第422話 アーノルド達の本音
取りあえず全員でディノスレイヤに戻る事になった。コボルト達は置いてきたけど。
「ほほー、ここがアーノルド達の屋敷か。ゲイルの所より小さいの」
またこいつはいらんことを言う・・・
「全員が泊まるには部屋が足りないからミグルは馬小屋な」
「なんでワシが馬小屋なんじゃっ!」
「くそ好きなんだろ?馬小屋にはたくさんあるぞ」
「そんな訳あるかっ!」
なんかこいつには意地悪言いたくなるな。
「あ、あの私がバルに泊まります。」
「いいよそんな事をしなくても。俺とダンは小屋にいくから。急いで蒸留酒も作んないといけないしね」
そう、冬にエルフの国に行くなら今のうちに蒸留をやっておかないとダメなのだ。
「小屋とはなんじゃ?」
「遊び場兼仕事場兼稽古場ってところかな。王都の屋敷は貰い物だけど、そこは俺が作ったもの。だから正真正銘俺の屋敷だ。小さいけどな」
「なら、ワシもそこに行ってやろう。お前達はここに泊まるが良い」
「俺達も行くぞっ」
ジョンとアルも来るらしい
「なら、バルでご飯食べましょ。この時間からブリックに全員の食事をさせると遅くなるわ」
ということでぞろぞろとバルに行った。
「あっゲイル。またいっばい連れて来た・・・・・」
ふしゃーーーーっ!
ミグルを見るなりミケが毛を逆立てて威嚇する
「やめろっ!いきなり何やってんだ?」
「あ、あ、ごめんやで。なんか急にムカついて・・・」
「なんじゃ、獣人の娘がこんな所におるのか?奴隷にしては綺麗にしておるの」
ゴンッ
「奴隷と違うっ。ミケはここの従業員だ」
「そうや。ゲイルに拾てもろて働いてんねん。うちはゲイルと一緒に風呂に入って乳揉まれるような仲なんや。あんたみたいな背中乳なんか嫌いやと思うで」
「なんじゃとっ!この乳かっ!この乳がゲイルを誘惑したのかっ」
ミグルがミケの胸を鷲掴みにする。
「
シャッ
ミケがミグルの顔を引っ掻く。
「きっさまぁぁっ、よくもワシの美貌をぉぉぉ」
ゴスッ
ゴスッ
「やめんかっ!店先で何をやっとるんじゃっ」
ドワン激オコ。
「おい、ミケ、ミグルにムカつくのはこいつの資質のせいだ。わざとじゃない」
「そうなん?」
「あぁ、悪気は無い。だからあまり近寄るな。お前の天性の感受性は強く影響受けるんだろ。それに今日はこいつも客だからな。お前は嫌な客でもそんな態度取らんだろ?」
「そ、そやな。ごめんやで。なんか急にムカついてしもて」
「いや、ワシも悪かった」
「さっさと入れ。他の客に邪魔じゃ」
しかし驚いたな。ミケがいきなりあんな風になるとは。ミグルは小さい頃からいつもあんな風に周りからされて来たとすると、こんな口の利き方とか態度になるのは仕方がないな。防衛反応ってやつだろう。言われっぱなし、やられっばなしになってもそれはそれでムカつくとか理不尽な目に合うからな。
<スキル イラつかせ>は同性により強く働くのかもしれん。アイナもすぐミグルにぶち切れるからな。
ミーシャとシルフィードは平気そうなのはなぜなんだろうか?
スキル 鈍感 とか付いてないだろうな?
「ゲイルよ、スマンかったの」
「いや、ミケがいきなりあんな風になるとは思わなかったよ。あいつはここのナンバー1接客員でね。客受けがいいんだよ。初めはハーフ獣人って隠してたんだけど、ミケを気に入った客達がハーフ獣人って分かっても問題無かったしね」
「愛されキャラか。ワシとは大違いじゃの」
「まぁ、あんなスキル持ちなら仕方がないとは思うが、ミケも俺の事をイラつかせたりするぞ」
「ゲイルをイラつかせるのか?」
「あぁ、俺をわざとイラつかせて楽しみやがるんだ」
「イラつかせて楽しむ?なぜそんな事をするのじゃ?」
「あいつなりのコミュニケーションじゃないの?これくらいで俺が本気で怒らないと解ってるからな。仕返しはするけど」
「ゲイルが仕返ししたらどうなるのじゃ?」
「だいたいおやっさんとかに怒られて終わり。さっきみたいにな」
「ドワンはワシとアイナが喧嘩してても止めた事はなかったぞ」
「おやっさんは片方だけ怒ったりしないからな。ミグルだけにならともかく、母さんにゲンコツとか出来るわけないだろ。もし、ミグルだけに怒ってみろ、お前がより辛くなるだろ?だから知らん顔をしてたんだよ」
ゴスッ
「痛っ」
「坊主、いらんことを言うな」
「いや、ちゃんと説明してやらんとわかんないじゃん。小さい頃から訳もわからずムカつかれて来たなら、人の好意なんて気付かないって。ちゃんと皆言ってやれよ。ムカつくけど嫌いじゃないって」
「ワシの事が嫌いではない・・・?」
「あぁ、俺は父さん達がパーティーを組んでた時は知らないけど、最後までパーティーだったんだろ?嫌いなら途中で追い出してるって」
「本当か? アーノルド?」
「グリムナさんもジョンとアルのパーティーにミグルを組ませろって言ってたよ。あの二人にミグルを付けた方が良い、ミグルの力が感謝されるだろうからって」
「本当かグリムナ?」
「うるさいっ、ゲイル、余計な事を言うなっ」
「ゲイル、ワシは皆から嫌われてはおらんのか? それは本当か?」
「さっきのミケの反応を見て気付いた事がある。お前のスキルは同性により強く働く可能性が高い。あの優しい母さんがあれだけムキになって怒るのを見てもそうだろう」
少しアイナも持ち上げておこう。
「そ、そうじゃったのか・・・。確かに小さい頃から女どもの方がキツかった。それはてっきりワシの可愛さが憎くて・・・」
ベシッ
「な、なにするんじゃっ」
「そういう発言がムカつくんだ。可愛いとかは人が言うもんで自分が言うもんじゃないっ」
「だ、誰も言ってくれんではないかっ」
普通は親とかが小さい頃に言ってくれるからな。それも無かったし、スキルのせいで誰も言わないだろう。
「言って欲しければ自分を磨けっ」
「磨くとは・・・?」
「お待ちやで~。次々持ってくるからな」
俺がしゃべってる間にダンが注文してたようだ。
「あ、ゲイル、ほら見てみ?うちのしっぽ。磨きあげられて艶々や。それに加えてええ匂いしとるやろ?新作リンスに替えてんで」
確かに鼻先に又ペロンペロンしてくるしっぽから柑橘系の匂いがしてくる。しかしそのミケのドヤ顔にイラッとして噛んでやった。
フンギャーーーーーッ
「噛むとかそんなハードプレイすんなやっ!」
「あぁ、スマン。腹減ってたから飯と間違えた」
「間違えるかアホっ!」
「そうだ、ミケ、お前とチュールに後で話があるからと言っておいてくれ」
「なんやねん?」
「二人に一緒に話す」
「ほなら連れて来るわっ」
後で良いって言ってんのに走って行きやがった。まぁいいか。
話を戻そう。
「父さん達、ミグルにちゃんと言ってあげなよ。嫌いじゃないって」
「そうだな。ミグル、今まで悪かったな。お前の事が嫌いとかではない。ただお前とアイナが喧嘩すんのが嫌だっただけだ」
「ワシはイラッとしたら手が出るからの、だから必要な事以外しゃべらんかっただけじゃ」
「俺はなんとも思ってはいない。半分とはいえ同胞の血が入ってるしな」
「わ、私はあんたが余計な事を言わなければ別に良いわよ。お義母さんなんて呼ばせないけどね」
「お、お主ら・・・・」
またぐすぐす泣き出すミグル。
まぁ、こんなもんでいいだろ。
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