第1話 カモミール、ミント

「おはようございまーす」


と私は植物園の戸を開ける。


そしてスプリンクラーを作動させる。


こうしてハーバルメイドの一日が始まる。


「今日も変わらずお水が飲めて嬉しいわぁ」


声がする方を見るとが嬉しそうに笑う紫の妖精。


「それは何よりだよ、ラヴェンさん」


「ええ、感謝してるわ、ありがとう香織ちゃん」


と上品な笑みを向ける。


ラヴェンさんは気品があってラベンダーの名に恥じない方だと思う。


「わぁーい、水だぁ!」


とはしゃぐ妖精がいた。


「ミンちゃん、水遊びしていいけど程々にね、この前それで設備が壊れたの覚えてるよね?」


「そーだったねー」


反省してないな。


ミントに宿るミンはお転婆で本当に手を焼いている。


まあ、この子のお陰でいいミント(ハーブ)が収穫できるけど。


「ミンちゃん…香織さんを困らせちゃだめですよ」


そこに黄色のちょっと控えめな妖精が諭す。


「仲良しなカモちゃんがそういうなら〜」


「ありがとうカモミ、いつも助かってるよ」


「いえ、そんなことはありませんよ」


彼はカモミールに宿るカモミ。


彼は落ち着いていてミンの暴走を止めてくれている。


…カモミがいなかったら悲惨だったと思う。


「それより、ハーブティー入れてくれるよね!」


「うん、入れてくるよ」


ハーバル・フェアリーはハーブティーが大好きだ。


共食い?と思うだろうが、ハーブに"宿ってる"妖精なので、まあ無問題なのだろう。


私は植物園の休憩室に向かう。


この休憩室はハーバルメイドだけの休憩室ではない。

ハーバル・フェアリーの休憩室でもあるのだ。彼らにとっては談話室的な存在になっている。


休憩室に着き、妖精達の為のハーブティーを入れる為ドライハーブとすり鉢、数個のティーポット、ティーカップを出す。


妖精の数が多いので多めに入れないといけない。なので大変だがティーポットを何個か使うのだ。


「今日は無難にカモミールとミントのブレンドにしようかな」


私はハーブをすり鉢にいれ香りが強くなるようすりつぶす。


そしてそのハーブをティーポットにいれ、お湯で蒸らす。


そして3分待っていると段々優しい良い香りがしてくる。


「むむっ!この香りは⁉︎」


「カモミールとミントでしょうか」


香りにつられ、妖精達がやって来る。


「そう!当たりだよ!流石カモミ!」


「ちょっと照れちゃいます…」


そして、他の妖精達もやって来てティータイムの時間だ。


私もハーブティーを頂く。


カモミール単体で飲むと癖があるがミントをブレンドするとすっきりした味わいになり丁度いい。


そして、みんなでお話ししたり楽しい時間を過ごす。


そしてそれが終わればハーブティーの茶殻をハーブに蒔く。なぜなら養分が程よく入った茶殻はハーブの肥料になるからだ。


そして害虫が居ないかチェックしてそして夕方になり、1日が終わる。


私はこの生活が気に入ってる。


「明日も頑張らないと!」


明日はどうなるだろう。


            To Be Continued

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