ぶちょー、今度の人事異動は異世界ですって
しゅーまつ
第1話プロローグ1
今年で55歳になる黒岩啓太。とある会社の部長職のおっさんだ。
3人いる息子の内、三男も今年就職し子育ての一区切りが付いたことでどこか肩の荷が下りた感がある。
「部長、決裁お願いします」
入社5年目の柴田が書類を持ってきた。こいつは言われたことしかしないが言われたことは完璧にこなす。
(もう少し積極性があれば昇進させてやれるのになぁ・・・)
去年、主任に昇進させたかったのだが、自身の能力アピール不足から人事の査定で弾かれてしまったのだ。優秀なだけにもったいない。
よし、今度のプロジェクトでリーダーを任せてみて、能力の高さをアピールしてもらうとするか。
「書類の内容も問題無いから決裁しておくよ。あー、これとは別件なのだが、近々新しいプロジェクトが立ち上がる予定をしていてね、そこのリーダーに君を推薦したいのだがどうかね?」
「申し訳ないですが、辞退させて頂きます」
はい?
「ど、どうしてかね?特別難しいプロジェクトでもないし、これが成功すれば昇進も可能だと思うのだが・・・」
「昇進とか興味ありませんし、自分のペースで仕事が出来たらそれでいいので」
「いやいや、昇進していけば給料も上がるし、プロジェクト成功にはボーナスに大きな加点も付くし」
「給料も今のままで満足してますので」
「まだ若いからそう思うかも知れんが、これから結婚して子供が出来たりしたらめちゃくちゃお金が必要になってくるから、今頑張っておかないと」
そう、子育てには想像以上にお金がかかるのだ。家賃にしろ住宅ローンにしろ子供が居なくても生活費はかかる。それに加えて毎月の塾代や学費とか給料がどれだけ増えようが湯水のように金が飛んで行くのだ。
「結婚する気もありませんし大丈夫です」
「いや、これからの人生を考えてだね・・・」
「申し訳ないですが部長世代の価値観を押し付けないで下さい」
・・・・・おぉぅ
「そ、そうか分かったよ。プロジェクトの件は再考しておく・・・」
はぁ、自分が間違ってるとは思わんが時代は変わったのかねぇ・・・
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