてラーメンにニンニクをマシマシで食っている」

「もう。先輩。臭くなりますよ?折角イケメンなんですから」

「死んでも良いしなぁ」

「もう。先輩そんな事言わない」


俺は味噌ラーメンをほおばる。

すると横に陸羽が腰掛けてから人差し指を上げた。

そして塩ラーメンが出てくる。

それだけでこれが出たという事はこれが好きなんだな。


「先輩。...大変でしたね」

「...彼女が居なくなったからこうしてマシマシでニンニクを食える」

「臭いです。先輩」

「まあそう言うな」


ガツガツと食いながら俺は親父さんに「美味いっす」と親指を立てる。

すると親父さんは「おう!サンキューだ!」とニコニコする。

俺はそれを一瞥してから陸羽を見る。

陸羽は少しずつ食べていた。

その中で俺に向いてくる。


「先輩は...もう誰とも付き合わないんですか?」

「そうだな。彼女はこりごりだ」

「...その。じゃあ私みたいな子は」

「はは。有難いけど今は良いや。...もう恋愛は暫く御免だ。嬉しい言葉だけどな」


俺は陸羽の言葉を冗談で捉えながら伸びをする。

それから会計をしようと思い会計の札を要求した。

だが親父さんは首を振る。

「要らねぇ。金なんか取れねぇよ!今回は無しだ!ただ次はねぇけどな!でもまた来てくれよな!」と笑顔になる。

まさかの事に俺は衝撃を受ける。


「...良いのか?」

「良いですよ。先輩。その代わり約束です」


陸羽は俺の手を握る。

それからモジモジしてから「...また是非、来てください」と言ってくる。

何だこの可愛いのは。

全く...勘違いしてしまう。


「じゃあ...親子水入らずの時間を楽しんでな」

「あいよ!先輩ちゃんまたな!」

「先輩。また学校で」


俺はその言葉達を聞きながら手を振って笑顔の二人の顔を見てから外に出る。

ドアを閉めた。

何となくだがさっきより太陽が感じれる。

良かった気がした。

こんな憂鬱な気分なんぞマジ死ねって感じだしな。

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