詩集「以下同文」

秋坂ゆえ

「四季の鍋」

 狂い咲く夏は曇天

 美しい灰の雨が彼の黒髪を紅に染め

 水分を忘れた梅雨が紫陽花に虹のかけらをばら撒く

 純白の春は一切の花見を許さずして

 漆黒の樹木は全く酒のあてにならない

 四枚の黄色いクローバーは

 年端のいかない少年に丁寧に踏み潰され

 もはや季節は季節として機能しなくなった今、

 それでも愚かな人間共は茹で上がりながらおでんの鍋に箸を刺し続ける

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