第28話
「は⁉何でカードの表を見ないで答えるんだよ」
「そうよ、ノールックオールインって何考えてんの頭おかしいんじゃないの?」
「和さんここは皆さんの言う通りギャンブルをやめてください。」
「大丈夫勝てるからwww俺最強だからwww」
和は俺達の忠告を無視した。
この野郎、まじで屋敷に帰ったらこいつの下着全部燃やして、一生ノーパンライフを送らせてやる。
「それではオープン」
ディーラーと和は互いに裏になっているカードを表にした。ディーラーはAのワンペア。和は役無しだ。
このバカ!だから言ったのに‼
「あああああああああ‼」
和は両手で抱えた頭を『ガンガン!』と、大きな音を立ててぶつけながら叫んだ。
「お客様チップをお渡しください。」
「あああああああ‼」
どうやら調子に乗って狂った大勝負をし、負けて精神がぶっ壊れて言葉が聞こえないのか。和はチップを渡さなかった。
「お客さんでは私が取りますね、チップが、一ま~い、二ま~い……」
そうして丁寧にチップを一枚、一枚和に見せてから取った。そして全部回収し終えた。
「二十五ま~い、ってあれれwwwオールインだから数えなくても良かったのか!すいませ~ん!」
ディーラーの人は和に煽られていたことが余程ストレスだったのか、客であるはずの和を煽った。
「和、お前何してんだー‼」
俺は和を地面に殴り倒した。俺と詩織は蹲る和をひたすら蹴った。
「日頃から何故か私の方が無能扱いされてたけどあんたの方が無能じゃない。私は屑に合わせていただけの無能な豚ですって言えよ」
「私は……屑に合わせていただけの……無能な……豚です……。」
「人の意見はちゃんと聞いた方がいいんだぞ?Could you understand?」
「イエス、アイキャン。」
レベッカは俺と詩織を止めようにも止めに入る隙が無いほど、和に罵声を浴びせ蹴っているためただその場であたふたとしていた。
五分ほどして、俺も詩織もさすがに疲れ蹴ることを止めた。
「ハァ……ハァ……これで金を持ってるのは俺とレベッカだけか」
「私お金持ってませんよ」
レベッカの突然の発言に高速で首を曲げ、レベッカの顔を見た。
「え?いつ使ったの?」
いつだ?詩織と一緒に行動していたときか?でもあの時間で使い切るにはあまりに大金だぞ……。
いくつもの可能性が俺の頭の中をよぎった。
「屑さんを呼びに行った後、詩織さんの所に戻るの遅かったですよね。あの時に俺に金を渡してくれたら二倍にしてくれるという心優しい人がいたので渡しました。」
レベッカは胸を張って答えた。
は?絶対詐欺じゃん……。今すぐ取り返さないと。
「その人の顔は?」
「え?顔ですか?それは仮面をつけていたので分かりません。」
「それは詐欺だろ。仮面付けて金を渡してくれってなんでそんなの信用したんだよ」
「え⁉詐欺じゃないですよ、倍にして返すって言ってましたよ。」
レベッカは曇りなき眼で答えた。
何故この子は疑うってことを知らないんだ。
「レベッカちゃんいい?仮面をつけてお金を渡してほしいって普通じゃないでしょ?」
詩織がいつになく物腰柔らかく説明した。
「そうなんですか?すいません私だけギャンブルすることなくお金使い切ってしまいました。」
「別にいいわよ」
「おい……なんで……レベッガを殴らないんだ」
床で痛みで蹲る和が俺に聞いてきた。
確かにこいつはさっきミスして蹴られてたから、納得いかないだろう。実際普段の俺ならレベッカを殴っていただろうが、しかし今は隣に詩織がいる。この状況でレベッカを殴れば、俺は走馬灯を見ることになるほど殴られることが容易に想像でき殴れなかった。
「チッ!」
詩織は舌打ちをして、和の顔を蹴った。
「な……んで……俺だけ」
和は消えるような言葉で言った。
うぅ!すまない和。詩織が怖いんだ。さっきまで和に対する苛立ちが勝っていたのに今では可哀そうという気持ちが勝っている。
「君、私とギャンブルしませんこと?」
厳ついおっさんの見た目をした男がお嬢様言葉で話しかけてきた。
「あのすいません、誰ですか?」
「ちょっと屑失礼よ。この人はここのオーナーよ」
「オ……オーナー⁉」
俺とレベッカは目を見開き、声を大にして驚いた。
何でオーナーが俺にギャンブルを挑んでくるんだ?
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