第37話 守るべき存在
꧁————前話あらすじ————꧂
微妙な関係になってしまった二人。解決の糸口として大きな誘拐案件をゲットしたルカは早速ルナに救出を提案すると、そこには身寄りが無くなってしまったエルフの少女・ノエルが。
心のケアが必要なノエルを甲斐甲斐しく世話する二人。次第に顔の剣が取れて来るも、翌朝には姿が見当たらず……慌てて探し始めた二人だった。
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<本文>
庭に出ると、そこには―――――
てんとう虫を手にしてご機嫌な様子の女児妖精の姿が。 ノエルだ。
遂に垣間見た笑顔。
その三つ編みツインテールは小悪魔風の角のよう。更に肩上で膨らむ二つ結びの髪とつぶらな瞳の超キュートなルックスに可愛いもん好きルナの瞳が耀く。
「あ~、いいもの見つけたねっ」
得意気に、『てんとうむしだよ!』 と小さな手のひらにのせて見せてくる。
[ ▼挿絵 ]
https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16818093083746506550
「ホントだ! あ、これ知ってる? ななほしてんとう。幸運を運んでくるんだよ」
「こ―うん? ウンコのこと?」
「ククッ、ち・が・う! しあわせで~、とぉってもいい事だよ!」
「ヤッター!……でも……ねーね、いなくなっちゃった……」
曇らせた瞳。その辛さを誰よりも知るルナが思わず口を開き、
「ノエルちゃん……ボクもね、お兄ちゃんがボクを守ったせいで死んじゃったの……」
「にーにが?……かわいそう……」
「うん。だからこれからはボクがノエルちゃんのお姉さんになるよ」
指を
満面の笑みでヒョイとダッコするルナ。
[ ▼挿絵 ]
https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16818093075897569557
「うん! ボク、ルナ。こっちはルカだよ」
「ルナ……ルカ……ねえね。……ねえね……しゅき」
ボクもノエルちゃん大好きだよ、と頬ずりするルナ。『ニシッ』 っと笑顔のノエル。
「ちょっ!……ルナッ! この子のステータス見てっ!!」
「ん……え……えええっっ?! うそ~っ!……ま、魔力50万~~~っっ?!?!」
「ね、ねえ、ノエルちゃん、何か魔法出来る?」
「ううん、まだ。 まほうきょういくは5さいから。 ぜ―んぶねーねがやってくれてたの。ほかはだれもしらないの」
身寄りも無く訓練もされず。少し危険を感じ、だれかいい教師は?とルナに問うルカ。
「う~ん……レイメイさん達は戦士だから幼児教育にはね……ね、ノエルちゃん、ちょっと何が出来るかやってみよっか。あのおっきい石をさ、火とか水とかで攻撃~! とか」
「のえる、こーげきキラ~イ」
「う~、じゃあ、何か魔法で呼び出せるかな……何か好きな物を考えて取り出して見てよ!」
「ちょうちょ、てんとうむし とりさん、うさぎ、おはな、ふうせん、おかし、ゆき! うみ! おひさま、くだもの、ドレス、しゃぼんだま――っ、にしししし」
「う~んなごむ~! って何も出て来ないね、クスッ。ステータス50万で期待しちゃったけどそれは良くないよね。ただもし連れて歩くなら防御魔法とか訓練しとかないとね」
「うーん魔法か……ボクも詠唱とかマスターすればもっと良くなるかな……今は魔力ワイヤー以外はイマイチのしか出せないし……あーっ、早く強く成らないとーっ」
セイカ救出への強い焦りでみるみる曇る表情。ルカは気を逸らそうと話題を変える。
「ねえ、ところでそのポシェット、とっても可愛いね」
「ママがまほうでつくったの。のえるあかちゃんのときしんだの。ママはてんさいっていうようせいなの。ねーねがいってた」
「う~ん……魔法の天才だったのかもね」
「なかのものわけてあげる。はい、おかしどーぞ。はいフルーツ。はい、のみもの はい、むしさん、おにんぎょうさん、おはないっぱい、それと~、うさぎさんと……とりさんっ」
ピョンピョン、パタパタパタ……生きた兎が元気に跳ね、鳥は空へと消えて行く。
「って手品師かっ!!……一体何がどんだけ入っているの?!」
[ ▼挿絵 ]
https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16818093083746512111
「あのね、このなかはこのせかいとおなじひろさってねーねがいってた。あんぜんだからなにかあったらこのなかにかくれなさい、っていってたの」
「ホ~、異空間と繋がってるみたいだね……ねぇ、この中へ一緒に探検していいかな?」
「うん。いこ。『ちいさいのえる』がいるんだよ」
その小ぶりなポシェットへ手を入れると、先からギュンッと縮んでヒュルン! と中へ。
確かにどこ迄も広い天国的な自然の森、明るいレモンイエローと淡いピンクの空が広がる。
「あ~、なにこの子達! メッチャかわいい~っ! 1/5サイズのミニノエルじゃん! しかも羽根生えてて一杯とんでる~! 正に妖精! あ、頭にリングの天使風もいる!」
[ ▼挿絵 ]
https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16817330661082009695
「こののえるたちが、ほしいものをいつもでぐちまではこんでくれるの」
「へ~、あっ、何この大きな立て鏡! 大きく見えるのと小さく見えるのとあるけど」
ノエルは得意げに「こうやるんだよ~」と小さい鏡に吸い込まれるように入って行くと裏面側からふた回り程小さくなって現れた。
「面白~い!、小さいとお人形さんみたいでさらにカワイイ!」
どう? フッフッフッ……と、大きくなる鏡を2回通って倍程の身長に大型化したルナ。
「でかっ、ナニこのルナ、デカ過ぎてカワイくない~~! 戻りなさい!」
「クス、あ、なんか消防のホースみたいなのが何本もあるね。何に使うのかな?」
「かわとかうみのみずとか~、ゆきとかしゃぼんだま~……いくらでもだせるんだよ~!」
「それはスゴい!」
「あとウンチも――っ!」
「アハハハ~……(汗)、 なんでそんなのが……」
「あ、デッカい女王バチみたいのがいる!」
魔法カプセルを生み続ける女王バチ。その傍らには数万の未使用魔法カプセルが山積みになっている。
見回すと、たくさん転がっている魔法の杖や剣、そして不思議な笛、奇妙な木々やフルーツ、遊具、森の中には様々な建物、風景と違った景色を映す池……
[ ▼挿絵 ]
https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16818093083746516627
「何か不思議の国のテーマパークみたい! こんどゆっくり冒険に来たいね、ルナ」
『だね~』
と、そう言いながら少し嬉しそうに天を仰ぐルナ。
心の中で〈お兄ちゃん、また守るべき存在が増えたよ〉と報告したのだった。
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イメージBGM (youtube)
▼ Worlds of Wonder
https://youtu.be/h0_j30s8hvE
(てんとう虫~ポシェットの中の世界までの不思議ワンダ―ランド感にピッタリな曲)
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