第724話 思い込むことも重要
「へぇ、そうやって作るのね?」
ゼウちゃんはドワンに色々な物の作り方を聞いていた。自分の星の参考にするつもりなのだろう。
「えー、ぶちょーだけで行っちゃうのー?」
「たまには皆と遊んでろ。海で泳いだりしても楽しいぞ。もっと南に送ってやるから。シルフィとキキララも泳いでおいで。水着を買ってあげるよ」
「え?」
「旅行で海水浴に来たみたいなもんだ。シルフィも今は日焼けもしないし暑いのも大丈夫だろ?」
「あっ、そうか。なら泳ぎに行こうかな?」
「行こっ行こっ」
「ぶちょー、私にも水着買ってくれんの?」
「いいよ。みんなはどうする?」
「いくーっ」×全員。
と言うとで皆で水着を買いにいく。エデンは観光客も増えているから問題なくお買い物。男共の水着まで買うのは腑に落ちないが、皆、お金を持ってないから仕方がない。
めぐみとゼウちゃんはワンピース、他はビキニタイプを選んだ。アーノルドは俺とアイナが二人で出掛けるのでふてくされて一人で魔物討伐に行くらしい。
シルフィードとキキララもビキニだが、ずり落ちて丸出しになってもしらんぞ。
「ラムザはどれにする?」
「いや、我はいつものが・・・」
とか言うけど、ワンピースタイプのと、こっそり虎柄のビキニを買っておいた。これは二人の時に着て貰おう。
背徳心を打ち破った魔神の中の魔王ゲイルが心の中で勝ち誇っていた。
皆を海水浴ができる砂浜に送ってから、チュール達とアイナを連れてディノスレイヤ領に。みな懐かしそうだ。
「じゃ、3日後にここに迎えに来るよ」
一人でギルドに行って誰も受けられないような高額クエストがあるか聞いてみる。
「オークの集落? そんなになるまで放置してたのか?」
「申し訳ございません・・・」
気付いた時には集落が出来ていたらしく、かなり強いのがいて手出しが出来ないようだ。村を襲いにくるオークを倒す対症療法でしのいでいるらしい。
「拐われた女とかはいるか?」
「いえ、村に冒険者を張りつかせていますので人的被害はまだ出てません。ただ、ほかの強い魔物も出現するらしくこのままでは・・・」
ここも人が増え、西へ西へと村が点在しはじめていた。
場所は元瘴気の森の近くだ。
「母さん、オークの集落討伐受けて来たよ」
「母さん? 私より歳上の息子を持った覚え無いわよ」
あ・・・・
「じゃあアイナ。行こうか」
「それでいいのよ。どうやって行くの?」
「面倒だから認識阻害して飛んでいくよ。かぁ・・アイナは飛べる?」
「無理だと思うわ。ゲイルが連れてってくれたらいいでしょ?」
ということで認識阻害をかけてアイナを・・・ これ、抱っこかおんぶしないと無理だよな?
しゃがんでおんぶしようとすると先に抱きつかれた。認識阻害してるのでモヤッとしかみえないけど感触が無くなる訳でもないし、匂いが消えるわけではない。
首に腕を回され抱きつかれているのが判る。俺の鼻はちょうどアイナのくびすじあたりだろう。
ヤバいっ
これはめちゃくちゃヤバい。自分の胸にも男のロマンが当たってる。元母親という記憶がなければこのまま・・・
惚れてまうやろっ!
ふぅ、ありがとうチャン。
君を想像して飛ぶことにしよう。
被害に合ってるという村の近くに降りて認識阻害を解除して徒歩で向かう。
「かぁ・・・、アイナ。腕組んで歩くのやめてくれない?」
どうしても腕に当たる男のロマンが気になるのだ。それにフワンと香る匂いが。
「あら、いいじゃない。この休みの期間は独り占め出来るのよ」
若いアイナは俺を見上げてふふっと笑う。
これはチャン、これはチャンの乳。
もう一度言おう。ありがとうチャン。
「おい、お前冒険者だろ? 交代のヤツがこんな女とイチャ付いて来るとかギルドはなにやってんだよっ」
俺も逆の立場だったらそう思う。遊び半分で来たクソ野郎だと。
「すまない、連れは俺と離れているときに怖い目にあってな、こうしてないと不安なんだ。勘弁してくれ。それと俺は交代ではなく、集落討伐を受けた者だ。詳細を教えてくれ」
村に到着すると10名ぐらいの冒険者らしき者が警戒していた。ここまで気付かずに集落を作らせてしまったという事で費用はギルド持ちだとさっきの冒険者が教えてくれた。王都ギルドの教訓が生かされてて嬉しい。これはエイブリックの功績だろう。荒療治がこれ程長く生かされてるのは素晴らしい。
(おいおい、Sランクって本当に居たのかよ)
(女とイチャ付きながら来るとかクソ野郎なんだな、S野郎)
おいっ、聞こえてんぞっ。
「一つ確認だ。お前らはこの仕事が無くなっても問題ないか?」
「どういうこった?」
「いや、今から行くからすぐに終わる、そうすればここの防衛にこんな人数不要だろ?」
「待てよ、今からなんて準備が整うわけないだろうがっ」
「いや、二人で行くからお前らの準備なんていらん。夕方までに戻らなければ失敗したと思ってくれ。本当に誰も捕まってなければ昼過ぎには戻る」
「は? ここからオークの集落まで半日は掛かるんだぞっ」
「俺は浮遊魔法を使えるからな。距離は問題ない」
もう飛べるのばらしておいた方が楽だなと思い、飛べる事を教えた。
ぽかんとする冒険者達を残してアイナを抱き上げて飛んで行くことに。抱き付かれるよりマシだ。
集落近くまで来るとオークが増え出した。
「ゲイル、狩るわよっ」
パッと俺から離れて飛び降りるアイナ。
あっ・・・
ドウッという音ともに土煙があがったと思ったら走り出してオークをトンファーで打ち砕いていく。俺いらないよね?
俺は下に降りてオーク拾い。証拠と肉の確保だ。これも売らないとな。今の俺は金稼ぎの為に働いているのだ。
アイナもそれをわかっているのか、確実に頭のみを打ち砕いていく。
「脆いわっ! 脆すぎるわあなた達っ」
キャーハッハッハッハと笑いながらオークを打ち砕く姿はまるでバーサーカーだな。あんた治癒士というか聖女だよね?
異変に気付いたオークが次々と出てくる。頭を打ち砕かれてから倒れるまでの間にオークに囲まれ出したアイナ。やられても死ぬ事はないが痛い目に合わせたくないなと思い剣で参戦。
首をスパスバ切って血抜きを兼ねる。
「ゲイル、強くなったわね。剣だけでもアーノルドといい勝負するんじゃない?」
「剣のみだったら無理だよ。オーク相手なら差は出ないだろうけどね」
「あら、アーノルドと勝負して私を奪うんじゃないの?」
「俺の才能は魔法だよ。剣は父さんやダンの方が上だっ」
父さんねぇ・・・ ふふっ。
オークの集落にはもちろん特変異種はおらず変異種だけだった。前情報通り捕まっている人もいないのでオークを拾いをした後に集落を燃やし尽くした。
「あーあ、血塗れだよ」
「そうね、でもスッキリしたわ」
俺はそう言って笑った返り血塗れのアイナを可愛いと思ってしまった。きっと俺は変態なのだろう。嫌だなこういう自分に気付くの・・・
クリーン魔法を掛けて村に戻る。オーク拾いに時間が掛かったので昼過ぎより遅かった。
「ダメだったのか?」
「いや終わったよ。オーク拾いに手間取ってな。この村で食うなら何頭かおいていくけど?」
貴重な食料だと言うので10頭ほど頭の潰れたオークに保存魔法を掛けて渡した。
「保存魔法を掛けたから、次にオークが出て来るまでもつと思うぞ」
解体は冒険者や村の人達に任せて、ギルドに報告しに行くことに。
アイナを抱き上げようとすると先に抱き付かれてしまった。
もう帰るだけだしいいかと思って心に抗うのをやめてぎゅっと抱き締めかえしてやった。真っ赤になってんじゃねぇ。
惚れてまうやろっ
ありがとうチャン。
助かったよ・・・
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