第32話 新たにもう一人の初物を

 俺は幸たちを連れて乗ってきた車で現場を後にした。

 車で東京に戻ろうとしていると、ぐったりしていた女性の意識が戻り始めた。

 しかし、どうも様子がおかしい。

 車の中で暴れられると面倒だと思ったのだが、どうもそんな生易しいものでもないらしい。


「本郷様。

 その女性、薬を使われていたようですね」

「薬か。

 どこまで下種な連中だな。

 まあ、様子を見ればおおよその見当はついたが、覚せい剤か何かかな」

「いえ、覚せい剤なんかよりももっと厄介なやつですね。

 最近になって出回った新薬でしょうか。

 私が情報部から抜ける前に使われたことがありますから、身をもって薬の効き目を理解してますが、どうしますか」

「どうするといっても……」

 ちょうど車はラブホテルが並ぶ地域を走行中だったので、運転していたマリーさんがそのうちの一軒に車を入れた。

「これ、媚薬なんですよ。

 しかも相当強力なやつ。

 症状から見て間違えないですね。

 マリーの時と同じですから」

「媚薬?

 なんで……」

「諜報の世界で一番多いのがハニートラップなんですよ。

 仕掛けてきた連中を逆に落とすのに使われるようになったやつですかね。

 これ使われたら最後、我慢できないんです。

 口の堅い諜報員もかなりの確率で落ちますね」

「自白剤よりも効果があるようで、非合法な政府組織ではかなり出回っていると聞かされておりますが……」

「ああ、そんなものが何でやくざなんかにって感じか。

 ……

 それって、政府の高官がかかわると入手は可能か」

「日本政府ですと内調か自衛隊ですか、そこ等だったら米国から入手はできるかと」

「私以前資料で見ましたが、厚労省なんかも研究用に入手したようですよ」

 なんでそんなことまで知ってるんだ、この人たちは。

「そういうことならばあの屋敷の主人が犯人か……ひょっとしたら、しなくても伸びていたあの若いやつか」

「ええ、そうでしょうね。

 送られてきた資料では政権与党の最大派閥の長で幹事長をしている人の三男さんのようですね。

 相当の悪らしいですよ」

「私も、あかねさんたちの借金があまりに不自然だったので調べてみましたが、どうもあかねさん親子はあのやくざに狙われていたようですね」

「狙ったのは、その三男からの依頼だったというやつか」

「どうもそのようですね」

 そんな話をしていると、問題の女性は苦しそうに呻きだした。

 しかも相当色っぽい声で。

「本郷様。

 彼女を抱くことできますか。

 同じ女性としてあまりに……」

「え、彼女の意思無く抱いたらそれこそ強姦だよ。

 あいつらと同じになってしまう」

「それがあいつらのやり方なのでしょうね。

 ここまでくればそれこそ拒否はしませんよ、というよりも拒否などできるはずなく自分からお願いしてきますから。

 私も恥ずかしながら……」

「わかりました。

 このまま病院に担ぎ込んでもそれこそ大混乱するだけで解決しませんからね」


 話し合いの結果、彼女の意思無くても俺は半裸の女性を抱くことにした。

 どう見てもまだ若い。

 大学生くらいにしか見えないが身分証の類は一切無く、また、まだまともな会話すらできそうな状態でないので、身分不明の女性を半裸状態のままラブホテルの部屋に連れ込んだ。

 部屋にはマリーさんのみが残り、他は東京に帰ったようだ。

 葵さんたちが心配するし、先に子供たちを帰らせた。

 俺は、とにかくほとんど錯乱状態になりかけている女性を丁寧に愛撫しながら時間をかけて頂いてしまった。

 何回しただろうか。

 彼女には悪いことをしたと今でも思うのだが男性の経験は無かったようだ。

 最初のやつでしっかりと破瓜の証拠の血痕が見られたのだが、一回で収まるはずなく何度も俺を求めてきたので、彼女が落ち着くまで何度も付き合った。

 マリーさんが途中で差し入れしてくれる赤マムシだけが頼りだった。

 彼女は最初はかなりの苦痛を伴うはずなのだが、それすら快感に代わっていたようで、それこそ何度も求めてきてはエクスタシーを感じていた。

 流石に薬の影響からか、彼女は簡単に絶頂に達していくので、全部に付き合う必要なく、俺も最後まで彼女に付き合うことができた。

 たぶん彼女は10回以上は絶頂を迎えたのだろうが、俺の方は三回が限度だった。

 それ以降は何度か息子を立たせることはでき、彼女の中で遊んでいたが、かなり弱弱しくなっていた。

 本当に最後はいわゆる半立すら難しくなることになってやっと彼女は寝てしまった。

「しかし、本当に恐ろしい薬だな」

「ええ、本能に訴えてきますから、絶頂を感じなければ収まりませんでしたから」

「ああ、そのようだな。

 彼女が絶頂を迎えるたびに、彼女の様子は優しくなっていくのを感じた。

 だから俺も頑張れたのだが、ひょっとしてリビングでぐったりしていた女性たちも……」

「ええ、そのようですね。

 それを複数の男性が……」

「かなりぐったりしていたけど、大丈夫だったのかな」

「かなり危ない状態のようにお見受けしましたけど、大丈夫でしょう。

 現場リーダーがすぐに救急を電話で呼んでましたから、今頃は病院で応急措置をとられていることだと思います」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る