スキル「魔法剣」で最強を目指す
天星 水星
第1話 スライム
男子たるもの最強に憧れるのは必然! 例えこの身が女性になったとしても男の精神を受け継いでいるからには、最強を目指す!
「とは思って見たものの、なんとか良いスキルに当たらないとそれも夢のまた夢ですよね」
ちなみに喋り方は矯正された。シスターマジ怖かった。そんなわけで15歳になったことでダンジョンにやってきました。この日本では15歳からダンジョンに潜る許可が出るんだよね。昔は20歳からだったけど、どっかのダンジョンが崩壊して大量の死傷者が出てから引き下がったのだ。
「番号札12番の方は、1番までお越しください」
「あ、呼ばれましたね」
そんなわけで提出物だして、探索者になりました。よし早速ダンジョンに突撃じゃー!
「そんなわけで来ましたランク1ダンジョンに」
目の前にはダンジョンに入るためのポータルがある。ちなみにランクとはよくある難易度のことだ。もちろんランク1が一番低い難易度だ。
「お願い神様、なんか良さげなスキルを恵んで下さい!」
そうして神頼みしつつ私はダンジョンに入った。ダンジョンは石造りの通路で変に躓く心配はなさそうだ。それに光ってるわけではないが、先まで見通せる。
『初めてのダンジョン侵入を確認。スキルを付与します。スキル『魔法剣』を付与しました』
「これが天の声、そしてスキル『魔法剣』とか当たりでは!?」
詳細を知りたいと思うと、『魔法剣』についての情報が脳裏にでた。
魔法剣
剣を媒体に魔法を起こせる。
アビリティ
属性変更(火、水、風、土)
魔刃剣
「こんな感じに知ることができるのね。それじゃあ一先ず帰って武器を買ってから再チャレンジね」
そうしてなけなしのお金で鉄の短剣、ではなく包丁とポーチを買った。短剣は高くて買えなかったし、できるならポーチじゃなくてバックを買いたかったのに。まさかあんなに高いなんて……。
「やっぱり鍛冶師が作る武器は高いわね。ランク1の低階層なら包丁とかの、スキル持ちが作った武器以外でもなんとかなるけど……まあしかたないわ」
とりあえずできるだけお金を貯めて、なるべく良い武器や防具に道具袋を手に入れたいところだけど、先は長そうだ。
「でもだからこそやりがいがあるってもんよ!」
そんな風に決意を新たにして、ランク1ダンジョンに戻ってきた。
「さてここのモンスターは何かな?」
そんな風に呟きつつ、ダンジョンを進んでいくとピョンピョンと飛び跳ねている水色の生物を見つけた。スライムだ。
「まあ前世の国民的RPGと違ってデフォルメされた顔がないスライムだけど」
とりあえず『魔法剣』は使わないで包丁で切り付けてみる。するとまるで粘液を切りつけてるというより、硬いものを切りつけているみたいな手応えだ。
「まいったね、これがモンスター特性か……」
結局振り抜けなかったので、包丁を手元に引き戻して下がる。すると丁度スライムはこっちに突っ込んできていた。下がって正解だった。
「たぶんくらったら痛いんだろうなぁ」
基本的にモンスターにはスキルの影響がない攻撃はあんまり意味をなさない。もちろん防御もだ。だからみんな『鍛冶』のスキルを持った鍛冶師の武器を欲しがる。まあそれだけが理由じゃないけど。
「それじゃあ次は『魔法剣』属性変更・水!」
スキルを使うと薄っすらと包丁を水色の膜が覆う。それと同時に体の奥底から何かが流れているのを感じる。これが魔力かな?
とりあえずスライムに向かって包丁で切りつけると、先ほどとは違ってスパッと切り裂くことができた。
「やっぱりスキルを使わないと切ることもできないか!」
その後も切りつけること数回、ようやくスライムは形状を維持できなくなって倒れた。
「香は経験値1を手に入れた、なんてね」
まあ現実には経験値なんてないけど。それにしてもスライムを倒すのに複数回切りつけないといけないのか。
「おっと忘れてた、スキルを解除しないと」
『魔法剣』のスキルを止めようと思うと止まった。やっぱり習った通り意志一つで止められるんだ。
「それにしてもあの何か流れたのが魔力なのかな?」
近くにスライムがいないのを確認して、さっきの感覚を思い出しながら集中する。するとなんとなくだが、残っている魔力量がわかる……気がする。
「九割くらいかな、残ってるの。そうなるとあと九体しかスライムを倒せないのか」
もちろん休めば魔力は回復するから、実際には九体以上のスライムを倒せるだろうけど。
「それにしても何か忘れているような……?」
戦闘中にズレたポーチを直しながら考える。それにしてもこのポーチ邪魔だな。背負い袋なんかのいつでも落とせるようなタイプを買った方がよかったかな?
「あ、ポーチ! 魔石!」
そうだなんでポーチ買ったのか忘れてた。魔石を入れるためだったんだ。幸いなことにスライムを倒した後には魔石が残っていた。
「よかった~。まだダンジョンに吸収されてなくて」
この魔石は様々なエネルギーになるからたとえスライムから取れるような小粒でも売れるのだ、まあたしかランク1の1階層なら100円とかだけど。それでも私にとっては大事な収入源だ。
あとダンジョンに放置しておくと吸収されてしまう。もちろんゴミとかも吸収するが、これで大事件が起きたことがあるから大規模なゴミ捨てをする人はまずいなくなった。
「さてそれじゃあじゃんじゃんスライム狩っていくぞー!」
魔石をポーチに入れながらスライムを探しに行くと、さっきと同じ水色のスライムを見つけた。
「そういえば魔物には属性があるのもいるんだっけ? そうなるとこのスライムは水かな。それなら『魔法剣』属性変更・風!」
試しに属性を風にして切りつけてみる。すると切れ味は変わらないが、より深く切れてるというか傷が深い感じがする。その感が当たったのか、もう一度切りつけるだけであっさりとスライムは倒れた。
「うわー、まさかスライムが2発で倒れるなんて。魔力もほとんど減ってないし、属性って大事だね」
とりあえず他にも試してみたいことがあるからスライムを探したところ、今度は赤色のスライムを見つけた。
「このスライムは火属性かな、てことは水属性が弱点だけど今回は土属性でやってみよう」
そして属性を土にして切ると、十数回もの数が必要になった。習った通りだけど火属性に弱い土属性だと、同じ属性の時よりもさらに切りつけないといけない。
また水色のスライムを見つけて土属性で切りつけると、水属性の時と同じくらい切ることになった。
「もしかして『魔法剣』って強い? 属性相性で有利に立てるとなると強いよね?」
たしか属性武器って高額だし、それをスキル一つで解決できるならお財布にも優しい。これなら最強になれるんじゃないか?
「あとでお祈りして献上品を上げないと、そのためにスライムをたくさん狩らないといけないよね」
そうしてスライムをたくさん倒した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます