第26話

 俺は東条屑。お金稼ぎのためにダンジョンに向かったがそこには悪魔がいた、勝てないと判断した俺はダンジョンをダイナマイトで壊し悪魔を生き埋めにしたのだがその結果ダンジョン崩壊の賠償金として四十億ギラの借金を負うことになった。


「よし、ダンジョンのお宝も金に替えれたし家に帰るか。」

 そうして俺達は失禁する店主の営む買取屋から屋敷への帰路に就いた。


「ただいまー」

「おかえりー」

 屋敷の中から詩織の声で返事が聞こえた。


 あれ?あいつはカジノに行ってたはず……。


 俺は急いで屋敷のリビングに向かった。そこには詩織がソファの上で横になってぐーたらしている詩織がいた。


「何でお前がここにいるんだ?都合よさそうなギャンブルを探すために潜入調査のはずだろ?」

「それより屑達疲れたでしょ?ご飯作っといたわよ。」

 詩織は話を逸らそうと必死に別の話題を出してきた。


 疲れたからご飯っておかしいだろ、食べても疲れとれないだろ、お前の料理不味いんだから。


「おい、お前まだ屋敷に戻って来るには早いだろ。何があったのか言え。」

 詩織はソファの上で横になっていた体勢から正座をした。


 何をしたんだろうかこのバカは?


「実は……、」


 そうして俺達は詩織がカジノの職員を気絶させ陥れさらにはセクハラを働きクビになったことなどあったことすべてを聞いた。


「何やってんだー!お前ェ‼」

 と、俺は詩織の胸ぐらを掴み力強く揺らした。


「そうだぞ!ふざけんじゃねえ‼お前がセクハラしてお楽しみの間俺達はまたニーナさんに殴られてたんだぞ‼」

 和は随分とお怒りのようだ。和はあのイカレクソ女に性欲の眼差しを向けボコボコに殴られてたのだ。


「そんなの知らないわよ!そもそもナイスバディでおなじみ詩織さんにメンズスーツを渡してきた黒スーツの男が悪いのよ!」


「別にいいだろ!バッドバディの詩織さんはメンズスーツ着れるんだから」


「誰がバッドバディよ‼ぶっ殺してやる‼ハーデニング」

 詩織は杖を手に取り杖を硬質化させた。まずい、地雷を踏み抜いてしまった。


「ちがっ、じょうだ……ゴフッ!」

 詩織は俺の話を最後まで聞くことなく杖で俺を叩き飛ばした、俺の体は勢いよく吹き飛び後ろの壁に衝突した。


 全身が痛い。下を向くと地面に赤い鏡……?いや違う血だ。これは出すぎでは?


「じ……ぬ……」

「死ねぇぇぇ‼」

 と、再び力強く叩いてきた。


 普段なら例え女、子供、老人関わりなく理不尽な暴力には暴力で返す俺だがこいつには暴力で返そうにも、返す暇がない。


「詩織さんやめてください、今は明日の話をしないと。」

 やはりレベッカは優しい、お陰で命拾いした。


 いつかやり返してやる、このクソ女。


「そうね、レベッカちゃん。フフフ外にいたせいか汗をかいててメスの香りがしてお姉ちゃん我慢できないお姉ちゃんがいいことしてあげるわ」

 と、詩織はツルのようにレベッカの体に絡みついた。レベッカは必死に詩織は引き離そうと抵抗した。


「離れてください詩織さん、屑さん和さん、見てないで助けてくださいよ」

 視線をこっちに送り、必死にこちらに助けを求めてきた。仕方なく、和が詩織を引き剥がした。


「全く……、詩織さん都合のいいギャンブルはありましたか?」

 レベッカは嘆息を吐いて、尋ねた。


「勿論よ。異世界だからどんなギャンブルがあるのかと思っていたけど、私たちの世界と基本的に同じよ。都合が良さそうなのはポーカーよ。」

 詩織は渾身の決め顔で答えた。


「そうなのか、とは言えお腹が空いた、詳しい話は食べながら話そう。」

 そう言って俺は、食卓に着いた。そして他の三人も食卓に着いた。


「おらー、飯だぞ」

 と、キッチンからダズが良い匂いとともに現れ料理を運んできた。


 こいつ自分で料理作ったとか言いながらダズに作らせてたのかよ!潜入ミスって、俺を殴って、嘘までういて、絶対に復讐してやる。


「頂きます。」

 俺達は合掌して食事を始めた。


「で、どうしてポーカーがおすすめなんだ?」

 詩織に尋ねて、俺は料理を口に運んだ。


 美味い、詩織じゃなくてダズが作ってくれて本当に良かった。


「それはね客側が望めば倍付をできるのがこの世界のカジノなんだけど、その中でもポーカーのファイブカードは倍率が最も高くて八倍もあるのよ」


「でもそれって逆に相手にファイブカード出されたらこっちも八倍支払わないといけないわけですよね?危なくないですか?」


「その通り、危ないわよ。でも四十億ギラはハイリスクなしで返せる金額じゃないわ」


「確かに……。」


「ご馳走様でした。明日も早いし俺もう寝るわ」


 俺は合掌して食事を終了し、空の皿を運んでから、階段を上り自分の部屋に向かった。部屋に入ると疲れがどっと押し寄せてきて、俺はベッドに倒れこんだ。詩織の話とレベッカの言ったスキルを使う条件的に出来るイカサマは限られてくるな。


 俺は明日するイカサマを考えながら寝た。


 次の日の朝、窓から差し込んできた黄色く暖かい光は、俺を優しく包み込んだ。目が覚めてすぐ俺達は、朝早くからカジノ向かった。カジノの中には良く知っている男、忘れたくても忘れられない男がいた。


「あああああああああああ‼」

 男は奇声を発しながら椅子から立ち上がった。


「何であんたがここにいるんだよ……。」


 目の前にいたのは買取屋のおっさんこと失禁ダンサーだった。


 この人は本当に何を考えているんだ?というかギャンブル直前なのにギャンカスの和が妙に静かだ。ギャンブルが大好きな和には期待してたのにな。でも何で失禁ダンサーがここにいるんだ?


 俺は必死に考えているが、目の前の失禁ダンサーのせいで思考がまとまらなかった。


「おっさんどうしてここにいるんだ?」


「アハハハどうして?って、アハハハどうしてだって?君の財宝を二億も多く買い取らされたから二億の借金ができちゃったからだよ~ん。やばい、やばいよーみんなーちゅうもーく!漏れちゃう、漏れちゃうよ〜」


 失禁ダンサー店主は二億の借金でどうやらぶっ壊れたらしい。


 さらに借金が増えたら俺もこうなっちゃうのかな……。失禁は嫌だ。


 『パチンッ!』と、ディーラーの指を鳴らす音が響いた。するとすぐ黒スーツの男が数人駆け寄ってきた。


「この男を摘まみ出せ」

 と、ディーラーはカジノ入り口を指差した。


「嫌だ!待ってくれ!あともう少しで出るから〜!」


 よく分からない言い分で抵抗するが失禁店主は店を追い出された。


 嫌だ!絶対に嫌だ!あんな人にはなりたくない!


「それじゃ軍資金は各自二億五千万ギラこれを各々が四倍にしてきたら借金完済だ」

 と、俺は全員にお金を配った。


「アヒャヒャヒャギャンブルだー‼オラー‼俺と勝負しろ持ち金全部奪ってやるよ!あっひゃっひゃっひゃ‼」

 和は金を受け取るなりすぐに大声で叫びながらカジノの奥へと消えて行った。


 ギャンカスなのは知ってたがここまでクレイジーな人間だったなんて……。危険な人間だ。一応こいつらにも金を渡したが良かったのだろうか、和を見てると心底不安になる。


「おい詩織、お前この金で酒を飲むなよ。ちゃんと賭け事して勝って来いよ。」

 俺は詩織の顔に当たるほど近いところで詩織の顔を指差し、釘を刺した。


「なっ何よ、この私が信用ならない訳?」

 と、詩織は無い胸に手を当てて言った。


「そうだ。お前は昔勝手に有り金全て酒にしたことがあるからな。レベッカ詩織について行って見張っててくれ」


「あれは私一人でしたことじゃ……」

「分かりました。行きましょう詩織さん」

 レベッカは詩織の話を遮り連れて行った。


 詩織は信用ならない、特に今のあいつは目がやばかった。はぁー……あいつらにも金を渡さないと文句言われそうだったから渡したが、ぶっちゃけ後悔しかないな。

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