第13話 召喚術五式。
翌日、ヴァンはコーラルとラージポットにお邪魔をしていた。
「やあ。ヴァン君は凄いね。召喚術の四式も改も六式も見事だったよ」と出迎えるオルドスに謙遜しながら、「まあ、今世の器用貧乏ですから」と照れながら言うと、「五式はイメージなら完成なんだけどどうかな?」と聞く。
オルドスはニコニコと「うまく行ったらザップ氏達と王都で繋がるといいよ。蜘蛛の巣状に繋がればバッチリさ」と更に改善点を教える。
「ああ!中継するんだ!馬車旅と一緒だね」
「ふふ。さあ、私にも召喚術五式を見せておくれ」
ヴァンはゴルディナと握手をさせてもらいながら、「前に背中に乗らせてもらった時に術使いだったら良かったよ」と言うと、「うん。金竜ゴルディナ様のラージポットと接続」と呟く。
そしてコーラルを見てから「召喚術五式!グラス・スティエット!」と言ってグラスを呼んだ。
「あら?姉様?ヴァン?結婚の報告?」と現れたグラスに、ヴァンは笑いながら「ごめんねグラス。召喚術の試験中でさ、トゥモから宿題出されてて、それの為に呼ばせてもらったんだ」と言った後は「コーラルはゴルディナ様とグラスとお茶しててよ。俺はヘマタイトを呼んで五式を教えるんだ」と言ってオルドスに問題が無いかの確認をしてしまう。
「何よもう」と漏らしながらも「お茶ですってグラス」と言うコーラルと「ふふ。嬉しいわ姉様」と返すグラス。お茶が嬉しいなんて言っていた癖に、2人してレイピアを見せ合うと「久しぶりね」、「もう負けないわ」なんて言って外に出て広場で実戦訓練が始まってしまい、信徒達は瞬きすら惜しんで真剣勝負に見入っている。
呼ばれてラージポットの入り口に現れたヘマタイトは、大叔母2人のやらかしに頭を抑えながら、オルドスの館に入ると「ヴァン君?」と声をかけて、ヴァンが五式と四式改と六式の説明をしてしまう。
「…君、ひと晩でここまで?」
「うん。仕方なかったんだよ。シーナ達は混線していて可哀想だし、六式はシーシーの話を聞いていたらお爺ちゃんのヤァホイさんに会いたがっていたしさ。とりあえずヘマタイトなら五式はいらないけど教えるからさ、後で王都で接続先を増やそうよ」
ヘマタイトはクラクラしながら覚えていると、オルドスから「昨日は勿体無かったねヘマタイト」と言われる。
「なにがですか?」
「ミチト君がヴァン君の為に、リナさん以外の奥さんを皆外泊させてたんだよ。その間に行けば名分は立ったのにねぇ」
ヘマタイトは本気で悔しそうに「く…」と漏らしてヴァンから笑われていた。
ヘマタイトが術と接続先の意味を理解した所で、ヴァンが「おーい、コーラルー、そらそろ王都行きたいからグラスさんとバイバイしてよー」と声をかけると、コーラルは「えぇ!?もう!?ちょっと待って!グラスは術に秀でていて、私は剣で秀でていて一進一退なのよ!」と言っていて、戦いの中断すらしない。
「まったく、大人になれコーラル」とゴルディナから言われてようやくおとなしくなるコーラルは、グラスに「今度こそお茶にしましょうね」と言ったが、グラスすら信じないで呆れ笑いをしていた。
その後、王都で接続先を増やしたヴァンとヘマタイトはミチト達を呼ぶ。
別荘に来たミチト達に、「ミチトさん、トゥモが串焼き肉食べたいって、後はアクィさんのケーキ」と言って、コーラルにも「コーラル、アクィさんと同じケーキ作ってよ。トゥモは騙されないって言ってたけど、どうなるか見てみたい」と頼み込む。
コーラルは「それはいいけど、私にも召喚術を教えてよヴァン」と言うのだが、ヴァンから「んー、ダメかな。コーラルはすぐにサルバンの人達を呼んで訓練を頼んで術量が無くなって、万一の時に戦えなくなるもん」と言われてしまう。
断られたコーラルはムキになって「ならヴァンやヘマタイトだって!」と言うが、「ヘマタイトは必要な時しか使わないし、俺は大地の根に術量を負担してもらう四式作ったし」と更に言われてしまう。
「なら私にも四式を授けて!」
「それはもっとだめかな。コーラルは成長限界を迎えてないのに大地の根に繋がろうとするもん」
何も言えず、「う…」と声が漏れてしまうコーラルは、アクィから「ほら、諦めてケーキを作りなさい」と言われて「はい」とキッチンに向かった。
イブとライブは「ヴァン君は流石です」、「コーラルがタジタジだね」と笑っている。
ミチトからそろそろ料理もケーキも出来上がると言われたらヴァンは「ヘマタイト、今回は四式の発展型六式でオブシダンを呼んでね」と言う。
「なぜですか?」
「通常の召喚術はトゥモが肉体の全盛期になるように設定してるけど、それだと25歳くらいのオブシダンが出てくるから、ヘマタイトと同い年の方がいいじゃん。だから六式を使う時に年齢指定してね」
ヴァンから術を貰ったヘマタイトがオブシダンを呼ぼうとすると、ヴァンは先に召喚術五式でトゥモを呼ぶ。
「お、またまた呼んでくれたな。どうなった?」
「こんちはトゥモ。昨日あの後、四式改と五式と六式が出来たよ」
「昨日?一晩?マジか!?お前はすげぇよ!」と喜んでヴァンの頭を撫でまわすトゥモだが、「こーら、トゥモはお母さん達に挨拶くらいしなさい」と言われて「はーい」と言って謝るとリナ達に挨拶をする。
一通り挨拶が済むとヴァンに術の質問をする辺りは三つ子の魂百までで、アクィとライブから「まったく」、「本当ミチトそっくり」と笑われてしまう。
「で!?改は何をしたんだ?」
「シーナ達は混線したから、魂の概念で細分化できるようにしたよ」
「おお!じゃあ五式は?」
「ダンジョンを経由地とする事で、遠隔地まで大地の根にやってもらう術の肩代わりの軽減化を任せたんだ」
「よし!やっぱりそうしたか!ダンジョンは真式さんの術量で魔水晶や魔物になるだろ?少しくらい間借りしても問題ないし、最初から道が出来てるんだよ。で?六式ってなんだよ!?もうそこまで作ったのかよ!」
ニコニコのトゥモに「オブシダンをそれで呼ぶから見ててよ」と言ったヴァンが「ヘマタイト、お願い」と言うと、ヘマタイトは集中をして「召喚術!オブシダン・スティエット!29歳」と言って29歳のオブシダンを呼んだ。
オブシダンはまた呼ばれた事に敵襲を疑ったが、ミチトとコーラルがトゥモの宿題でヘマタイトを呼んだと説明している。
トゥモは「ん?29?見た目…」と呟くと、ヴァンが「そうだよ。通常の召喚術は全盛期で出てくるから、術量は四式とかよりも喰うけど、任意年齢の呼び出しを可能にしたんだよ」と説明をする。
戦闘目的のトゥモからすると意味が分からず「なんで?」と聞くと、「シーシーを呼んだらヤァホイさんに会いたくなって、ヤァホイさんはお爺ちゃんじゃないとって思ったから作ったんだ」とヴァンが改めて説明をした。
トゥモが「マジか、お前すげぇよ」と喜んだ所で、ミチトが「ほらほら、とりあえず出来立てを食べようよ。他にも作ったからさ」と言ってテーブルに並べた食事を皆で楽しむわけだが、察しのいいトゥモは嫌な汗をかく。
「パパ?ママ達?俺なんでヘマタイトの右隣なの?オブシダンはヘマタイトの左隣なの?」
答えずに食器を配る親たちを見てトゥモは「ヴァン、俺をさっさと帰してくれ」と言ったが、ミチトから「何言っているんだい?君が食べたいと言ったご飯だよ?」と言うとイブが「さあ!ご飯ですよ!」と言って食事が始まる。
トゥモはキチンとアクィのケーキを間違えずにいてアクィは喜ぶが、皆がひと通り食べ終わると「さて、やろうか?」とリナが言った。
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