第24話
「彩花ちゃん久しぶりだね」
げっ、出た。
「お、お久しぶりです」
パーティーに行きたくない理由。それは、この人がいるから。
「見ない間にまた美しくなったね」
スカートを短くしたからか、下から上まで舐め回すように見てくる。
「ありがとうございます。あの、何か私に御用でも...」
湊さんの取引先の相手でもあるから、失礼のない
ようにしないといけない事は分かってるけど、相変わらず気持ち悪い。
「いやー、それがさ、」
いつもなら少し話したらすぐにどこかに行くのに、今日は何故かしつこい。
「どうしましたか、」
話がないならどこかに行って欲しいんだけど、
「暇そうだし、少し手伝ってくれない?」
暇…?
暇でもあなたと話す時間はありません。
というか、なんで私があなたのために何かをしてあげないといけないんですか。
「手伝い、ですか…?」
「そう。その…俺のペアの人がどこかに行ってしまって、はぐれてしまったんだ」
はぐれた?逃げたの間違いでは?
「それは…大変ですね」
「それで、一緒に探して欲しくてね」
私が、何で?
パーティー運営のスタッフの方にお願いして探してもらえば良くない?
それに、
「ごめんなさい。ここで待つように言われて
て…」
「そうか、ならしょうがないね。だけど、どうしようかな、湊社長に仕事で大事な話があったんだけど、彼女を探さない限り挨拶に行けそうにないし…」
つまり、脅しってことね。
「では、湊さんに一言声をかけてから『あぁ、彼女は一人で心細いだろうなぁ』わ、分かりました。行きましょう」
湊さんに動かないでって言われたのに。
すぐに戻ってくるから、大丈夫だよね。
どうか、私がいないことが分かって、大騒ぎしませんように。
「ありがとう。行こうか」
パーティーはペアでしか入れない。
だから、お付きを連れてきたのは本当なんだろう。だけど、はぐれたというのはどうも信ぴょう性がない。
とりあえず、その人の容姿を聞かない限り見つけられないから
「あの、その一緒に来られた方の容姿は…」
「あぁ、えっと、とりあえず先にはぐれた場所まで戻ろうと思うんだ」
なにか手がかりがあるかもしれないしって、あるわけないだろ。
私の事、犬か何かだと思ってんの?
「分かりました」
別行動で探した方が効率的だと思うんだけどな。なんて思いながらもただ着いて行った。
そして、気づいたら人気のない場所まで来ていた。
こんなところではぐれるか?
…何かおかしい。
「すみません。やっぱり湊さんが心配していると思うので、私はこれで…っ、」
後退りをすると、誰かにぶつかってしまった。
振り返ると、そこには二人の男が立っていた。
彼らの冷たい視線と不気味な笑みから、私は逃げられないのだと一目で分かった。
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