ひきこもり令嬢なのに、氷の辺境伯の花嫁(※期間限定)に選ばれてしまった
もよりや/ビーズログ文庫
一章 ひきこもりの花嫁候補
1-1
「ひきこもりの
「うちのお嬢様もよ。遠い
「もちろん、だからこそ国王陛下がわざわざお相手探しをさせるために、今夜のパーティーを開いたんじゃない」
「だけど見つかるのかしら? 辺境伯様って、ほとんど王都にいらっしゃったことがないと聞いているけど。それに、まるで氷のように冷たい方なんですって」
「
美しい空色の
ここはフェザント王国の王宮の大広間に
ひとり、またひとりと今夜のパーティーに招かれた令嬢が
リリーベルは侍女としても
(なんだか、悪口ばかり聞こえてくる。
そんなことを考えながら、左右に束ねたふわふわの赤い
雑談に興じている侍女たちの主人は、大広間でこれから始まるパーティーに参加する令嬢、それに大事な
時折、主人に伝言や忘れ物を取りに行くよう命じられ、
侍女たちの
フェザント王国は、山と大河に囲まれている。
しかし
もっともそれは『いたらしい』というくらいに昔の話であって、近年はずっと
なぜなら国境をパトロールしている、スターリング辺境伯率いる
魔獣とは、
リリーベルは絵本でしか見たことがないのだが、
ても
はるか昔、建国の王フェザントは、幼いころ森で迷った際に助けてくれた魔獣と親しくなり、森林大火災が起こったときに、今度は自分が魔獣を救うべく森に向かい、
その際、幼獣の世話役を申し出た王弟が現在のスターリング家の先祖であり、代々使命を
だからなんとしてでも
けれど、辺境伯は事情が違う。魔獣たちはどうやら、血で
そのため世継ぎが生まれなければ、次の世代の国境を
そのため
(なんだかお気の毒だわ。だって結婚したくないのに、相手を選ばなきゃならないなんて。きっと本当はお
自分もパーティーなどの
現に今も侍女としてここに来ているだけで、落ち着かなくてそわそわしていた。
「……ですって。それに辺境伯は、魔獣を従えるお仕事でしょう」
「そうそう、それよね。魔獣なんて気味が悪いわ。鳥でもないのに、卵を産むのですって」
「まあ! そんなところへ行くなんて、絶対に嫌だわ。お屋敷も
(魔獣のいるお屋敷……どんな感じなのかしら)
リリーベルは初めて少しだけ、その話に興味を持った。
(絵本には、魔獣はとっても
うんうん、とリリーベルが
王宮の女官が顔を出し、きびきびした声で言う。
「フレイル
はい! と後方の椅子に座っていた侍女が立ち上がる。
「わかりました。でも、変更と言われても……」
急な命令にドアの前でおろおろしている侍女の様子を、見るともなく見ていたリリーベルだったが、ハッとする。
自分の
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