第329話 決着
「まぁしゃべらずに溺れ死んでもいいけどね。さて、後ろの衛兵で話したいやつはいるか?正直にしゃべると水が減っていくぞ」
「じ、自分は牢に入っている罪人を斬りました。団長の命令です」
正直に話した衛兵の水を少し減らしてやる
「し、知らんぞ」
「じ、自分は関係の無い者を連行したことがありますっ。団長の命令です」
「き、きっさまらぁ ごぼぼぼぼぼ」
「じ、自分も関係の無い者を連行した・・・ 団長の命令ですっ」
「念の為に聞いておくけどお前は?」
「じ、自分は不正を見ても何も出来ず・・・」
「わかった。それだけだな」
「はい」
「さ、フォール団長。どうする?このまま溺れ死ぬか?それとも正直にしゃべって罪を償うか?」
「あいつらが勝手にやった事だ。私は知らん。平民の衛兵の言う事と貴族の私の言うことのどちらが信用されるか試してみるがいい」
「だって、お前ら見捨てられたぞ。こいつの命令で悪いことやってた奴の名前を順番に言え。もうこいつに義理立する必要ないぞ」
「きさまら余計な事を言えばどうなるかわかっ こぼぼぼぼ」
「全てを隠さずに話せば命令されて仕方がなくやった衛兵の処分は軽くなるように進言してやる。こいつは貴族籍剥奪の上、鉱山奴隷か死罪だろうから気にするな」
「クソチビがっ!そんな訳があるかっ」
しぶといねコイツ。
「俺の護衛がここに連行されたのを知ってるのに助けに来ないとか変に思わないの?」
「どういう意味だ?」
「俺が連行される前に調査させてるんだよね。ゴーア商会とか」
サーッと血の気が引いていくフォール。
「その結果をある人に報告するように伝言を残して来たんだよ。もう一晩過ぎたろ?すでに証拠を掴んでお前の家とかに騎士団が踏み込んでる頃じゃないか?」
「そんなデタラメを・・・」
「さて、もうそろそろ騎士団がここに来るだろう。お前達が自白する前に到着したらフォールと道連れだな。見事な忠誠心だ。褒めてやる」
ゲイルがそう言うと、フォールに加担した者の名前と内容を素直に話し始めた。
「さて、フォール、これでもうお前の自供は必要が無くなったな。さようなら」
「ま、待て ごぼぼぼぼぼ」
ギリギリまで水を貯めて口を突き出してないと溺れるくらいにしてやる。タコの口でそのまま耐えろ。
3人の衛兵の話を記録し続ける衛兵。
「ぼっちゃん、無事か?」
そこへダンが入ってきた。
「早かったね」
「そいつが衛兵団長か?」
「そうだよ。そっちの衛兵達がしゃべった事を記録してくれてるから、調査内容と照らし合わせてね。仕方がなく命令にしたがった衛兵と進んでやった衛兵の処分は分けるように言っておいてくれる?」
「こいつは解除してやらねぇのか?」
「さぁ、改心したら解除されるんじゃない?上向いてたら死ぬことないし」
「前の奴ら解除されなかったじゃねーか」
「本気で改心しないと解除されないんだよ。こいつからは嫌な気配が無くならないからね。前の奴らからは嫌な気配消えてたよ」
「まぁ、そう言うことにして後は騎士団に任せるか」
「そうだね」
俺とダンは衛兵団の調査に来た騎士団に敬礼されながら衛兵団の建物を後にした。
「エイブリック様がこの後来いってよ」
「じゃあ一旦小熊亭に戻ってから行くよ。みんな心配してるだろうし」
衛兵団の建物を取り囲む騎士団を見た王都の人々は何事かと騒然となっていたのだった。
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