部活の先輩が「さあ、すべてを白状しなさいっ?」と俺に催眠術をかけてくる!【ASMR】

中靍 水雲|なかつる もずく

ステップ1 催眠術にかかりなさい

(放課後。

 ひとり居残り、日直の仕事をしている)


(主人公がドアが、いきおいよくバアン! と開け、教室に入ってくる)


「ここにいたのね」


「あなた、最近ぜんぜん部活に来ないじゃない。わが、サイキックス部に!」


(ガタッとイスを引く音)

「前の席、失礼するわね……」


「なぜ、部活に来ないのか、説明してもらおうじゃない」


「わがサイキックス研究部は、このわたしと、一年後輩である、あなたのふたりだけなのよ」


「あなたが来てくれないと、部活が成り立たないわけ。わかってるっ?」


「何か、事情があるなら、わたしが納得できるように、説明して」


「わたしの……気のせい、ですって?」


「たまたま、いろいろあって、部活に行けなかった? 何それ、どういうこと?」


「一昨日は、校内で道に迷っていた下級生を助けていた?」


「昨日は、体育倉庫に住み着いていたヌートリアの里親探しで忙しかった?」


「部活に来る途中で、そんな冗談みたいなイベントが、ぽこぽこ起こるわけないでしょ!」


「そんなんで納得させられると思った?」


「このわたしがポッキリ折れるような内容のイイワケでも思いつかないかぎり、話はおわらないわよ!」


「ふうん。そうなのね。本当の事情を話さないつもりね。それじゃあ、こっちにも考えがあるわ」


「サイキックス部部長の、このわたしが、研究に研究を重ねてあみ出した『気持ちよーく白状できる催眠術』で、あなたの本音を聞き出してあげる」


「催眠術なんてできるのか、ですって? できるに決まってんでしょ」


「このわたしを、誰だと思ってんの? サイキックス部の部長よ?」


「子どものころから、超能力にあこがれ……じゃないっ。たしなんでいたんだからねっ?」


「ちょっと、何いきなりカバンから、スプーンを出してきてんのよ」


「はあっ? スプーン曲げを見せろって?」


「……とととと、とーぜんできるわよ。でも、やらないの! スプーンがもったいないでしょ! あなたの大事なスプーンなんだから、しまっときなさい!」


「……百均のだから、別にいい? いいから、しまっとけ! ばか!」


「……本当は、まだできないってだけ! いいい、いつかできるんだから!」


「でも、催眠術はガチよ。ガチ!」


「マジなのかって? 当たり前でしょ?」


「サイキックス部で、あなたは何を見てたのよ? わたしの超能力についての知識量は、知っているでしょう?」


「……うんうん。そうでしょう? わたしは、超能力のことなら、なーんでも知ってんの!」


「ふふん。あなたも、超能力についてのことなら、わたしに対してぜったいの信頼を置いているようね」


「だから当然、催眠術もお手の物。あなたは今から、わたしの催眠術にかかるのよ」


「んふふっ。最高の気分をプレゼントしてあげる」


「さあ。準備は……いいかしら?」

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