1話ドラゴニュートの卵とドラゴン横丁
_______東京都 池袋 ドラゴン横丁
ここは昔、ドラゴンが初めて現れた場所だとかなんとか
そのコンビニで一人の青年が食料と絆創膏を買っていた。
「ついてないよなぁ。昨日、まさか何もないところで躓いておおごけするなんて」
昨日何もないところで転んで結構な出血をしたことを思い出して苦虫を潰したような顔をしていると
〈ビー!!!ビー!!!ビー!!!ドラゴン出現!!ドラゴン出現!!この区域の住民は速やかに指定避難場に避難せよ!
繰り返す、この地域の住民は速やかに指定避難所に避難せよ〉
と大きな音が町中に響く。
騎士「ドラゴンが来たのか」
コンビニにいた客も店員も怯えながら足早にその場を離れる
青年_______佐久間 騎士(サクマ キシ)も慣れたように避難指示に従う中。
上空で小降りのドラゴンが宙を舞うを眼にする
騎士「ワイバーンか…(小型だけどあれはあれで良さがある。)」
______________
指定避難所に移動して
しばらくするとドラゴンは去っていき街の警報も収まった。
「びっくりしたわ〜」
「襲ってこなくてよかった。」
「通り過ぎただけだったんだな。」
「討伐隊が倒しに来ても街はめちゃくちゃになるし目をつけられなくて良かったな。」
と口々に人々は安堵の言葉を発しながら自宅に帰っていく。
騎士ももちろん自宅に帰るために足を進める
自宅まであと少し…
騎士「(そういえば昨日はこの辺で転んだんだったか………)」
なんで物思いにふけているその時だった。
騎士「ドラゴンの…卵!?こんな人が住む住宅街で!?」
なんでこんなところに…!
町のど真ん中に小さな子供なら丸まって入れそうな大きなの卵を見て騎士は思わず買ったものを落とした。
騎士「昨日はなかった…あー!そういえばドラゴンの卵は天敵から身を守るために羽化直前まで周りと擬態するんだったか。」
昨日俺が躓いたのかこの卵だったのか
なんと思っていたが
騎士「なるほど…じゃねぇ!!
ど、どうしよ!?討伐隊に連絡??いやでも、生まれてないし…無精卵かも….いやそれはないな…連絡どうしよう」
と一人でつっこんで慌てていると
〈ピキッ〉
と卵が音を立ててヒビが入る。
騎士「うそ!?今生まれる!?今生まれるの!?」
慌てているうちに卵はさらに日々を広げていき
〈パカッ〉
といとも簡単に開いてしまった。
騎士「(う、生まれちゃった…!!)」
声も息も殺して恐る恐る割れた卵に近づくと
「ガウッ!!!」
と卵から出てきた影が声を上げた
騎士「っ!!!」
驚いて2歩ほど距離を取る騎士
卵の中にいた影はドラゴンよりも人の形に近い容姿をした少女だった
騎士「(人…いや違う)」
だが、やはり何処か人とは違い
鱗のある尻尾に鋭い角、人間とは思えない尖った耳とギザ歯をしている。
騎士「ドラゴニュート…なのか?」
騎士は自身の中にある知識の中でその容姿に似た名前を口にした。
「????」
その声にバット小さな少女は振り向いた
騎士「(まずいっ!声が出た)」
目があった騎士は身動きが取れない。
「????」
少女も不思議そうに騎士を眺めるがそこから動くことはない
沈黙が二人を包むが
〈ぐ〜〉
お腹が鳴る音が沈黙をかき消す。
音の主は少女のようで騎士は目を見開いた。
騎士「腹減ってるのか?」
「はりゃ?へって?」
騎士の言葉を復唱するようにいう少女その腹の音はまだ鳴り止まない。
少女に上着を着せると
騎士「………なんか食う?」
お腹を鳴らし続ける見て居た堪れなくなったのか先ほどコンビニで買ったものを広げる騎士
お好み焼き
刺身
苺のショートケーキ
メロンパン
おにぎり弁当
インスタントコーヒー
オレンジジュース
少女は並べているところを興味津々に見ているものの食べ物と認識していないのか食べるということを理解していないのか口には含まない
騎士「ドラゴンは胃液も強いし雑食だけど
…」
と少女を見る
とりあえずとおにぎりを差し出してみるが
少女は少し匂いを嗅ぐとプイッと顔を背けた
騎士「米は嫌いか?じゃあ刺身とか…」
と次は刺身を手に持って少女に近づける
少女は再び匂いを嗅ぐと
「!!!あぐぅ!!」
いき置きよくそれを口に入れた。
騎士「!刺身が好きなのか?」
騎士はもう一切れ口に持っていくと
また嬉しそうに平らげて尻尾を振る少女
騎士「ドラゴンでも嬉しいと尻尾振るんだな」
なんて感心している場合ではないのだが
あっという間に刺身パックを平らげた少女は満足げに舌なめずりをして笑う
騎士「もういいのか?デザートとか」
とショートケーキを差し出してみると
騎士「あ、いちごだけ食べた」
ショートケーキの上にのっているいちごだけを食べた。
しばらくその様子を見ていたが
騎士「(……ってご飯あげたけどこっからのことノープラン!!
ドラゴニュートなんて初めて見るし…そもそもマジで存在してるなんて思ってなかったし
対応の仕方なんて知らない…
半分はドラゴンなら
やっぱり討伐隊には連絡した方がいいのか?
いやでも…)」
と頭を抱える騎士。
しばらくその場で考えたあと
騎士「帰ろう」
と少女に手を差し伸べた。
少女は意図がわかっているのか分かっていないのかその手をとった。
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