派手さは在りません。 ですが本来ファンタジーは、暗い森や中世世界の古びた町並みのなかから紡がれる物語ではないのでしょうか。「固有スキル」や「特別な知識」や「降って湧いた幸運」などに胸躍らせて、カタルシスを感じるのも良いものでしょう。 ですが固い地面を両足で踏みしめて、先の見えない道筋を一歩一歩、知恵と勇気で進む旅路はひと味違う充足感があります。 この作品は、そのことを教えてくれる希有な物語です。