第3話 開戦(?)
「はぁっ!!!」
雪姉ぇは獣人が放った「それ」にすぐに反応し、持っていた自分の背丈をゆうに超える斧でその球体を叩き落とした。
ドォォォォォォオン!!!!
球体は地面にて爆散し、辺りは砂煙に包まれる。
「そォら もう一丁!!」
また獣人は拳を構え、赤い球体を作る。
「させねぇ!!」
祐葉は深く踏み込んで、獣人との間合いを素早く詰める。
だが、獣人は拳の先で作られた球体を今度は自分の足元目掛けて放ち、自分自身の周りの地面が吹き飛ばした。
ドガァァァァン!!
「うぉっ!!」
祐葉は獣人に深く踏み込みすぎた為、衝撃波の影響をもろに受け、後ろへ大きく吹き飛んだ。
ガバッ!!
「よいしょっ! 大丈夫? 祐葉」
「あぁ、悪い恵里菜·······」
吹き飛んだ祐葉は1番近くにいた恵里菜が素早く反応して抱きとめたため、無事だ。だけど······
「雪姉ぇ、獣人は!?」
「残念だけど、今の地面に放った衝撃波のどさくさに紛れて逃げたみたいね。でも深追いするのは止めましょう。とりあえずは怪我人が出なかっただけでも良しとしましょう」
まんまと撤退を許した事に、「クソッ!」と悔しがる祐葉。そんな祐葉に、雪ねぇは「損害を出すことなく、獣人を追い払えたのだから、上出来よ」と言うけれど、祐葉は納得せず「4人がかりでやっと一体の獣人を追い払うのがやっとだ。しかも、あの野郎は明らかに余裕があった」と尚も悔しがる。
雪ねぇは「そうね」と認めつつ、「だからこそ、研究所を目指すのでしょう? 獣人たちと同じ【異能】の力を手にするために」
雪姉ぇはそう言うと、側に横たわる既にこと切れた野生の鹿を軽々と担いだ。
「まぁそれはそれ。食料調達の狼煙はさっき見たでしょ?突然獣人が現れてゴタゴタしちゃったけど、とりあえず今は夕飯にしましょう」
「うん。分かった。じゃあぼくも手伝うよ。何すればいい?」
「そうねぇ、じゃあ佐斗葉は───」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「佐斗葉ー、ご飯出来たわよー」
「はーい」
雪姉ぇの声で、ぼくは既に夕飯の準備が出来た場所へ向かう。
何でぼくは毎回調理担当から外されるんだろうか······?
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