【等価交換】

るいす

出発の街

第1話

小さな村の外れにある古びた家には、一人の少年が住んでいた。彼の名前はリーク。平凡な日々を過ごしていた彼には、特別な運命が待ち受けていることなど、夢にも思っていなかった。


リークは毎朝、日の出とともに目を覚まし、村の農場で働いていた。彼の家族は代々農民であり、彼もまたその運命を受け入れていた。だが、ある日、その平凡な生活に劇的な変化が訪れることになる。


その日も、リークは農場で一人で作業をしていた。太陽が高く昇り、暑さが増す中、彼はひと休みすることにした。大きな樫の木の下に腰を下ろし、冷たい水を一口飲んだその瞬間、リークは目の前に奇妙な光景を見た。


古びた石の祠(ほこら)が、突然、目の前に現れたのだ。好奇心に駆られたリークは、祠の中を覗き込んだ。すると、そこには古代の文字が刻まれた石板が置かれていた。彼が手を触れると、その石板が輝き始め、彼の体に不思議な力が流れ込むのを感じた。


「これは一体…?」

その瞬間、リークは強烈な痛みを感じ、意識を失った。目が覚めた時、彼は自分が異なる場所にいることに気づいた。周囲を見渡すと、そこは見覚えのない美しい庭園で、色とりどりの花々が咲き誇っていた。


突然、背後から優しい声が聞こえた。「ようこそ、リーク。」

振り返ると、そこには長い銀髪を持つ美しい女性が立っていた。彼女の目は深い青色で、まるで海のように澄んでいた。

「あなたは誰ですか?」リークは恐る恐る尋ねた。

「私はこの地の守護者、エリス。あなたに与えられた力について教えに来たのです。」


エリスはリークに近づき、優しく微笑んだ。「あなたには『等価交換』の力が宿っています。これは何かを失うことで同等の価値を得ることができる能力です。」

リークはその言葉に驚きと戸惑いを隠せなかった。「どうして僕がそんな力を…?」

エリスは静かに答えた。「それはまだ明かされていない運命によるもの。あなたにはこれから多くの試練が待ち受けていますが、その力を正しく使えば、大きな変化をもたらすことができるでしょう。」


こうして、リークは自分に宿った特別な力「等価交換」の存在に気付いたのだった。それが彼の運命を大きく変える冒険の始まりとなることを、彼はまだ知る由もなかった。

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