私が体験した怖い話(実話)

めたろば

コマーシャル

 もう寝る体勢だった私は、暗い部屋の中で布団にくるまりながら、イヤホンから流れる昭和のなつかしCM集……のような動画を聴いていた。




動画形式ではあるが、スマホの画面は見ずに、音を流しているだけ。




 少数派かもしれないが、youtubeに投稿されているような、私が生まれてすらいない時代の音質の悪いレトロな動画を垂れ流していると、本当によく眠れる。




内容はなんだっていい。どこかの家庭のホームビデオでも、昔のニュースの切り抜きでも、ようは睡眠導入に使うだけなのだから。




今回はたまたまそれがCM集だったというだけの話だ。






 しばらく目を瞑って聴いていると、イヤホンから昔のCMソングの合間に、何だかわからない声が入ってきた。




「ジ……脅威…カニ………ム…」





なんとなく男の人らしき声だった。


「宇宙ヨ……ソロモ……テキサス」


その声がなんともくぐもった感じだったのでとても不気味だった。



「ビグ・」



少しずつ音量が大きくなっていき、注意して聞いてみると、その声が昔のアニメ関連のCMであることに気付いた。




「白熱……バトルフィールド……オデッ……ジャブロ……」




間違いない。よく知らないけれどきっと「昔のガンプラ」のCMだ。





(でもなんで途切れ途切れ?)


(ビデオテープに重ねて録音したのかな?でも投稿前にちゃんと編集しておいて欲しいですね……)




「 バンダイの プラモデル 」




ますますはっきりしていく不気味な声に嫌気がさした私はスマホのサイドボタンを押して画面を切り、イヤホンも取った。






















「ようやく聞こえたのか」











声の主は、枕に伏していた私の耳に、冷たい息をかけた。




緑がかった軍服姿の亡霊が、真横に佇んでいた。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る