常世の不思議クラブ
速水静香
第1話
私は、桃井 アヤ(ももい あや)。
学校の教室にある自分の席に座ってるの。
私は、頬杖をついて窓の外を見てた。
快晴だ。これ以上なく。
何も問題なし!
そんな私は、中学一年生。
両親の仕事の都合で私は、小学校を卒業するタイミングで、この常世町に引っ越してきた。
小学校時代の友達と会えなくなるのは寂しいけれど、新しい街で中学校へ進学した私にはすべてが新鮮だ。
まず、制服!
小学生の時とは違って、学校の制服を着なければいけない。
白と黒のセーラー服だ。
なんか、お姉ちゃんになった気分。
初めて着るときに、ちょっと戸惑ったのはちょっとした秘密だ。
窓の外を見ながら、私は、最近のことを思い出してた。
「アヤ?何見てるの?」
私の席の前には、ユウカがいた。
いま私と話している、明るい雰囲気な子は、霧島 ユウカ(きりしま ゆうか)。
ユウカは、この中学校に進級して初めてできた友達だ。
ユウカは、私の目線の先が気になったのか、聞いてきた。
「ああ、ごめん。ちょっとぼーっとしてた」
私は慌てて答えた。
「ふーん。なんか恋煩いに見えた!」
ユウカは、いたずらっぽく笑ってそう言った。
「恋煩い?」
私は、ユウカのその発言に少し驚いた。
「そう!アヤが窓の外を見て『はぁ』ってため息をついてるんだもん」
ユウカは、私の反応が面白かったのか、さらに笑った。
「恋煩いなんて……私たち、まだ中学生になって1か月も経ってないよぅ。」
私は、笑いながらもそう答えた。
「じゃあ、友達が少ないとか?」
「私には、ユウカがいるからいいの。」
私は、ユウカに笑ってそう返した。
「うーん、それなら……。勉強が分からないとか?」
「それはあるかなー。」
私は、初めての数学の授業で、全く分からなかったのを思い出した。
「あ!じゃあ、勉強教えてよ!」
ユウカは、またいたずらっぽく笑ってそう言った。
「……うん!いいよ!」
私は笑顔でそう返した。
そのとき、予鈴のチャイムが鳴った。
もうすぐ授業が始まってしまう。
「じゃあ、今日の放課後ね!」
ユウカはそう私に言った。
自分の席へと戻っていく。
「わかったー」
私も笑顔でそう返したのだった。
そして、放課後。
私は、ユウカと学校の図書室にいた。
数学の教科書とノートが私たちの前に広がっている。
数学の宿題だ、見ると嫌になっちゃう。
でも、今の私にはユウカがいるのだ。
「ここは、こうやって解くんだよー」
私の隣に座っているユウカは、今日やった数学の問題を教えてくれる。
「え???」
問題が解けない。
「……ここはね?こうして……」
ユウカは、私のノートにヒントを書いてくれる。
「あ!できた!」
私は、なんとか問題を解くことができた。
「解けたね!」
ユウカは、笑ってそう答えた。
その後も勉強を教えてもらった結果……。
私は無事に数学の宿題は終わったのだ。
「ありがとう!ユウカ」
私は、笑顔でそう答えた。
「どういたしまして」
ユウカも笑ってそう返してくれた。
私たちは、学校を後にした。
校門を出たころには、太陽が傾いていた。
夕暮れだ。
「ユウカ、ありがとう!おかげで宿題ができたよ!」
私は笑顔いっぱいでユウカにそう言った。
「これで、アヤの悩み事は解決かな!」
ユウカはそう笑って答えてくれた。
私とユウカの家は、同じ住宅地にあった。
住宅地の広い道には、新しい家々が見える。
夕暮れの住宅地は、私たちと同じような学校帰りの生徒が見える。
住宅地をしばらく歩くと、ユウカと別れる場所が見えた。
「じゃあ、また明日ね!」
私は、ユウカにそう言った。
「うん!バイバイ!」
そして、私とユウカは別れた。
私はユウカと別れた後、自分の家についた。
私の新しい家は、二階建ての一軒家だ。
白い壁や広い窓が特徴の、まだ建ったばかりのような家。
私たちが引っ越してきて1か月もたっていないもあるけれど。
外から見るたびに私の家は、綺麗でとっても素敵でいい住まいだ。
それにこの家へ引っ越してきて、私は初めて自分の部屋を持てた。
私の部屋は二階にあった。
「ただいまー」
私は、そう言って玄関の扉を開けた。
「おかえりー!」
家の中から、お母さんの声が聞こえた。
私は、そのままリビングへいく
リビングに入ると、おいしそうな匂いがした。
この新しい家のリビングからは、キッチンが見える。
ダイニングキッチン。
お母さんは、綺麗なキッチンで料理をしている。
「今日の晩御飯は何かなー」
私は鼻をくんくんとさせながら、匂いを嗅いだ。
「今日はね?グラタンよ!」
お母さんは、そう答えた。
お母さんは、キッチンにあるオーブンレンジの前まで行って、中から熱々なグラタンを取り出していた。
「おいしそう!」
私は、笑顔でそう言った。
「じゃあ、手を洗ってからね。着替えはアヤの部屋に置いてあるわ。」
「はーい!」
私は、洗面所で手を洗った。うがいも忘れない。
そして、2階の自分の部屋へいった。
部屋には、上下ともピンクの普段着が置いてあった。
いつも私が着ているもの。
自分の部屋にあるハンガーに制服をかける。
服を着替えた。
着替え終わると、私はさっさとリビングへ戻った。
こういう時に、2階の部屋というのは少し面倒だ。
だけど、自分の部屋の魅力には勝てない。
私は、階段を降り終わった。
そして1階の廊下からリビングへ入った。
リビングを見る。
テーブルには、グラタンが載っているお皿とフォーク、スプーンがある。
もう全部準備してあるみたいだ。
「お母さん、着替えましたー。」
私は、リビングについたので、キッチンにいるお母さんにそういった。
「じゃあ、座って先に食べてなさい。」
「はーい!」
私は、お母さんに返事をした。
まだ家に、お父さんは戻ってきていないようだ。
今日はいつ家に帰ってくるんだろう、と思った。
私は、テーブルのイスに座った。
「いただきます」
私は、グラタンを食べ始める。
熱々のホワイトソースとマカロニがおいしい!
「どう?おいしい?」
お母さんは、そう聞いてきた。
「うん!」
私は笑顔でそう答える。
「よかったわ」
お母さんも笑顔になった。
黙々と私がグラタンを食べていく。
しばらく、私がグラタンを食べていると、玄関のドアが開く音がした。
「ただいまー」
お父さんの声だ。私は食べるのをいったんやめた。
「おかえりー」
「おかえりなさい」
私とお母さんが同時に答える。
しばらくして、お父さんがリビングに入ってきた。
「おっ!美味しそうだ。」
お父さんは、そう言いながら私のグラタンを見ていた。
「うん。美味しい。」
私はそれだけ言って、グラタンを食べる。
そんな私を見たあと、お父さんはリビングでキョロキョロとしてた。
そうしていると、お母さんが、キッチンからリビングに来た。
手には、グラタンの入ったお皿をもっていた。
「お父さん、夕食にしてね。」
そう言いながら、お母さんはグラタンをテーブルの上に置いた。
このグラタンは、お父さんの分ということかな。
「分かった。」
お父さんは、そう言ってテーブルの席についた。
「いただきます」
お父さんがフォークを手に取る。
私とお父さんがグラタンを食べていると、お母さんもテーブルに、自分のグラタンを並べた。
お母さんも席に座った。
「いただきます。」
お母さんもグラタンを食べ始めた。
それから3人でグラタンを食べた。
「お母さん、このグラタンにはカボチャが入ってるんだね。」
「ええ、そうよ。これでアヤでも野菜が食べられるでしょう。」
お父さんとお母さんは、私が野菜を食べないと話している。
「ちがーう。」
私は少し不満そうに言った。
「え?野菜、食べてるの?」
お父さんが驚いた顔で聞いてきた。
「うん!最近は頑張って食べてるもん。」
私は胸を張って答えた。
「そう?じゃあ、こんどサラダを作ろうかしら。」
お母さんは、そんなことを言った。
だけど、今の私は中学生だ。
あんまり食べたくないけど、しょうがないよね。
「うーん、分かった。だって、私も中学生になったんだから。」
私は、そう答えた。
言ってて、ちょっとだけ後悔したけど。
「そうか、アヤも成長したんだな。」
お父さんが優しく笑いかけてくれた。
「うん!」
私はそういった。
「アヤ、学校はどうだった?」
お父さんが私に尋ねる。
疲れた顔をしているけど、優しい雰囲気だ。
「今日は、図書室でユウカと一緒に勉強もしたの」
私は嬉しそうに答えた。
「ユウカちゃんね。良い友達ができて良かったわね」
お母さんが台所から顔を覗かせて言う。
「新しい環境に慣れるのは大変だからね」
お父さんが頷きながら言った。
「お父さんも、仕事は大変?」
私が尋ねる。お父さんは少し考えてから答えた。
「まあね。でも、アヤとお母さんの顔を見ると元気が出るよ」
「えへへ」
私は笑った。
しばらくして、グラタンも食べ終わった。
3人でまた手を洗って、リビングに戻ってきて座った。
少しゆっくりして、3人そろって「ごちそうさま」をしたのだった。
夕食が終わり、風呂に入った後。
私は自分の部屋に戻った。
宿題は既に終わっているので、明日の準備をする。
部屋の電気を消して、私はベッドに横たわり、天井を見上げる。
今日、ユウカと一緒に勉強をしたことを思い出していた。
「ユウカって、本当に優しいな」
私はつぶやいた。
新しい学校で友達ができるか不安だったけど、ユウカのおかげで楽しい毎日を過ごせている。
今日は、数学の宿題も教えてもらえたし。
「ユウカにお礼を言わなきゃ」
そう思った私は部屋が暗いまま、手を動かして枕元を確認する。
中学生になってから、お父さんに買ってもらったスマートフォンだ。
学校には持っていけないけど。
買ってきてもらってから、よく使っている。
私は、枕元にあったスマホを手にした。
スマホの画面に触れると、明るい。
暗い部屋を照らすくらいに。
私は、メッセージアプリを開いた。
「今日はありがとう!おかげで宿題ができたよ〜」
ユウカにメッセージを送る。
すぐに返事が来た。
「どういたしまして!私も勉強になったよ。またやろうね!」
私は笑顔になった。
メッセージのやり取りを終え、スマートフォンを枕元に置いた。
窓の外を見ると、月明かりが部屋に差し込んでいる。
「明日も晴れるかな」
そんなことを考える。
私は、今度こそ寝ることにした。
「よーし、明日も頑張ろう!」
私は小さく自分に言い聞かせた。
そして、ゆっくりと目を閉じた。
いつの間にか、私は柔らかな眠りに落ちていったのだった。
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