ちょっと才能があるだけの一般的な青年の話
クロックス(Qroxx_)
第1話
人間というのはひどく単純で、美味しい食事で幸せになるし、体を動かせば心はスッキリするし、出来ないことが出来ると高揚感に包まれる。そういう意味で人はみんな同じなのだ。
……というのが、僕が十六年の人生で立てた、とりあえずの結論だ。
――期末テストで、こんな問題が出題された。
「とある映画に『世の中には二種類の人間がいる』というセリフがあります。これについてあなたは、人間をどのような基準で二分しようと考えますか」
僕はこの言葉を聞いた時、真っ先に「才能」だと思った。才能の有無……ということではない。多かれ少なかれ誰もが才能を持って生まれるものだ――本当に才能がない平均的な人間がいるのなら、それは真の規範として重宝されるだろう。
僕が言いたいのは、その才能が偽物か本物か……ということだ。つまり世の中には本物の才能を持つ人がいて、偽物の才能を持つ人がいるという話だ。
ほとんどの人は自分の才能に無自覚だ。自分の才能を掘り起こさずに、他者の才能ばかり掘り下げようとする。
言わずもがな、それも才能の一つだ。実際、人はそうして、自分の才能を見つけてもらう。お互いがお互いの才能を見つけるのだ。闇雲になって探すのでなく、明かりを灯して探す……というやり方が現在のメジャーだ。
果たして、それは才能なのだろうか。キラキラと輝く宝石みたいな才能には、懐疑的にならざるを得ない。才能というのはもっと、バカで、荒唐無稽で、非効率で、気持ち悪いものなはずだ。そしてそういう才能は……
――ここでチャイムが鳴った。
ちょっと才能があるだけの一般的な青年の話 クロックス(Qroxx_) @gacheau_tocolat
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