親友モブ男ポジの俺に青春なんて訪れない

@towai82

第0話 親友ポジションに憧れて

俺、幸岡さちおか友善ともよしは自分で言うのもなんだが、かなりの親友ポジションオタクだと自分では思っている。


小さい頃からアニメの主人公を支える親友ポジション、またはNo.2なキャラが好きだった。


だってアイツらすげぇよ...主人公がピンチになったり心が折れそうになったら颯爽さっそうと駆けつけていつもその時欲しかった言葉を伝えてやれる、いつだって周りを見て合わせられているんだから。

周りの奴らは主人公がその空間の心臓的存在だって言うけどさ、俺にはそうは思えなかった。

確かに物語を進めていく上で主人公は大切な存在だ。でもそんな主人公や仲間達を陰で支えてやれる親友ポジの存在こそがその物語の心臓だと、俺は思う。


他にも親友ポジの魅力はある。例えばベタなラブコメ展開だ。よくある設定で主人公と親友ポジションの男はあるヒロインが好きだった、でもそのヒロインは主人公のことが好きでよく主人公の親友ポジに恋愛相談をするんだ。ヒロインのことが好きで、ヒロインに振り向いて欲しい、けど親友の主人公にもヒロインにも溝は作りたく無いし、何より二人の幸せを願わずにはいられない親友ポジは、その気持ちに蓋をしてヒロインの恋愛相談に乗る。


健気で見ていて辛い、主人公より絶対その親友ポジ男の方がいい、ヒロイン見る目ない、報われて欲しい、様々な感情が湧くだろう。でも俺は真っ先に思ってしまうんだ........


親友おまえおとこだよ...と。


別にこの気持ちが共感されなくても構わない。自分の気持ちを伝えずに親友ポジを続けるなんて逃げだとか、ヘタレとか思う奴もいるだろう。主人公に慣れない哀れなNo.2と思うやつもいるかもしれない。


それでも、そうだからこそ、そいつは親友ポジなんだ。友の幸せを願い、であり続けることは簡単じゃないんだ。どんなに感情が揺さぶられようと自分よりも相手のことを真っ先に考えられる奴らを俺は笑いたくない、自分のあり方を持ち続けるなんて本当にすごいことだ。


だから俺は主人公とかにはまったく興味がない。



俺が憧れるのは、やっぱり親友ポジション以外あり得ないのだから。

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