水之原高等学校魔法少女委員

さい

第1話 魔法少女委員

 水之原高等学校。

 偏差値は50、特に目立った部活もない平凡や高校。

 ただ、一つだけ、特別なことがあります、それは……



 ある四月のこと、新学期がはじまると同時に高校三年生になった私を含む四人女子生徒は校長室に呼ばれてやってきました。


 私の名前は、桃崎穂乃果。

 頭はそんなに良くないけど、悪くもない、普通の高校生。

 もう四月なのに、夢はなく、どの大学に行こうかは考えてません。

 ただ、働くの嫌だから大学か専門学校には行きたいな。


 他の三人はみたことはあるけど話したことは一度もありません。

 一体、なぜ呼ばれたのでしょうか。

 大体ですが、予想ができています。


 まさか、自分が選ばれてしまうとは、不運です。


 どうやら、他の三人もわかっているようです。

 嫌な顔をしています。


 校長先生である、フサフサ白髪の君塚先生が言いました。


「ここに呼ばれた理由はまあ、わかっているか。君たちは魔法少女として魔法少女委員に選ばれた」


 この学校には、一つ、他の高校ではみられない変わった伝統があります。

 それは、三年生になると四人、魔法少女として選ばれるというものです。

 魔法少女委員と呼びます。

 

「この世界のために戦ってもらいたい」


 全校生徒約千人。

 同じ学年だけでも大体三百人ほどです、まさか自分が魔法少女に選ばれるだなんて思ってもいませんでした。


 当然、他の三人もです。


 魔法少女、それは、毎週月曜日の放課後六時半ごろに迫り来る魔女と呼ばれる敵から世界を守る人たちのことを言います。

 魔女は何かを求めて必ず、この学校にやってきます。

 魔女を倒すことができなければ、この世界は崩壊してしまうと聞いたことがあります。


 つまり、この瞬間、私たち四人に世界の命運を預けられてしまったということです。


 ですが、それ相応の報酬もあります。

 まず、魔女一体を倒すにつき、一万円もらえるというものです。

 たった一万円と思いますが、何か事情でもあるのでしょう。

 考えないようにしておきましょう。

 もう一つは、無事、生き残り一年間、魔女から世界を守り続ければ、どんな願いでも一つ叶えてくれる、というものです。


「ちなみにだが、去年は二人なくなっている」


 そんな恐ろしいこと言われても、こちらには魔法少女を辞退するだなんて選択肢はありません。


 まあ、この学校に入試を受けに来た時点で説明されていることだし、仕方のないことです。


「あの、ちょっと待ってください。今日って月曜日ですよね?」


 一人のロングヘアの女子生徒がそう君塚先生に言いました。


「うむ、そうだ。今日から魔女退治を任せる」


 君塚先生は、机に置かれていた四つのリップを渡してきました。


「このリップを一つずつ受け取りなさい。これが変身アイテムになるので」


 私はピンク色のリップを手に取りました。

 先ほどの女子生徒は黒色を、ボブの女子生徒は青色を、姫カットが印象的なロング髪な女子生徒は白色を。


「このリップの名前はマジカルリップ。普通のリップと同様、口につけるんだ。そうすれば、変身が行われる。リップをとれば変身は解除される。

あとは、右手の首元に時間が出現する。それは、残りの寿命だ。その寿命は、身体の寿命。魔法は想像したものをなんでも使えるが、寿命を犠牲に使うことができる。また、強い力ほど寿命を犠牲にするから気をつけて使いなさい」


 まさか、そういう感じで魔法を使うだなんて思ってもいなかった。


「この後、魔女がやってくることだ。今のうちに四人で自己紹介をしておくといい。私は帰るとする……施錠はオートロックだから魔女を倒し次第、気にせず帰って大丈夫だ」


 魔法少女以外の者は、六時までに学校から帰らなければならない。

 この学校のルールだ。


 時間を見ると、五時半だった。


 緊張感が走る中、私たちは自己紹介をすることとした。

 一年間協力しなきゃだしね。

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