「生命の贖罪」

 二万人の妊婦が崖の上から見守る中で、

 彼は必死に出産を試みる。

 彼は妊婦たちの希望なのだ。

 存在するはずのない内臓に、

 確かに宿った命を、

 存在するはずのない道を通して産み落とすことが、

 彼の人類に対するせめてもの償いなのだった。

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