体重100キロのオレが詐欺に遭って体重120キロになった件

靄嶌翔(もやしましょう)

第1話 プロローグ

コメディ小説

『体重100キロのオレが詐欺に遭って体重120キロになった件!!』


♥登場人物紹介♥


番号:01

名称:マンタロー

本名:鈴木満太郎(すずきまんたろう)

性別:♂

性格:お調子もので騙されやすい

年齢:30歳

所属:㈱モブザコ企画

職業:会社員

身長:170㎝

体重:100㎏

人称:オレ・オマエ

口癖:オレはいずれ世界を制する天才だ!!

特徴:独身・肥満体

好き:コンビニスイーツ

嫌い:運動・スポーツ

概要:中肉中背だったが、30歳を過ぎてから急激に体重が増加。

   現在は体重100キロで、肥満に悩んでいる。


番号:02

名称:グレーゾーン・灰谷

本名:不明

性別:♂

性格:巧妙な詐欺師

年齢:45歳

所属:不明

職業:詐欺師

身長:175㎝

体重:70㎏

人称:わたし・キミ

口癖:不明

特徴:不明

好き:不明

嫌い:不明

概要:「タイジュウカルクナールαβγ」を

   ネットで販売する巧妙な詐欺師。本名や実態は不明。


番号:03

名称:ハナちゃん

本名:山本覇那子(やまもとはなこ)

性別:♀

性格:健康オタク

年齢:27歳

所属:㈱モブザコ企画

職業:会社員

身長:158㎝

体重:40㎏

人称:あたし・あなた

口癖:(ツッコミが得意)

特徴:独身・快活・美人・ショートヘア

好き:アウトドア・ヨガ・健康食品

嫌い:インドア・ジャンクフード

概要:満太郎の同僚で、健康志向が強く、

   満太郎のダイエットに興味を持っている。


番号:04

名称:タナシン

本名:田中慎一郎(たなかしんいちろう)

性別:♂

性格:芸術家肌

年齢:30歳

所属:(有)タナシンアート

職業:芸術家

身長:190㎝

体重:80㎏

人称:ボク・キミ

口癖:芸術は核爆発だ!!

特徴:独身・長身・イケメン

好き:芸術鑑賞

嫌い:大衆芸術

概要:満太郎の親友で幼馴染の芸術家。

   満太郎が詐欺に遭ったことを知り、彼を励ます。


番号:05

名称:サトケン

本名:佐藤健(さとうけん)

性別:♂

性格:質実剛健

年齢:40歳

所属:消費者センター

職業:消費者センター職員

身長:178㎝

体重:88㎏

人称:わたし・キミ

口癖:マルチ商法に気をつけろ!!

特徴:既婚者・筋肉質

好き:仕事

嫌い:詐欺・マルチ商法

概要:消費者センターで働く職員。

   詐欺の被害にあった満太郎を冷静にサポートする。


■第1話 プロローグ


●社内大掃除


マンタローこと、鈴木満太郎(すずきまんたろう:30歳)が

所属する会社、㈱モブザコ企画。

本日の仕事は、社内の大掃除です。


「マンタロー、この机を倉庫に運んでくれ!!」

「はい、わかりました。ヤマダ課長!!」


満太郎は上司のヤマダ課長から指示を受けます。

「おい、マンタロー!!違うぞ!?

 倉庫はこっちだ!!オマエには方向感覚が無いのか!?」


「あ、すみません。カワバタ先輩!!」

 満太郎は同じ部署のカワバタ先輩に注意されます。


しかし、満太郎は大掃除が苦手でミスばかりしています。

「まったく、あのデブ野郎め!!いつもドジばかりしやがって!!

 これじゃあ、チーム全体の士気がだだ下がりだよな!?」


「ほらほら、マンタローさん、もう少しで終わりですよ!!」

「あ、ハナちゃん!!どうもありがとう!!」


満太郎の同僚で、『㈱モブザコ企画の花』との異名を持つ、

美人会社員、山本覇那子(やまもとはなこ:27歳)こと、

ハナちゃんが励ましてくれました。


しかし、そんな満太郎に対して他の同僚たちは冷たい視線を向けます。

(なんであんなデブがこの会社に入れたんだ?)


「おい、マンタロー!!早くしろよ!!

 ってか、オマエどんだけ汗かいてんだ!?」


「オイッッ!!マンタロー!!

 オマエもしかして体重100㎏以上あるんじゃねえか!?」


「ひょっとして、オマエの日常は

 コンビニスイーツ食い散らかしまくりの

 ウルトラ自堕落三流底辺生活なんじゃねえのか!?」

カワバタ先輩が辛辣な口調で満太郎を責め立てます。


満太郎はカワバタ先輩に聴こえないように、

心の中で大きく舌打ちします。

(クソがっ!!カワバタ先輩のドアホッッ!!)


「いかんなぁ、マンタロー!!

 社会人ともなれば、最低限度の自己管理くらいは

 常識中の常識なんだぞ!!」


「いつまで学生気分に浸ってるつもりなんだ!?

 オマエはもうすでに30歳じゃないのか!?」


「ひぃ、すみません!!ヤマダ課長!!」

続いて満太郎は上司であるヤマダ課長に注意を受けます。


すると、心優しいハナちゃんがヤマダ課長をなだめてくれたのです。

「まあまあ、課長!! マンタローさんは、

 生真面目で一生懸命ですから、 あまり厳しく言わないであげて下さい!!」


「う~む、しかしなぁ。ハナちゃん……」

「それに、マンタローさんだって頑張っているんです!!

 もう少し優しく接してあげてもいいんじゃないですか!?」


「う~む、まあ確かにそうだな。わかった。ハナちゃん!!

 マンタロー、ハナちゃんに免じて、このくらいにしといてやる!!」


「しかし、マンタロー!!

 そんな自堕落な生活を続けている限り、

 オマエの人生に光明が差す可能性など

 ゼロだという事を心にしっかりと刻み込んでおくんだなっっ!!」


満太郎はヤマダ課長に聴こえないように、

心の中で大きく舌打ちします。

(クソがっ!!ヤマダ課長のボケッッ!!)


そんなハナちゃんに対して満太郎は感謝します。

「ありがとう、ハナちゃん!!」


「いえいえ!!」

こうして、大掃除は無事に終わりました。


そして、ようやく退社時刻となりました。

満太郎とハナちゃんは最寄りの居酒屋へ飲みに行きます。


●ジョギングの誘い


「マンタローさん!!どうしたの!?

 今日は元気ないね!?」


「カワバタ先輩やヤマダ課長に

 言われたこと、まだ気にしてるの!?」


「いや~、その……ちょっと相談がありまして……」

「ふ~~ん、なに?」


「あのですね……実は僕……最近太りすぎて困っているんです……」

「アハハハッ!!そんなこと、言わなくたって一目瞭然でしょ!?」


「はい。でも……30代に差しかかって、

 ついに100キロ超の肥満体型になってしまったんです!!」

「まあっ、それは大変じゃない!?」


「ええ。このままでは、 本当に健康を害してしまうかもしれません。

 高血圧だし、さらに高脂血症と糖尿病の疑いがあるって健康診断で……」


「う~む、そうねぇ……あっ!!そうだわ!!」

「えっ?ハナちゃん、どうしたの?」


すると、ハナちゃんは満太郎にこう言いました。

「マンタローさん!!あたしね!!最近ダイエットを始めたの!!」


「ええっ!?それは本当ですか!?」

「ええ。それで今ね、毎日早朝10㎞のジョギングをしているのよ!!」


「なるほど!!そうだったんですか!!」

(うえっ……じゅ、10㎞も!?)


「そうだ!!マンタローさんもやってみない!?」

「えっ!?オレが10㎞も!?」


「そうよ。だってあなた、今のままでは健康に悪いし……

 それに太ったままだとそのうち病気にかかるかもしれないでしょ!?」


「そ、それはそうだけど……」

「だからいっしょに、朝日に向かって走ろうぜ!!って学生時代のノリで

 誘ってあげてるんじゃな~~い!!」


「は、はい……そ、そうだ!!

 オ、オレはいずれ世界を制する天才だ!!

 それに、オレだって、新卒時はまだ60㎏だったんだ!!」


「そうと決まったら話は早いわ!!明日は土曜日!!

 マンタローさん!!絶好のジョギング日和だわ!!」


「はい!!わかりました!!」

こうして満太郎とハナちゃんは翌朝2人で

ジョギングをすることにしました。


ハナちゃんはマンタローのスピードに併せて

ゆっくり走ってくれました。


(ううっ……やっぱりキツいなぁ……)

「ねえ~マンタローさぁん。大丈夫ぅ?」


「えっ?ああ、大丈夫ですよ!!」

そしてマンタローは、なんとか5㎞の距離を30分で走り終えることができました。


「あらあら、もうバテバテね!?

 あたしはあと25㎞くらい走りたい気分になっちゃったから、

 マンタローさんは先に帰ってくれていいわよ!?」


「そうそう、帰りにコンビニスイーツをドカ食いしちゃダメよ!?

 脂質と糖質でかえって太っちゃうからねっ!!バイバ~~イ!!」


ハナちゃんはマラソンランナーのような

凄まじいスピードで走り去ってしまいました。

「あ、ああ……ハナちゃん、ありがとう……」


●コンビニスイーツへの逃避


マンタローは疲れ果てた表情でコンビニに向かいます。

「ぐぐっ!!早朝のトレーニングで

 疲弊したオレは糖分を補給せねばならん。」


「これだけ疾走したら、コンビニスイーツ5,000円分が

 妥当だと言わざるを得ないだろう!!」


マンタローはコンビニスイーツ5,000円分を

自宅アパートに持ち帰り貪り食います。

しかし、それを食べ終えた直後の彼に襲ったのは激しい後悔の嵐でした。


「ああっ!!しまった!!

 こんなに食べてしまってはジョギングの意味がなくなってしまう!!」


「いや、大丈夫!!ソクラテスも200㎏を超える肥満体だっんだ。

 逆にこのオレはソクラテスの1000倍の努力をしているから大丈夫なんだ!!」


「だから、コンビニスイーツなんてゼロカロリーなんだ!!

 太宰治も言っていたじゃないか!!メロスは肥満体で走れない!!」


「体重200㎏を超える肥満体のメロスを乗せた車椅子を押して走ったのは

 体重50㎏しかない親友のセリヌンティウスだったてな!!ハハハハッッ!!」


「そうだよ!!そうだよ!!

 ナポレオンなんて体重300㎏の超巨漢だったじゃないか!!」


「あのマリー・アントワネットや、ルイ16世だって

 200㎏超えの肥満体で、食事制限なんてするはずがないんだよ!!」


「だからこのオレ、マンタローさまは、

 いずれ世界を制する100年に1人の逸材なんだよ!!」


「グハハハハァァ~~~~ッッ!!

 天才の思考に凡人が追い付いてたまるかってんだ!!」


●魔法の秘薬『タイジュウカルクナールαβγ』


マンタローは、肥満体を揺らしながら 雄叫びをあげてしまいました。

そして、型落ちのパソコンで趣味のネットサーフィンを始めます。


「あ~~あ、毎朝10㎞のジョギングなんてチョーだりぃよなぁ!!

 なんとか楽して痩せる方法は無いモノかねぇ!?」


「グヘ、グヘヘッ!! おやっ!?

 これは何だぁ~!?うひひっ!!」


マンタローはブラウザに表示された文字を見て驚愕しました。

「エゲレスが誇るフォックスオート大学薬学部主席卒業!!

 IQ180超えの天才薬学博士グレーゾーン・灰谷(45歳)が

 開発した魔法の秘薬『タイジュウカルクナールαβγ』だとぉぉ!?」


「なになに、この魔法の秘薬『タイジュウカルクナールαβγ』を

 6ヵ月間服用した、体重300㎏の絶望的肥満児がなんと!!

 1/5の体重、60㎏まで減量することができました!!」


「ビバ!!魔法の秘薬!!

 ビバ!!『タイジュウカルクナールαβγ』!!

 副作用は一切ナッシング!!」


「メリケン大統領もロウム教皇も大絶賛!!

 こんなスンゲエ魔法の秘薬!!」


「ノーヴェル賞を100個やっても、

 まだまだまだまだ足んねえよ!!」


「100㎏程度の肥満体なら、1ヵ月分30錠を毎日1錠づつ服用すれば

 翌月、70㎏まで努力不要でスッキリスリムに減量しちゃうぜ!!

 だってぇぇ!?」


マンタローはネットで偶然発見した

痩せ薬『タイジュウカルクナールαβγ』の広告に大興奮します。


「今なら、魔法の秘薬『タイジュウカルクナールαβγ』

 30錠(1ヵ月分)が爆裂半額大特価!!」


「通常価格¥598,000のところを!!ナナナナナント!!

 半額特価¥298,000でご提供します!!」


「今だけ!!今だけ!!今だけ!!

 イ・マ・ダ・ケェェェェ~~~~ッッ!!」


「あと12時間以内に注文!!注文!!注文!!

 チュ・ウ・モ・ンンンン~~~~ッッ!!」


マンタローはほくそ笑みながら静かに頷きました。

「フフフフ……何の副作用も努力もなしに、

 たったの1カ月で30キロ減だってよ!!」


「29.8万円か……ちょっと値は張るが、仕方ねえ!!

 ちょうどボーナス前だし、奮発して買ってやるか!!」


「ウヘヘッッ……魔法の秘薬『タイジュウカルクナールαβγ』を

 1ヵ月飲み続ければ、100キロ超の冴えない肥満体からオサラバして

 スリムで健康的なナイスガイに変身だぜぇぇ~~!?」


マンタローは、迷うことなくボタンをポチッと押しました。

さらにメールアドレスと住所を入力して

『タイジュウカルクナールαβγ』購入完了です。


「これで、1カ月後にはハナちゃんにもモテモテ!!

 嫌味ったらしいカワバタ先輩やヤマダ課長のヤローも、

 スリムナイスガイで神々しいオレさまのバディを目の当たりにして

 悔しさのあまり悶絶痙攣失禁状態だぜ!!

 クッッハハハハァァ~~ッッ!!」


マンタローは、自称IQ180超えの

天才薬学博士『グレーゾーン・灰谷(45歳)』がネットで販売する

怪しい魔法の秘薬『タイジュウカルクナールαβγ』1カ月分(30万円相当)を

疑いなくアッサリと注文してしまいました。


つづく

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