国語辞典ショートショート小説チャレンジ

十神愛

第1話隕石《いんせき》

青年せいねんはハッとした。

ボーッとしていた。いまなにをしていた?

(そうだ。いえかえろうとしていたんだっけ。)

歩道ほどうくしていた青年せいねんはそうおもうしろをいた。

瞬間しゅんかん、ありえない光景こうけいんできた。

そらから大量たいりょう隕石いんせきそそいでいたのだ。

ーーーれない!

そうおもったがあし自然しぜん隕石いんせきからげていた。

ドォン!ドン!パラパラ…ッ

隕石いんせき地面じめんはじめた。

ほかにもまど人達ひとたちるようで、さけごえひびく。

隕石いんせきあたま直撃ちょくげきしたひと衝撃波しょうげきはばされたひともいた。

するとおんな微笑ほほえみながらこえをかけてきた。

「あなたも隕石いんせきからげているの?」

たりまえだろう。隕石いんせきだぞ!げないわけにはいかない。」

その瞬間しゅんかんあたまなにかがかすめたがした。…隕石いんせきか?だがあたまさわってみてもなんともない。

「ふぅん。ならわたし一緒いっしょげましょう。」

こっちよ、とおんな青年せいねん誘導ゆうどうした。

(本当ほんとうにこのおんなについていっていのか?いのちがかかっているのに。)と一瞬いっしゅんおもったが、正直しょうじきどこにげればいいかからず、青年せいねんはついていくことにした。

おんなれられたさきには地下ちかへとつづ階段かいだんがあった。

「この地下ちかなら安全あんぜんだわ。」

青年せいねんはそこにんだ。隕石いんせきは30ぷんほどつづいた。

(きっとたくさんのひとくなったんだろう。)

そうおも地上ちじょうてみると、まち壊滅かいめつしていた。ひとはほとんどえなかった。隕石いんせきしたもれているのだろう。

わたしのこれたのか…怪我けがひとつなく。奇跡きせきだな。」

これもおんな避難場所ひなんばしょれてきてくれたからだとおもい、かえってれいった。

「ありがとう。貴方あなたのおかげたすかった。」

「………。」

おんなだまっている。

「?」

「まだづかないの?」

なんのことだ?」

「さっき貴方あなたあたま隕石いんせきがぶつかったはずなんだけれど。」

「なんだと?」

あたまさわってみたがなんともない。

「いえ。ぶつかったというより、すりけたとったほうただしいかしら。」

「………。」

「いいかげん気付きづいてよ。貴方あなたはとっくのむかしんでいるんだから。隕石いんせきからげる必要ひつようなんてなかったの。」


おわり


ひとこと。

青年せいねんおんな幽霊ゆうれいでした。

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