牡丹と獅子 双雄、幻異に遭う
翁まひろ/角川文庫 キャラクター文芸
*
その
兄の頭上にぽっと浮かんだかと思うと、半開きだった紅紫色の花弁を、一枚、また一枚と開いていった。
秘められていた黄色い
それを、
「どうかしたのかい、洛宝。急に黙りこんで」
不自然に会話を止めた洛宝に気づいて、兄が不思議そうな顔をする。
だが、洛宝はなにも答えられなかった。
まばたきすら忘れ、
ほんのいっとき、視線を泳がせてから、兄は困ったようにほほえんだ。
「そうか。私はもうすぐ死ぬのだね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます