どうやらエロゲーの悪役に転生していたようなので、ヒロインたちの幸せのために原作再現頑張ります。
梨の全て
プロローグ
う、ううん。く、暗い。真っ暗で何も見えない。ああ、あっちの方に光を感じる。あっちに行かなくちゃ。
「おぎゃー、おぎゃー」
おお、やけに元気な赤ちゃんの声が聞こえるな。うんうん、元気なのは何よりだ。あっと、そんなことを気にしている暇はないんだった。早く家に帰らないと。
「おぎゃー、おぎゃー」
うん、なんだか声が近くないか? それにのども痛くなってきた気がする。いや、気にしちゃだめだ。兄貴の部屋から持ってきたエロゲーを開いたままなんだから。くっそ、やっぱコンビニに行って帰るだけだからって言ってもつけっぱなしにしたのはミスだったか。
「おぎゃー、おぎゃー」
にしても全然泣き止まないなこの赤ちゃん。って待てよ、これ私だ。私が泣いているのか? どういうことだ? 混乱していると、ふっと体が浮き上がるのを感じる。うわっ、何か顔に押し付けられた。全然身じろぎができず抵抗できないままでいると、全身が何かに拭かれ、そのまま体に布が巻かれる。
さっきから上手く開かない瞼をなんとかこじ開けると、目の前にきれいな女の人がいた。その人は脂汗が浮かぶほどに疲れているのに、どこか満足気で、とても優し気な表情をしていた。
「縺ゅ≠縲∫ァ√?蜿ッ諢帙>繝ォ繧、繧ケ」
えっ、何て? 何言ってるか全然分からなかった。とにかく日本語ではないことは分かった。ただそれでも、その女の人の腕に抱かれた途端、得も言われぬ安心感に包まれる。抱き抱えられながら頭を優しく撫でられていると、だんだん瞼が降りてくる。
どうしてこんなことになっているのか? 今はどういう状況なのか? いろいろ考えなきゃいけないことはあるのに、私は耐えきれずに眠りについた。
気持ちの悪い感覚がして目が覚める。お腹が空いた。ただそれだけなのに、泣きたい気持ちが抑えられない。いやいや待て待て、私はもうそんな年じゃない。あれそうだよね? まあとにかく頑張って耐えようとしてみたが、ついぞ耐えきれずとうとう泣き出してしまった。何かに負けた気がして辛い。すると、誰かが近づいてくる音が聞こえる。うっすらと見える世界にあの時と同じ女性の姿が見えた。
「繧医@繧医@縲∽サ翫♀縺」縺ア縺?≠縺偵∪縺吶°繧峨??」
相変わらず何を言っているか分からないのに、なぜか恐怖を覚えることができない。そのまま大きな手が近づいてきて、そのまま抱えられる。移動の際に揺らされて、気持ちの悪さでいっぱいになる。ようやく揺れが終わったかと思うと、目の前におっぱいが出される。
うわあ、私よりめちゃくちゃ大きいじゃん。その大きさにどこか感動していると、私の顔がどんどんそれに近づけられる。ん? これにしゃぶりつけと? いやいやそれはハードルが高くない? だって、私、華のJKよ? そうだ、私JKだったんだy、ぶ。
そんなことを考えていると、痺れを切らしたのか私の意思に関係なく、おっぱいが口の中に入ってくる。反射的にそれをしゃぶってしまう。その瞬間甘い液体が口の中に広がった。美味しい。一度口をつけると止まらず、一心不乱にかぶりつきそれを飲む。母乳ってこんなにおいしかったんだ。どのくらい経っただろうか、お腹いっぱいになったので、飲むのをやめる。それを感じ取ってくれたのかおっぱいが口から離れる。おなか一杯になったら今度はまた眠くなり、何か言っているのが聞こえたがそのまま眠ってしまった。
~~~~
それから、一年が経った。いや、一年かどうかは分かんないけどそこはあれだ、ノリと言うやつだ。だからいい加減認めることにしよう。私は転生したのだと。
どうして死んじゃったのだろうか? まだまだやりたいこともあったのに。お父さん、お母さん、こんな親不孝な娘でごめんなさい。それと兄貴も、勝手に漫画やゲームを取ってごめんな。でも、エロいのばっかだったからまあいいよね。
この一年、まあ私が勝手に思っているだけだけど、で心の整理もついた。起きてしまったことは仕方ない。人生なるようにしかならない。今やこの赤ちゃん生活に慣れ切った私が言うんだから間違いない。死んだときのことは思い出せないけど、もうどうでもいい。これからはこの世界で楽しく生きるぞ~。まだ、起き上がれないので、寝っ転がったまま腕を上げるのは滑稽な気もしたけど、気にせずいこう。
それにしても、あの女の人やちょくちょく会いにくる男の人とか、状況的に私のお母さんとお父さんなんだろうけどどこかで見たことあるんだよな。どこだったっけなあ。まあいいか。とにかくこの世界で頑張って生きるぞ~。
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