勇者一行から追放されし流離いのトレジャーハンター、幻の10の指輪を探し求めて旅をする。~この世の宝や隠された財宝は全て俺の物~
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1話「トレジャーハンター、勇者一行から追放される」
突然ではあるが俺ことトレジャーハンターの【ソロモン=クロックフォード】は今現在、魔王を討伐する為に結成された勇者一行と共にとある遺跡へと来ている。
その理由は至極簡単でこの遺跡には伝説の剣と盾が祀られているからだ。
だが周囲を見渡すと蔦やら苔やらが大量に生えていて、長年管理はされていないようである。
「おお! これが噂に聞いた聖剣エクスカリバーと伝説の盾イージスか! ああ、なんて美しいんだ!」
そう言いながら俺の目の前に立つ男は声を荒げて興奮を顕にさせると、遺跡の中央祭壇に祀られている二つの神器を手に入れるべく小走りで近づいていく。
そう、この男こそが世界を救うべく魔物と戦う事を強いられた人物、通称【勇者】と呼ばれる人物であり、名前は【ゴドウィン=アーサー】と言う。
まさに聖剣を手にするとこが運命付けられているような名前の奴だ。
しかも容姿も中々に格好良い部類に入るようで街中を歩けば、女性から声を掛けられて夜な夜な宿屋のベッドを揺らしているほどの色男だ。
まったく、既にこの勇者一行のパーティーには女性が三人も居ると言うのに、まだ足りないというのだろうか。これだと勇者となるべき条件に絶倫という項目が追加されていてもおかしくない。
いや、もしかしたら実際に項目があるのかも知れない。まあ答えは分からないけど。
だがそれでも狭い宿屋でパーティーの女性三人と朝までやるのは勘弁してもらいたいものだ。
隣の部屋で寝ていた俺は喘ぎ声やらなんやらで一睡も出来ない状況が一週間も続いたのだ。
本当にゴドウィンのあれは底なしなのかと一種の恐怖を抱くほどである。
「漸く見つけられましたね! ゴドウィン様!」
そして隣からは彼の名前を口にしながら祭壇へと近づいていく女性が居るのだが、こいつは攻撃兼回復の担当をしている勇者一行のウィザードで名前は【エミーリア=フレク】という。
ちなみに彼女が一番、喘ぎ声が大きくてうるさいのだ。
そして噂ではエミーリアは大国の王に仕える貴族の令嬢であり、見た目も美少女であることから他の女性たちよりも若干優遇されているような印象を受ける。
それから容姿としては赤色の長髪に気の強そうな表情と、令嬢という身分故にこの世の汚い部分を多く見てきたのか光が一切宿らない暗い黒色の瞳をしている。あと身長がざっと見た感じで百六十二センチしかなく、胸も貧乳の部類であることから周りからは子供に見られがちである。
「聖剣エクスカリバーとイージスの盾があればゴドウィン様は更に強くなれますね! 私も嬉しい限りです!」
エミーリアと同様に歓喜の声を出しながら背後から一人の女性が横を過ぎていくと、そいつは勇者一行の盾役を担当しているシールダーの【レギーナ=チレノフ】という奴だ。彼女に関しては特に言うことはない。強いて言うのであれば胸がQカップあるということぐらいだろう。
それと容姿を伝えるのであれば空色の長髪に紫色の瞳をしていて、胸が桁違いに大きく身長が百七十八センチぐらいあるということだ。そして盾役という職業が影響しているのかは分からないが彼女は全体的に筋肉質であり、拳一つで木造建築を破壊できる能力を有している怪力女だ。
「やりましたね。これでより一層、魔物たちをこの世界から葬ることができます」
冷静な口調で物騒な言葉が左側から聞こえてくると、最後にゴドウィンの元へと駆け寄る女性は勇者一行の切り込み担当でセイバーの【シーラ=フォッシェル】という人物だ。
彼女の性格は先程の言葉を聞けば分かると思うが、常に冷静沈着で魔物に対しての容赦は一切ない。
この前はゴブリンの子供たちの四肢を切り落として失血死させて笑みを浮かべていたほどだ。
だからシーラは勇者一行の中ではダークホース的な存在である。
しかしそんな猟奇的な行動からは予想も出来ない容姿をしていて、彼女は桃色の短髪に薄い桜色の瞳をして耳には宝石が嵌め込まれた飾りを付けているのだ。更に身長は百六十八センチぐらいあり、胸もそこそこ大きくて、遠くから見れば美少女である。
「まあその宝を見つけたのは俺なんだけどな」
黄色い声を上げながらゴドウィンの元へと駆け寄る三人の姿を見ながら肩を竦めて呟く。
「これは凄いな! 全身から聖なる力が沸き立つようだ! 今なら一人で魔王軍を完封できる気がするぜ!」
伝説の聖剣エクスカリバーを鞘から引き抜いて天へと掲げながらゴドウィンは中二病的な発言をしているが、確かに聖剣と盾には底知れぬ力が封印されているような気がしてならない。というか宝を見る目は誰よりも確実なものだと自負している俺が言うのだから間違いはない。
「ふっ、やはり隠された財宝やお宝は良いな。さっきからテンションが上がりっぱなしだ」
ゴドウィンが天へと掲げた聖剣に遺跡の隙間から入る太陽光を反射させて光り輝くと、それは紛うことなき至高の宝という感じが大いにしてトレジャーハンターとしての血が騒いで仕方がない。
「格好良い剣と盾ですね! ゴドウィン!」
「これで魔王も楽に倒せますね」
「ふふっ、ということはもうアイツは用済みってことね」
俺の気分が最高潮に達すると同時に勇者の取り巻き達が何かを言い始めると、エミーリアが妙な笑みを浮かべて不穏な言葉を口にしていた。そう、用済みという言葉を。
そして全員の視線が俺の元へと一斉に向けられると、
「ああ、そうだね」
ゴドウィンはエクスカリバーを鞘へと収めて短く頷いていた。
「おい、そこの宝探し野郎。お前の役目は今日終えた。さっさと荷物を抱えてこのパーティーから去れ!」
それから矢継ぎ早に彼は人差し指を向けながら歪んだ表情で俺のことを宝探し野郎などという、最高の呼び方をして勇者一行から出て行くとように告げてきた。
だがそれは端的に言えば追放という名の追い出しということであろう。
俺を追放することで邪魔者は全て居なくなり、晴れてハーレムパーティーの完成ということだ。
しかも伝説の剣と盾を手に入れて状態でな。
けれどその追放宣言は既に想定済みのことであり、元々この遺跡に一行を連れてきた時点で分かっていたことだ。故に心の底から喜んで勇者一行から追い出されるとしよう。
これは決して強がりなのではない。ああ、断じてな。
なんせ俺はトレジャーハンターだ。ならばあとは言わずとも分かるだろう。
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