第2話
すげぇ美人だな、彼氏いるのかな?
「そこのお姉さんビューティフルだね、綺麗な羽だね。その羽を使って空中エッチしない?」
気が狂っていた俺は柄にもないふざけ方をしてしまった。
「皆さんこれまでご苦労様でした。私は女神です。これからの皆さんについて説明しますね。まずあなた達は天国に行けません」
女神様は俺を無視して、話を切り出した。
性格わっる……、初めましての人間に『天国に行けません』って失礼にも程があるだろ。俺はそもそも悪いことしてないから関係ないのだが。
「当たり前だ、人殺しが天国に行けるわけない」
分かりきったことだ、人殺しが天国に行ける訳がない。詩織とはここでさよならだ。
「そんな嘘よ‼私は安全運転していました。この二人が私の車の前に飛び出して来たんです。だから私は無罪です。飛び出してきた二人が悪いんです。」
詩織は一生懸命に身振り手振りし女神に訴えた。
この野郎この期に及んで嘘ついて助かろうとしやがって。
「はぁー⁉何言ってんだ?嘘つくなよ。お前さっき居眠り運転してたって言ってただろ!」
「うるさいわね!私みたいな美人に引いてもらえたんだから感謝しなさいよ!」
「女神様騙されないで下さい。彼女はお酒で頭をおかしくなっているのです。」
絶対に俺達を殺したこいつを天国に行かせるものか地獄に行って魂浄化して輪廻転生してもらう。
「キャプチャー」
女神様がそう言うと、俺達三人は突如現れた縄に拘束された。そして体勢を崩した俺達は倒れた。
何だ……これは?魔法?女神の力?この力があれば好きなあのことも拘束プレイが出来るな。
「お静かに、南詩織さんだけが地獄に行くわけではありません。あなた達三人全員地獄行きです。」
「えぇー⁉」
俺達三人は女神様の言葉に驚きが隠せなかった。
詩織は分かるが何故俺達まで……?美人だと思っていたけどもう違う。
「東条屑さん、あなたは今まで数多くの人を自分勝手に利用してきましたよね。」
「あっ!」
俺はつい声が出てしまった。そして大量の心当たりが頭の中を巡った。
何故この女神がそんなことを知っているんだ。チクショウ!
「西宮和さん、あなたはギャンブル中毒者で数多くの人から返すつもりもなくお金を借り返す前に死にました。そのような行為は詐欺同然です。」
「あっ!」
和も思わず声が出ていた。
俺も金を貸していたけど返す気なかったのかこの野郎。
「南詩織さんは本日の事故のこともありますがお酒を飲み酔っぱらっては人に迷惑をかけたうえに酔っていない時は開き直って反省が見られないこと。また以前あなたが高校生の時に年下の女の子を誘拐しようとしたからです。」
「はっ!」
詩織も思わず声を出していた。
前々から危ないとは思っていたが高校生の時に誘拐しようとしてたのかよ。この腐れロリコンが。
「やばいなお前」
和は詩織のことを蔑むように言った。
「よって全員地獄送りですがあなた達の暮らしていた世界とは違う世界が魔王によって荒れているため地獄行きのどうなってもいい人間に地獄に行くか異世界で魔王を倒すか選べるようにしているのですよ。魔王を倒した際にはこれまでの罪は帳消しとなり天国へ行けますどうしますか?」
地獄行きの人間だけを送ったら危険だろ……、でも魔王を討伐したら確実にモテる。
「危ないのは嫌だけど魔王を討伐したら絶対にモテる、だから俺はいく」
俺は覚悟を決めて言った。
「屑が行くなら俺も行く」
和も覚悟を決めたようだ。
なんだこいつホモなのか?同性愛は構わないが俺は違うので止めて頂きたい、転生したら和から逃げよう。
「地獄は嫌だし私も行くわ」
詩織も覚悟を決めた。
「分かりました言語などは自然と理解できるようになっているのでご安心くださいではご武運を」
俺達の足元に魔法陣が現れ俺達三人を光で包み眩しくて前が見えなくなった光が消えた時俺達は異世界に来ていた。
異世界は中世のヨーロッパのような街中まさに異世界。
「へーすごいわねーまさに中世って感じね」
「おい、お前忘れてないぞ」
俺の発言で詩織の額に多量の汗が流れる。
こいつこのままいけるかなあ~とか思ってたのか?許せねえ。
「すいませんでした」
か細い声で言った。
「あーん?今なんて?聞こえなかったんだけどぉー?声小さいよ、君のお胸みた……グホッ」
俺は言葉を言い切る前に殴られ、体が宙を舞った。
こいつ俺のこと殺したくせに殴ってきやがって、理不尽だ殴り返したいが力の勝負でこいつに勝てる訳がないから無理だ。いつか絶対復讐してやる。
「屑はバカだな~、詩織は胸だけじゃなくて器まで小さ……ゴハッ」
和も言い切る前に殴られ体が宙を舞った。
誰がバカだよ、このバカ!
「屑どうする?置いて行くか?」
「当然だ。人を殺した上に自分だけは助かろうとしてたんだからな」
俺は冷たくそう言った。
当然だ、俺達を殺し自分だけ助かろうとしてちょっと悪口言ったら殴ってきた。自己中にも程がある。
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