第16話 宿娘
書き方変えてみたけどどっちが見やすいんだろう
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俺はフーカによって起こされた。
「緊急事態よ!早く起きなさい」
そう言われ激しく揺さぶられて起きた。
「どうした?フーカ」
「騎士団が来てるの!早くここから逃げるわよ」
「⋯?」
「何寝ぼけてんの!昨夜決めた通りに姉さんたちは保護されるつもりだけど、少なくともあんたは逃げなきゃでしょ!」
「なんで動けてるんだ?」
「もーそんなこと今はいいでしょ!早く!」
そんなことを言われながら俺はとあるスキルを発動し、“ヤムヤ亭”へ転移した。
「大丈夫。もう外だ」
「え?」
そんな状況を飲み込めない声を出すフーカに対して言った。
「ここは“ヤムヤ亭”、俺が拠点にしてる宿屋さ。しばらくは大丈夫だろう」
「???」
「“転移”だよ、て・ん・い。お前も似たようなことできるだろ」
「嘘でしょ!だって私は干渉された感覚なんてなかったのに!」
「そりゃお前じゃなくて“空間”に干渉したからな」
「⋯⋯規格外ね」
「そうでも無いぞ。世界は広いからな」
「あんたと話すだけ時間の無駄だわ」
「そうか?俺は俺と話す時間は有意義な時間だと思うけどな」
そんな雑談をしていると宿屋の扉が開いた。
「エンブさん!」
そう感極まったような呼び声上げながらこっちに向かってくるリナを受け止めた。
「久しぶりってほどでもないだろ。まだ3日も経ってないんだぞ」
「そんなこと言ったって騎士様が死んだって言ってたんだもん!」
「なるほどね〜」
リナの言葉を聞き自分の今の状況について考え直した。
(王は俺の事を公にはしたくないってことか。だとしたら多少は猶予があるのかな?)
「リナ。俺は明日にはこの国を出るから」
「やっぱりなにかあったんですね」
「本当は初めてここに来た時からあった爆弾だったんだ。でも君は許してくれるだろうリナ」
「しょうがないですね。でもお金は多めに落として貰いますよ」
リナはお金のジェスチャーをしながらそう言ってきた。
それに対してお互いに微笑した。
そしてフーカが今までの話なんてどうでもいいと言わんばかりの冷たい声色で口を開いた。
「もう話しかけても大丈夫そう?」
「待たなくてもそのまま話せば良かったのに」
「そんな非情じゃあないわよ」
どの口が!とも思ったが思い返してみれば非情なところはあまり見たことはないな。
その後にリナとフーカが会話していたが、契約により強化された耳で盗み聞かないように頑張った。
何故かって?女には秘密が必要なのさ。
所々でフーカが赤面していたり赤子のような弱い力でリナを殴っていたが何かあったのだろうか。
「今度はこっちが終わるのを待つ側になったな」
「そうですね♪」
「やけに上機嫌だな。なにかあったのか?」
「エンブさんには教えてあげません」
リナは子供をからかうようにそう言ってきた。
そしてフーカが少し強い声色で言った。
「いいのよ!気にしなくて!」
「よし!それじゃあお昼ご飯にでもするか」
「まだ早いですよ。準備はそろそろ始めるのでお部屋でお待ち下さい。エンブさんは引き続き2号室をフーカさんは3号室をお使い下さい」
そうして渡された鍵を受け取り部屋へと行った。
自分の部屋に持ち物を置いてフーカの部屋にお邪魔した。
「フーカ?大丈夫そうか?」
そう話しかけた先にはベッドに力無く倒れているフーカが居た。
「無理したから結構キツいかも」
「別に出るのは明日じぁなくていいんだぞ」
「そこまでじぁないから大丈夫」
今朝からずっと気になっていたことについて聞いた。
「それじぁ聞くけど、なんで動けてたんだ?」
そんな質問に対してフーカは当たり前のことを言うように答えた。
「それは⋯水魔法で内側から体を動かして風魔法で外側から動かす。そんな基本的な技よ」
「バカ、どこが基本だ。この技量お化けめ」
「そんなに難しいの?」
「二属性同時発動は高等技術なんですよ。覚えておきましょうね」
「なにその言い方。うざい」
そんな談笑をしていると準備ができたのか、リナが呼びに来た。
そうして食事をしてフーカを部屋まで運んだ後リナと会話をした。
「エンブさんから話したいなんて珍しいですね」
「演技は辞めようか。君は僕の知る限り、一番の魂研究家だ。僕の魂の状態の異常に気づいていない訳がない」
「⋯⋯一応とぼけておきましょうかね」
「魔王軍 傀儡隊 隊長 “傀儡奏者” リナ⋯僕が恩人の色を間違えると思うかい?」
「⋯要件をどうぞ」
「僕の体が欲しい。今回の一件で感じた。僕は弱い少なくとも借り物の肉体で君に勝てない程度には」
「簡単に渡すと思いますか?」
「一応力ずくでもいいよ」
「⋯辞めておきましょう。この宿屋は壊しちゃいけませんから。貴方の体は地下室にありますから、着いてきて下さい」
そうして連れてこられたのは隠し戸の中にあった地下室だった。
着いてから少しの間リナが周りをまさぐっていると何かを取り出した。
それは手のひら大の球体だった。
「この中に貴方の体は入っていますよ」
そう言いながら投げ渡してきたので慌てて受け止めた。
「バカ!壊れたらどうするんだよ!」
「安心して下さい。その外殻は伝説級の硬度なので」
そんなことを抜かすリナに少し軽蔑をするような視線を向けた。
「思い出しますね〜。貴方と初めて会った時もこんな感じでしたかね?」
「そのことはわ・す・れ・ろ」
「貴方は私よりも長く生きているんですから、そんな細かいことでウジウジ言わないで下さい」
「まぁいいだろう。時間も無いし、ここで終わりだな。それじぁおやすみ、次に僕が会えるのはいつになることやら」
そこで話を切り部屋へと戻り、次にやることを考えるのだった。
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