第713話 緊急会議
「ねぇ、ゼウちゃん、めぐみの匂いってどうやってたの?」
「どうかしたの?」
「焼き肉とか匂い変えてたじゃない? あれは本人が意識して変えられるの?」
「そうよ、姿を変えるのも匂いも魔法と同じ。強いイメージを持って変えるのよ。姿は魂に触った時にイメージを貰うけど、匂いはわからなかったのよね」
そうだよな。人の匂いって説明できんからな。やっぱりめぐみのは女体化した影響か。
「皆が俺の知ってる姿になってるのは俺の影響?」
「そうよ。カスが言ってたけど、本来は昇華した魂1つだけで私達と同じになるにはエネルギーが足りないらしいの。予想ではいくつも混じりあってやっと1つ生まれるはずだったみたいよ。そこにゲイルくん達のエネルギーが補填されたんだって。だからゲイルくんのイメージが色濃く出てるんじゃないかしら?」
なるほど予想通りだな。
「女体化とかどうやったか知ってる?」
「あんなことしたのめぐみだけだしね。色々調べてこっそりやったから。でもゲイルくんがちゃんとめぐみの事を受け入れてくれてよかったわ。毎日あんなに幸せそうなんだもの」
「こう神様同士で気に入った人がいたらその姿とかになれたりする」
「難しいわねぇ。魂にアクセスできないでしょ? だからその人の一番好みにとかは無理だと思うわよ」
「ありがとう、色々教えてくれて」
「何かあったのかしら?」
「いや皆は性別ないけど、ペアでいる人多いでしょ」
「そうね。初代ゲイルくんといた人達そのままね」
「うん、そのままなんだけどそのままじゃないんだよ」
俺の言う事はゼウちゃんは理解できないようだった。
ゼウちゃんは結構忙しい。俺が元いた世界は滅び、ここと同じパラメーターで再開したようだ。口には出さないがゼウちゃんはめぐみの世界が羨ましいみたいだ。ずっと発展してたのにここみたいに楽しくなかったのだ。今度こそ自分の星で楽しみたいみたいんだろうな。
何日か経って男会というのを開いた。たまには男だけで飲もうやというのが建前で、中身は皆の意思確認。このまま性別のない男型のままでいいのかということだ
「ゲイル、どういう意味だ?」
「父さん、この状態になってから母さんの匂いを嗅いだことある?」
「あっ、あるわけねぇだろっ」
「昔はよくスンスンしてたよね?」
「してねぇっ」
照れんなよ。俺は知ってるんだから。
「あのね、これは重要な話なんだよ。皆このままで良ければ別にいいんだけど」
「ぼっちゃん、このままでいいとは?」
「ダン、真面目に聞くね。ミケとした?」
真っ赤になるけど答えるダン。
「してねぇ。というかそういう気にもならねぇし、身体も生きてた時とちげぇからな」
「うん、皆の身体はエネルギー体であってこの姿は幻みたいなものなんだよ。だから性別がない。人と同じ姿になるのには、自分の気に入った魂の記憶や想いみたいな物を読んでその姿になるらしい。で、皆は俺からのエネルギーが流れたから俺のイメージ通りの姿になったみたいなんだ。ダンなら生まれ変わった記憶あるから分かるだろ? 皆俺と初めて会った時の姿なんだよ」
「しかしゲイルは俺達のこの若い姿を知らんだろ?」
「うん、父さん達の若い頃はもっと凄かっただろうな、見てみたかったなという俺の気持ちを汲み取ってその姿になってるんだと思う」
「なるほど。この姿はゲイルが望んだ姿なんだな?」
「多分。で、俺は別に皆がこのままでもいいんだけど、女性陣が問題なんだよね」
「どういう意味だ?」
「マリさんは実体化してると思う」
「は?」
「ゲゲゲ ゲイルっ、お前マリの身体を見たのかっ!」
「ジョン。そうじゃない。マリさんには昔通りの匂いがした。この匂いは生物だけが感じる匂いなんだよ。神になった人で匂いを感じるのはめぐみ、シルフィとマリさんだけ。多分、マリさんは俺に綺麗だねと言って欲しいからこうなったんだと思う」
「お、おまっ おまっそんな事をマリに」
「ジョンが思ってても言ってやらないからだろ? 特に歳いってからは全くだったんじゃないか? ここに来てからも言ってないだろ? だからだよ。このままだと性別のある俺に気持ちが流れるぞ」
自意識過剰かもしれんが、多分そうなる。今のジョンといても刺激が無いからな。気に入った魂に気に入られようとするようになるだろう。
「ダン、ミケもそうなるぞ。俺とミケは男女間のそういうものではないがこの先はどうなるかわからん。自分達も昔より自分の欲求に素直になったと思わないか?」
「た、確かに・・・」
「まだ人だった時の気持ちが強いから問題になってないけど、どんどん月日が流れたらこの先はどうなるか分からんよ。魂があるの俺だけだから。父さんも母さんが俺の方に来たらどうする?」
「おっ、おっ お前親子で何をっ」
「俺と父さん、エイブリックさんは好みが似てる。父さんもめぐみの事を可愛いと思うだろ?」
「あ、いや、まぁな」
「で、母さんと俺は血の繋がりがなくなった。母さんの若い時の姿を見て正直ドキッとしたよ。めっちゃ可愛いと思った。それに俺と母さんは笑いのツボとか一緒だからそのうち父さんといるより俺といる方が楽しいとなってもおかしくない。皆はそうなっても問題ないかな?」
「絶対に許さんっ」
「ゲイル、お前まさかサラも・・・」
「それはない。お互い全く興味が無いからな」
「それはそれでなんか腹が立つな」
とかぶつぶつ言うベント。
「と言うわけで皆を人化したいと思う」
「星に実体化していったらダメか?」
「多分実体化するだけで性別は無いままだと思うんだ」
「じゃどうすんだよ?」
「昔と同じような生活をしてみたらいいんじゃないかと思う」
「同じ?」
「おやっさんの星を発展させがてら皆で働こう。酒飲んで騒いだりするのも労働した後の方が旨いと思うんだよね。最近の話題も昔話ばっかだろ? 明日はあーしようこーしようとかの話もしたいよね」
「おー、ゲイル。ナイスアイデアだ。それやってる間にうちの魔物も育ってるかもしれんしな」
「おやっさん、エルフと獣人の魂も追加しておいて」
「まだ増やすのか?」
「皆で行くんだから全種族ないと変だろ?」
「ミケとシルフィードがいるからそうじゃの。わかった。適当に入れておくわい。あと魔物も必要なんじゃな?」
「素材取ったりするのにも必要だろ?」
と、いうことでドワンの星の準備が整い次第発展に向けて出発することに。
「えー、ぶちょー他の星にしばらくいっちゃうのー?」
「そーだよ」
「ラムザとシルフィードは?」
「シルフィは連れて行く。ラムザには相談してからだけど、問題ないならキキとララも連れていくつもり」
「私は置いていくの?」
「一緒に行きたい?」
「うんっ♪」
「ただあんまりかまってやれないかもしれんぞ。色々やらないとダメだから」
「ふーん」
これ、後でそんなの知らなーいとかいいそうだな。
「ラムザ、しばらく他の星で働くつもりなんだけど一緒に来るか? あまり一緒にいる時間ないかもしれんけど」
「もちろん行くぞ」
「ママだけずるーいっ」
「キキとララも一緒に行きたい?」
「行くっ!」
「じゃ親子で行こうか。ただし俺達は悪役だぞ」
ドワンの準備が整うまで、めぐみの星で品種改良した野菜や果物の種を大量に仕入れていく。ドワンの星で役に立つだろう。
他になにか持って行けるものあったかな? とエデンをうろうろしていながら考えごとをする。ミーシャとマリアどうしてるかな? と。
恐らくマリアだけでいってたら癇癪をおこしてたかもしれない。俺が甘やかし過ぎたせいでワガママなのだ。ミーシャの血をひいているから癒し能力もあり、ザックからは俺より自分をパパと思って欲しい思いで何かと世話を焼かれて育った。
結果、やってもらうのが当然。でも何かしてあげたいと思われる存在の貢がれ体質が形成された。キャバ嬢ならさぞ稼げるだろう。小悪魔みたい存在だ。
何も知らずにマリアの状況だけをみたら俺はくそ女だと思うかもしれない。が、可愛い義娘なのだ。ちょいと助けに行ってやらないとな。ラムザの星からだと他からのアクセスを閉じてある星でもゲートで行けるから連れて帰ってやるか。
「うわっ」
考え事をしていると落とし穴みたいな物に落ちた。ヤバッ・・・ いや、これ落とし穴じゃないっ!
油断していたゲイルは罠に落ちたのだった。
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