第五章:堕落の連鎖

 エレーヌたちの策略は、予想以上の速さで効果を表し始めた。高位聖職者たちの秘密が次々と暴かれ、彼らの堕落した姿が世間に晒されていった。しかし、この過程で修道女たちも、自らの行動の過激さを増していった。


 まず、大司教の醜聞が明るみに出た。彼の豪奢な別荘での乱痴気騒ぎの様子が、匿名の告発によって新聞紙面を賑わせた。続いて、ある枢機卿の若い修道女への不適切な行為が暴露された。これらの事件は、教会の権威を大きく揺るがした。


 エレーヌは、自分たちの行動が実際に社会に与える影響の大きさに戸惑いを覚えていた。


「私たちは本当に正しいことをしているのでしょうか」


 彼女はクロエに問いかけた。

 クロエは冷静に答えた。


「正しさなど、この世に存在しない。あるのは力と快楽だけよ。私たちは、ただその真理を世に知らしめているだけなのよ」


 エレーヌは、クロエの言葉に深い共感を覚えながらも、心の奥底では何か違和感を抱いていた。しかし、彼女はその感情を押し殺し、さらなる行動に出ることを決意した。


 修道女たちは、より大胆な策を講じるようになった。彼女たちは、高位聖職者たちを誘惑し、その様子を密かに記録した。そして、その証拠を使って彼らを脅迫し、教会の機密情報を引き出していった。


 この過程で、修道女たちの行動はますます過激になっていった。彼女たちは、時に暴力的な手段さえ辞さなくなった。ある修道女は、情報を得るために聖職者に薬物を使用したり、別の修道女は、脅迫のために聖職者の家族を利用したりした。


 その過激さは毎晩の狂乱の饗宴にも反映されていた。

 聖女たちは乱れ、そして楽しんだ。


 ある晩、エレーヌとジュリーは、その狂気のさなか、月明かりの下で震えている少女マリアンヌを見つけた。

 彼女は恐ろしいものを見るような目でエレーヌとジュリーを凝視していた。

 その瞳に興味と好奇心がないまぜになって浮かんでいた。


「怯えているの?」


 エレーヌのその言葉にマリアンヌは小さい肩をびくりと震わせた。


「怖がることなんてないのよ。さあ、あなたもいらっしゃい」


 ジュリーが優しくマリアンヌに手を伸ばす。

 マリアンヌはおずおずとジュリーの手をとった。

 ジュリーは優しくマリアンヌを抱きしめると、そのままそっと口づけをした。


「あなたにも教えてあげるわ……」


 そういってエレーヌとジュリーはマリアンヌの服をそっと脱がし始めた。


 マリアンヌの体は小刻みに震えていた。恐怖と期待が入り混じった複雑な表情を浮かべながら、彼女は二人の手に身を委ねた。

 エレーヌとジュリーは、慎重にマリアンヌのベールを外し、修道服のボタンを一つずつ外していく。


「そのままでいいのよ」


 エレーヌが優しく囁いた。


「私たちがあなたを導いてあげる」


 ジュリーは、マリアンヌの首筋に軽くキスをした。

 その感触に、マリアンヌは小さく息を呑んだ。


 修道服が床に落ちると、マリアンヌの白い肌が月明かりに照らし出された。彼女の体は、まだあどけなさの残る少女のものだったが、その曲線には既に女性の魅力が宿り始めていた。


 エレーヌは、ゆっくりとマリアンヌの胸に手を伸ばした。

 小さな乳房に触れると、マリアンヌは小さく喘いだ。

 その反応に、エレーヌの目が欲望に潤んだ。


「敏感なのね」


 エレーヌは囁いた。


「あなたの体は、もっと多くの快楽を求めているわ」


 ジュリーは、マリアンヌの背後から彼女を抱きしめた。

 その温もりに、マリアンヌの体の緊張が少しずつ解けていく。


「私たちに身を委ねなさい」


 ジュリーが耳元で囁いた。


「あなたの中に眠る欲望を解放してあげる」


 エレーヌとジュリーは、交互にマリアンヌの体に触れていった。

 彼女の首筋、胸、腹部、そして太腿。

 その度に、マリアンヌの体は小刻みに震え、喘ぎ声が漏れる。


 やがて、エレーヌの指がマリアンヌの秘部に触れた。

 そこは既に湿り気を帯びていて、エレーヌは満足げに微笑んだ。


「ほら、あなたの体はもう準備ができているわ」


 エレーヌの指が動き始めると、マリアンヌは思わず大きな声を上げた。

 そしてその声に驚いたかのように、彼女は自分の口を手で押さえた。


「声を抑える必要はないわ」


 ジュリーが優しく諭した。


「ここでは、あなたの欲望をさらけ出していいの」


 エレーヌの指の動きが激しくなるにつれ、マリアンヌの喘ぎ声も大きくなっていった。彼女の体は、今まで経験したことのない快感に包まれていく。


 ジュリーは、マリアンヌの乳首を軽く摘んだ。

 その刺激に、マリアンヌの体が大きく反った。


「ああ……こんな……」


 マリアンヌの言葉が途切れる。


「こんな気持ち……初めて……」


 エレーヌとジュリーは、満足げな表情を交わした。彼女たちは、マリアンヌの純粋な反応に、自分たちの過去の姿を重ね合わせていた。


「もっと感じていいのよ」


 エレーヌが囁いた。


「もっと深く……」


 エレーヌの指がマリアンヌの中に滑り込む。

 その瞬間、マリアンヌの体が大きく震えた。

 痛みと快感が混じり合い、彼女の目に涙が浮かぶ。


「痛い?」


 ジュリーが心配そうに尋ねた。

 マリアンヌは小さく首を振った。


「違うの……これは……」


 彼女は言葉を探すように瞳を泳がせる。


「これが……快感……なの?」


 エレーヌとジュリーは微笑みを交わした。彼女たちは、マリアンヌの中に芽生え始めた欲望の炎を、さらに大きく燃え上がらせようとしていた。


 エレーヌの指の動きが激しくなり、ジュリーの愛撫も熱を帯びていく。マリアンヌの体は、次第に大きく揺れ始めた。彼女の喘ぎ声は、今や甘美な嬌声へと変わっていた。


「ああ……もっと……」


 マリアンヌの言葉が途切れる。


「私……だめ……何か……来る……怖い……」


 その言葉を合図に、エレーヌとジュリーは最後の一押しをした。

 マリアンヌの体が大きく弓なりに反り、彼女は今までにない快感の波に飲み込まれた。 マリアンヌの白い肢体全体がびくびくと小刻みに痙攣している。


 絶頂の余韻に浸るマリアンヌを、エレーヌとジュリーは優しく抱きしめた。

 彼女たちの顔には、満足感と同時に、どこか愛しげな表情が浮かんでいた。


「これが快楽よ、マリアンヌ」


 エレーヌが囁いた。


「そして、これがあなたの新しい人生の始まり」


 マリアンヌは、まだ息を整えられないまま、小さく頷いた。彼女の目には、戸惑いと興奮が入り混じっていた。そして、その奥底に、まだかすかな期待の色が見えた気がした。


 エレーヌとジュリーは、マリアンヌの体を優しく撫でながら、彼女を落ち着かせた。しかし、二人の目には、どこか冷たい光が宿っていた。彼女たちは、マリアンヌを自分たちの世界に引きずり込んだことを、静かに喜んでいたのだ。


「さあ、これからよ」


ジュリーが言った。


「あなたにはまだ、たくさんのことを教えなければならない」


 マリアンヌは、疲れと快感で朦朧としながらも、二人の言葉に聞き入った。

 彼女は、自分がもう後戻りできない一線を越えてしまったことを、薄々と感じ取っていた。だが不思議とそこに後悔はなかった。


 エレーヌとジュリーは、マリアンヌを抱いたまま、静かに月明かりの中に佇んでいた。彼女たちの影が、長く伸びて、修道院の壁に映し出されていた。その姿は、まるで三人の魂が永遠に絡み合うかのようだった。


 しかし、彼女たちの行動は、予期せぬ結果をもたらし始めた。教会の権威が失墜するにつれ、社会全体が混乱に陥っていった。人々は道徳的な指針を失い、無秩序状態に陥り始めたのだ。


 街では暴動が頻発し、犯罪率が急上昇した。人々は、もはや何を信じればいいのか分からなくなっていた。教会への信頼が失われた今、彼らは新たな精神的支柱を求めてさまよっていた。


 エレーヌは、この状況を目の当たりにして、深い葛藤に陥った。「私たちは、腐敗した権力を打倒しようとしたはずなのに、結果として社会全体を混沌に陥れてしまったのではないか」と、彼女は自問自答を繰り返した。


 一方、クロエは、この状況を冷静に観察していた。「これこそが、人間の本質なのよ」と彼女は語った。


「道徳という仮面が剥がされれば、人間の真の姿が現れる。それは、欲望に支配された獣同然の存在なのだわ」


 修道女たちの中にも、変化が現れ始めた。彼女たちの中には、この混沌を楽しむ者も現れた。彼女たちは、社会の秩序が崩壊していく様を、ある種の陶酔感を持って眺めていた。


「悪徳こそが、この世界の真理だ」


 エレーヌは、ついにその事実を受け入れた。


「私たちは、その真理を世に知らしめているのだ」


 しかし、エレーヌの心の奥底では、まだ何かが引っかかっていた。彼女は、自分たちの行動が本当に正しいのか、最後まで確信が持てずにいた。


 そして、彼女たちの行動は、さらなる連鎖反応を引き起こしていった。教会の権威失墜は、政治の世界にも波及し始めた。権力者たちは、互いの弱点を暴き合い、社会全体が内部崩壊の危機に瀕していた。


 エレーヌたちの修道院は、この混沌の中で、奇妙な楽園と化していた。そこでは、あらゆる道徳観念から解放された女性たちが、自由に欲望を追求していた。しかし、それは同時に、新たな抑圧と暴力の温床ともなっていた。


 堕落の連鎖は、もはや止められないものとなっていた。エレーヌは、自分たちが引き起こした変革の大きさに、恐れと興奮を覚えていた。彼女は、この先どこに向かうのか、もはや予測すらできなくなっていた。

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