神さまの少しおかしな日常 ~ほんのり混乱中~
ろん11号
第1話 自由
しばらく私たちは、炎と血で赤く染まった町を見つめていた。「もうこの世界も寿命ですね。」と、悲しげな少女の声が響く。どうしてこんなことを私たちがしなければならないのか、誰か教えてほしい。
これは、愚かな神の物語である。
ーーー
私は黄色の木の幹に寄りかかっていた。
黄色の木とは、黄色の葉があることからつけられた単純な名前である。
2時間ほど、物思いにふけっていた。何年も生きていれば、悩み事くらいはいくらでも生まれるだろう。
そして、ゆっくり目を閉じると、意識はフェードアウトする。
しかし、内心は好奇心に満ちていた。まるで長い旅に出る時のように…
目が覚めると、僕は白色のベッドに横たわっていた。
何も覚えていない。あの木のところにいたこと以外は。
しかし、幸いなことに時間が経つにつれて記憶は蘇ってきた。
そう、僕は高校1年生。
東京のそこそこ頭がいい学校に通っている。家族や友人のことも思い出した。
だが、なぜだろう。あの黄色の木にいた時から以前の記憶がない。まあ、ただの夢だったのだろう。
そんなことより、学校に行く準備をしなければ…
僕は学校の中では、いわゆる「勉強しなくても点が取れる人」に分類されている。だからといって嫌われているわけではないが。
学校に着くと、「学校が楽しい」といった趣旨の話が聞こえてきた。僕はあいつらの気持ちが理解できない。学生生活とか青春には興味がないからだ。もちろん、こんなことを口にするわけにはいかないが。
そして、あっという間に授業が終わり、昼休みが始まった。
容姿、成績、人脈、信頼、コミュニケーション能力。そんなものはいらない。僕がやりたいことはただ一つ、いわゆる趣味である。
この世には興味深いものがたくさんある。学生がやっているものだと、ゲームやスポーツといったところだろう。他にもイラスト、プログラミング、コーヒー、数学など、たくさんある。
僕はそれらを全部死ぬまでやって極めたい。学校を休んでまでやる価値があると思っている。
しかし、親からの反対や将来のことを考えると、それは良くないと思い、一応毎日学校に通っている。
そんなことを1人で学校のプールの部室でご飯を食べながら振り返っていた。昼休み中だが、僕は水泳部に入っているので部室は使い放題である。本当は入室禁止なのだが。
僕はこうやって1人で考え事をするのが好きだ。誰からも口を挟まれずに自分なりに考えをまとめられるから。なにより、一人のほうが落ち着ける。
しかし、こんな幸せなひとときは長くは続かず、誰かが部室に入ってくる。こうやって何度も邪魔されるので、顔を見なくても誰かが分かってしまう。
「よっ、ぼっち」
僕は無視をするか、返事をするか2秒ほど迷った末、「よう。」と返事をした。
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