第4話 男子に声を掛けられて……
廊下の静かな場所へ二人でやってくると、一度緊張が和らいでいた男子の表情が再び、緊張をした表情になっていた。この男子は関わった事が無いので……あまり知らないんだけど?わたしの事を知ってるのかな?
「あ、あのさ……ミユちゃんって付き合っている人いるの?」
え!?この話の流れって……告白じゃない?わぁっ。緊張してきちゃった……冗談で告白かもねーとか思ってたけど。
「い、いないよ?」
「そっか……良かった。俺と付き合わない?あ、えっと付き合ってくれないかな?」
うわっ。マジな告白だよね……これって!えっと……付き合ってはみたいけど……この男子は悪くは無いと思うけど……出来ればユノちゃんと付き合いたいんだけどなぁ……それは無理だしなぁ……
モジモジして困っているとユノちゃんが出てきた。え!?な、なに?なんでここに居るの?付いてきたの?え?人には付いて来ないでよとか言ってるのに……でも、嬉しい。
「あのさーミユちゃんが困ってるっぽいけど?なんの話をしてるのよ?イジメてるんだったら許さないからねー」
え?どう見ても告白してる場面でしょ?普通は邪魔してこないと思うけど……ユノちゃんがヤキモチとか?それは無いか……じゃあ何で?困ってるから助けてくれたの?あぁ……わたしのご機嫌取りか。助けたでしょ!っていう感じかな……
「ユノちゃんには関係ないだろ!直ぐに返事を聞いて終わるから、あっち行って待ってろよ」
「はい?告白だったら、もう終わってるでしょ。返事に困ってるでしょ?どう断ろうか考えてるんじゃないの?」
ユノちゃんに言われて、納得をしたのか男子の表情が暗くなった。
「えっと……ごめんね。付き合うとか考えてないの」
「そ、そうか……だったらキライとかタイプじゃないとかじゃないんだな?気が変わったら言ってくれよ!じゃあ……」
男子が気不味そうに返事を聞かずに走り去って、ユノちゃんと二人っきりになってしまった。
「なんで付いてきてるの?」
「……気になったから!心配だったから!」
「ふぅーん。ご機嫌取りじゃないの?」
「それもあるけど……本当に心配だったからだよ」
そう言えば、友達といつも授業が始まるギリギリまで一緒に居るのに、何で一人で居るの?
「友達は、どうしたの?」
「あぁ……えっと……別れてきた」
「え?なんで?ケンカでもしたの?」
「まーそんな所かな」
「ユノちゃん直ぐ怒るもんねー」
「ウルサイッ!」
「ほらー怒った」
むぅ……と頬を膨らませていたけど、わたしの機嫌が直ったのが嬉しそうで笑顔になって笑っていた。
「心配してくれたの?」
「……うん。した」
……え?でも普通はそこまで心配はしないよね?何の心配なんだろ?襲われるとか?イジメられてるかも?とか?
「それって何の心配なの?」
「もう良いでしょ……教室に戻るよ」
恥ずかしそうに頬を赤くして二人で教室に戻った。あーあぁ返事を誤魔化されて聞けなかったよ。でも仲直りが出来て良かったかも。
あれ?小休憩の時間になるとユノちゃんが、珍しくわたしの所へ来るようになった。いつもなら……ってケンカをしたって言ってたっけ。
「早く帰りたいね」
「あーうん。ユノちゃん仲直りしないの?」
「ん……別に、もう良いし」
「うぅーん、わたしと一緒に居ると恥ずかしいんじゃないの?」
「ばかぁ……仕方なく言ったって言ってるでしょ」
ユノちゃんがムスッした表情で返事を返してきた。そうやって、すぐに怒るんだからー。嫌だったら、近寄ってこなければ良いのに……仲直りしたばっかりだよ?もう。
「ふぅーん……」
わたしもユノちゃんと同じ様に素っ気なく答えてみると、ユノちゃんが、え?と焦った顔が可愛い。そう言えば、わたしが後を付けてる時も嬉しそうにチラチラと気にして見てくれてたなぁ……わたしに付けられていて嬉しかったのかも?
授業が終わり帰ろうとしていると、ユノちゃんがいつもの友達に囲まれて話をしていたので、待ってるのも暇だったし、また文句を言われるのも嫌だったので先に帰った。
「ミユちゃんっ!置いてかないでよーねぇー!ちょっと待ってってばっ!」
慌てた様子で走って追いかけてきた。ん?いつものユノちゃんだと置いて枯れても気にしてなくって夕方になれば家に遊びに来る感じだったんだけど?……あ、お母さんが田舎に帰ってるから?でも……お母さんは普段は仕事して居ないよね?そんなに慌てなくても良いのに。
「ん?」
「ん?じゃないよ。置いてくなんてヒドイよ」
「だって友達と話をしてたし、待ってると邪魔でしょ?わたしが声を掛けられないの知ってるでしょ」
珍しくユノちゃんが言い返さずに俯いて黙っていた。
「それで、どうしたの?」
「どうしたの?じゃないよ……一緒に帰りたかったのっ!」
「いつもは置いて帰っても気にしてなかったよね?待ってても嬉しそうじゃなかったし……」
「……今日は、ミユちゃんと帰りたかったのっ」
「そうなんだ?一緒に帰ろう」
「うん。帰ろう……」
なんだかユノちゃんが、わたしを求めてくるのって始めてかも〜♪
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