親友と雑談
「来たぞ!」
「はぁ?!」
陸がベットの上でゴロゴロソシャゲを進めていると、扉が勢いよく開きそこから太郎が入ってきた。
「連絡しろや!」
「いいじゃん、いいじゃん気にすんな」
「そうするけどさぁ....次から連絡しろよ?」
「了解」
とりあえず陸は下から大容量のポテチの袋と麦茶を持ってきて、一緒に食べ始める。
「んで、なんできたの」
「舞様の誕生日プレゼント考えるのお手伝いしろください」
「アクセサリー」
陸のその一言に太郎は真顔になって反論する。
「むりだよ?」
「なんでさ?」
「あのさ?中学校からの中だとしてもさ?アクセサリーあげるのは恥ずいじゃん?」
「お前、変なとこでピュアだよな」
「最初の頃思い出せよ」
陸の会心の一撃の言葉に太郎はたじろぎながらも、最初であった事を思い出させる。
「最初?」
実は太郎、中学1年の時は肩に髪がかかるぐらい伸ばしており、なんなら少し太っていたため、今の体育会系のような見た目ではなかったのだ。しかも当時は何となくで伊達メガネをかけていた厨二病だったため、さらにオタク具合に拍車がかかっていた。
「オタクだな」
「だろぉ?」
彼が今のような見た目になったのは中学三年生の頃、流石に親が(主に母が)筋肉つけないと、我が道場の信用に関わるという理由で、父とその弟子たちと死ぬ程鍛錬したりしたためであり、本人はそれが軽いトラウマのため今でも太らないよう健康に気を使っているのだ。
ちなみに髪の毛は鍛錬中暑いと感じ坊主にしたのがきっかけで、常に坊主になっている。伊達メガネは今の体型だと似合わないためやめたという。
「うん....オタクだった」
「だからさ?今回の誕生日プレゼント何上げりゃいいのかわかんねんだよ!そもそも、今回上げようとしてる理由自体、これからもよろしくって理由だしさ!」
「うーん....ハリセンでええやろ」
その言葉に太郎は黙り込み少し考えるとハッとした顔で言った。
「採用」
「やったぜ!」
「よし、ネットでポチるか」
「頑張」
太郎はポテチを食べながら陸に聞く。
「そういや、お前本当に舞のこと好きじゃねえのかよ?」
「またその話か?まぁ、気になってないと言ったら嘘になるが...
そもそも友達としてしか見てなかったからなぁ...よくわがんね」
「ほーん」
その煽ってるような顔に陸は「なら逆にお前は気になってるやつ居るんだな?」と聞く。
すると太郎は少しモジモジして、スマホの画面を見せる。
「この子」
「....」
画面の前には美しい黒い髪、吸い込まれるような黒い瞳、そして雪のような白い肌の女子の写真があった。
2次元の。
「お前の推しじゃねえか!」
「わたしゃこの事結婚すんじゃ文句あんのか?」
「ないけど、実際はそのゲーム内の主人公に取られてるぞ」
「夢みさせてくれよ!」
「はいはい、すいません」
陸は謝りながら太郎の前にポテチを出しとりあえず食べさせると、太郎に聞く。
「そういや、太郎、何で俺と舞をくっ付けようとうするんだ?」
「お似合いだから?」
「ふーん」
実は内心めっちゃ焦ってた太郎は平然を装い回答でき、しかも気づいてないようだったため、安心する。
流石に、「舞がお前のこと好きだから」と言い、陸が舞を意識させることは可能なのだが。
舞はそれを望んでなく、自分の力で落としたい、と考えている事も知ってるし、そもそも、舞のツンデレと陸の鈍感が合わさったラブコメが面白いからまだ見てたいという願望もあるのだ。
「そういや、俺は終わったけど、そっちは課題どうなん?」
「写真部の課題クソめんどい」
太郎の表情とその言葉から、陸は部活入らなくて良かったと安堵しながら、哀れみからか、残りのポテチを全て渡すのだった。
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