【等価交換】

第2話

リークはエリスから与えられた情報を理解するのにしばらくの時間を要した。彼の頭の中では、多くの疑問が渦巻いていたが、エリスの穏やかな眼差しが彼を落ち着かせた。

「これからどうすればいいのですか？」リークは尋ねた。

エリスは深く息を吸い、ゆっくりと話し始めた。「まずはこの力を使いこなすこと。等価交換の原則は単純ですが、その真の価値を理解するには時間がかかります。試練を通じて学び、成長することが求められるでしょう。」

彼女は手をかざし、一瞬のうちに周囲の景色が変わった。リークとエリスは再び古びた祠の前に立っていた。「ここから始めなさい、リーク。村の人々にとって本当に必要なものを見極め、それを提供するための代償を考えなさい。」

リークは頷き、心の中で決意を新たにした。彼はエリスに感謝の意を示し、祠を後にした。農場に戻ると、父親が彼を待っていた。

「リーク、どこに行っていたんだ？仕事が山積みだぞ。」父親の声には疲労と少しの苛立ちが混ざっていた。

「ごめんなさい、お父さん。ちょっとした冒険に出ていました。でも、これからはもっと真剣に働くよ。」リークは微笑んで答えた。

その晩、リークは自分の力を試すことに決めた。彼は自室で座り込み、エリスから教えられた言葉を思い出しながら、何かを犠牲にして何かを得る方法を考えた。目を閉じて集中すると、彼の手のひらに温かな光が宿った。

「試してみよう。」

彼は部屋の隅にあった古い壊れたランプを手に取った。そして、その代わりに何か価値のあるものを得るために、心の中で祈った。突然、ランプは明るく輝き、新しい状態に変わった。リークは驚きと喜びで満たされた。しかし、その瞬間、彼の体から力が抜け、深い疲労感が襲ってきた。

「本当にできた…でも、すごく疲れる。」

次の日、リークは村の広場に立ち寄り、周囲の人々の様子を観察した。彼らの多くは貧困と病気に苦しんでいた。彼は等価交換の力を使って、彼らの生活を少しでも改善できるかもしれないと思い始めた。

その日から、リークは村のために小さな奇跡を起こすことを決意した。彼は農場での仕事をこなしながら、村人たちの助けとなるような交換を行っていった。壊れた道具を修理し、病気の治療薬を作り出すために、彼は自分の体力や時間を犠牲にした。彼が行う交換は、一つ一つが彼自身のエネルギーを消耗させるものだった。

例えば、ある日、彼は病気の子供を治療するために、自分の体力を大幅に削って薬を作り出した。その代償として、リークは数日間、ほとんど動けなくなるほどの疲労に襲われた。また、壊れた家を修理するためには、自分の時間を犠牲にし、昼夜を問わず働き続ける必要があった。

「これが僕の使命なのかもしれない。」

リークの新たな生活が始まった。等価交換の力を持つ彼の冒険は、まだ始まったばかりだった。彼はこれからも多くの試練と向き合いながら、真の価値を見つける旅を続けることになる。